日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
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Zeolite 41(2): 17 (2024)
doi:10.20731/zeoraito.41.2.73

レポートレポート

第39回ゼオライト研究発表会参加報告

日揮触媒化成株式会社

発行日:2024年4月15日Published: April 15, 2024
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第39回ゼオライト研究発表会が令和5年11月30日(木),12月1日(金)の2日間にわたり東京都江戸川区のタワーホール船堀で開催されました。

同開催場所では,新型コロナウイルス感染症の影響前と同様にA,B,Cの3つの会場に分かれ発表が行われました。今回の講演の内訳は,特別講演2件,カーボンニュートラル特別企画としての依頼講演3件,総合講演5件,一般講演74件の合計84件でした。また,最後にカーボンニュートラルをテーマとしたパネルディスカッションが開催されました。

私自身,今回は第33回ゼオライト研究発表会以来,6年ぶりに参加させていただきました。ゼオライトや多孔質材料の基礎検討や応用活用など幅広い研究についての発表や発表後の活発な質疑応答を拝聴し,改めて,今後の検討に取り組んでいきたいと実感しました。

本年度の特別講演のうち1つ目は,株式会社豊田中央研究所の稲垣伸二氏による「メソポーラス物質:発見の経緯から応用まで」という題目でのご講演でした。メソポーラスシリカの歴史については,新規材料が発見された当時の内容を詳細にご説明いただき,新規材料開発・発見当時の様子を感じることができました。また,いかに外部へ技術発信するかの重要性を感じることができました。また,これら材料の合成手法や本材料の特長を活かした触媒材料としての応用について拝聴し,本材料の今後の可能性を再認識いたしました。

2つ目は,北海道大学の福岡淳先生による「ゼオライト・メソ多孔体金属担持の触媒特性とフードロス削減への応用」という題目でのご講演でした。福岡先生が長年検討されてきたPt/メソポーラスシリカ材料がフードロス削減への触媒技術につながった経緯についてご説明いただきました。身近な家庭用冷蔵庫に使用されているとのことで,ゼオライトや多孔質材料がより一層興味深く感じました。

また,2日目の午後には,カーボンニュートラル特別企画「Carbon Dioxide Capture/Direct Air Captureに挑むゼオライト・多孔体」というタイトルで3件の講演が行われました。九州大学の藤川茂紀先生による「自立性を有するナノ膜を用いたCO2回収とその展望」という題目でのご講演では,次世代DAC技術として有望である技術開発について惜しみなくご紹介いただきました。日本製鉄株式会社の上代洋氏による「PCP/MOFを利用したCO2分離」という題目でのご講演では,ゲート型吸着剤「ELM-11」の特長を吸着ガス種やそれらをゼオライトと比較しながら詳細にご紹介いただきました。公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の余語克則氏による「カーボンニュートラル達成に向けた二酸化炭素分離回収・有効利用技術開発の動向とRITEの取り組み」という題目でのご講演では,化学吸着法や固体吸収法等,CO2分離回収技術に関して精力的に取り組んでいる内容や,今後取り組まれるカーボンニュートラルに向けての技術開発への精力的な研究開発についてご紹介いただきました。いずれのご講演においても,カーボンニュートラルに対して多角的な視点で材料開発に取り組まれており,今後研究を進めていくうえで大変参考になりました。ご講演後のパネルディスカッションでは,カーボンニュートラルや今後を担う研究者の在り方など,ざっくばらんな議論を拝聴させていただき,大変有意義な時間を共有させていただきました。

また,1日目の夜には,懇親会が開催されました。新型コロナウイルス感染症の影響後,久しぶりの開催とのことでした。また,懇親会の際には,大学の先生方や企業の方とお話をさせていただき,カーボンニュートラルに向け,ゼオライトや多孔質材料の重要性を再認識させていただき,身の引き締まる思いでした。

最後に,本研究発表会の開催にあたり,関係者の皆様には事前の準備から運営まで細部にわたりご尽力いただき,この場をお借りしまして感謝申し上げます。また,次年度のゼオライト研究発表会は,日本吸着学会研究発表会と合同で開催されるとのことで,さらに活発な議論がされることとも期待しております。

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