日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 40(3): 103-108 (2023)
doi:10.20731/zeoraito.40.3.103

解説解説

メソポーラスゼオライト合成研究における細孔構造制御の展望Synthesis of Mesoporous Zeolites and the Future Prospects for Controlling the Porous Structure

1早稲田大学理工学術院先進理工学部応用化学科Department of Applied Chemistry, Faculty of Science and Engineering, Waseda University ◇ 〒169–8555 東京都新宿区大久保3–4–1

2早稲田大学各務記念材料技術研究所Kagami Memorial Research Institute for Materials Science and Technology, Waseda University

受理日:2023年4月1日Accepted: April 1, 2023
発行日:2023年7月15日Published: July 15, 2023
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本稿ではメソポーラスゼオライトの細孔構造を精密に制御する合成法に焦点をあてて従来法と近年の発展について紹介し,その課題を明らかにしたうえで最近我々が取り組んでいるナノ多孔質金属酸化物を鋳型とする合成法についても紹介する。ゼオライト中にメソ細孔構造を精密に作り込むことは触媒・吸着性能を向上させるうえで重要であり,ごく最近では金属酸化物との複合触媒においてもナノ構造制御の重要性が示されている。多孔質炭素を鋳型に用いることで細孔径と構造規則性を制御できることが報告されているが,疎水性の炭素鋳型中でゼオライトを水熱合成することが難しい点が問題であった。そこで,筆者らは比較的親水的な金属酸化物を鋳型に用いるという着想により解決を試みた。その結果,逆オパール構造の多孔質酸化コバルトを鋳型として用いることにより,水熱合成法により鋳型の内部でゼオライト(silicalite-1)を成長させた後,鋳型を除去することで規則的なメソ細孔構造を得ることに成功した。多孔質炭素を鋳型とした場合と比較して,鋳型外部でのゼオライト形成がより抑制されたことが確認された。

In this paper, we focus on the conventional synthesis methods of mesoporous zeolites with precisely controlled nanopore structures, and the recent development and challenges are introduced. Then, our new synthetic method using a nanoporous metal oxide as a template is presented. The precise control of mesopore structures of zeolites is crucial to improve the catalytic performances. The importance of nanostructures has also been demonstrated very recently in zeolite–metal oxide mixed catalysts. Previous studies have shown that nanoporous carbon templates are useful for the control of pore size and structural regularity of mesoporous zeolites. However, hydrothermal synthesis of zeolites using hydrophobic carbon templates is often plagued by the zeolite formation outside the template. We attempted to solve this problem by using a relatively hydrophilic metal oxide as a template. When nanoporous cobalt oxide was used as a template, silicalite-1 was preferentially grown inside the template by the hydrothermal synthesis, giving ordered mesoporous zeolite by the template removal. In contrast, when carbon was used as a template, external precipitation and the formation of small nanoparticles occurred under the same conditions.

キーワード:メソポーラスゼオライト;シリカナノ粒子;金属酸化物;鋳型法;水熱合成法

Key words: mesoporous zeolite; silica nanospheres; metal oxides; templating method; hydrothermal synthesis

1. はじめに

ゼオライトに階層的なマクロ・メソ細孔構造を導入して物質の拡散性を高め,触媒活性・吸着性能を向上させる試みは様々行われてきた1,2)。細孔のサイズに応じて物質の拡散性は大きく変化するため,スケールの異なる細孔を作り込むことは特性向上に大きく寄与するため重要である。特に,3次元的に規則的なメソ細孔構造を導入することで物質拡散性の向上3)により触媒活性が高まり,拡散経路の短縮によりコーキングの形成も抑制できる4)。このような利点を有するため細孔構造と拡散性に関する研究5)がなされているほか,近年では階層構造の設計6)や白金ナノ粒子を内包したメソポーラスゼオライトのワンポット合成7)など合成手法の開拓が着実に進んでいる。ゼオライトを単独で利用するのではなく,金属7)や金属酸化物8)との複合触媒も大きな注目を集めているトピックである。金属酸化物とゼオライトの複合化については,中空ゼオライトの内側が酸化鉄で被覆されたダブルシェル中空構造をもつタンデム触媒がFischer–Tropsch合成(FTS)において高い選択性を示す9)ことが最近報告され,触媒のナノ構造制御により反応を制御することの重要性が明らかとなってきた。ゼオライト系材料のナノ構造と物性との相関を明らかにするうえでも,精密な構造制御法の確立が望まれている。ゼオライトの階層的な細孔構造制御に関しては数多くの論文・総説が出版されており,歴史と研究例の詳細については先達のものを参照されたい。本稿では,筆者らの観点・興味に基づいて既往の研究を取り上げて紹介する。特にメソポーラスゼオライトの精密合成法について,従来法の特徴と進展を紹介して課題を整理し,複合触媒の構造制御という観点も包含した最近の我々の取り組みについても紹介する。

2. メソポーラスゼオライトの合成

メソポーラスゼオライトの合成方法は(i)塩基を用いてエッチングする方法(トップダウン法),(ii)有機構造規定剤(OSDA)を設計する方法(ソフトテンプレート法),(iii)ナノ粒子やナノ多孔体を鋳型に用いる方法(ハードテンプレート法),の三種類に大別される(図1)。

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図1. メソポーラスゼオライトの主な合成手法.参考文献10を基に改変.

2.1 トップダウン法とソフトテンプレート法によるメソポーラスゼオライトの合成

トップダウン法では高温の水蒸気と酸,あるいは塩基を用いてゼオライトを溶解させると骨格の不均一な溶解が進行し,連続的なメソ細孔が生じる11,12)。高温での水蒸気処理とその後の酸処理では,骨格のAlなどの金属種と酸素の結合を切断して金属種を除去できる。その結果,欠陥の形成と周囲のゼオライト骨格のアモルファス化を生じつつ,メソ細孔が形成される。簡便にメソ細孔を導入可能な手法であるため工業的にも利用されているものの,金属種を脱離させる原理上,ゼオライト骨格中の金属種の存在比率も変化してしまうため,触媒作用にも変化が生じうる。一方で塩基性水溶液を用いる方法はSi-O-Si結合を切断することで脱ケイ素により細孔を形成することができ,粒界や欠陥から反応が進行する。処理条件によって細孔径や空隙率をある程度制御可能であり,酸処理よりも金属種の溶出が抑制できる。しかし,Alの存在比率によって溶解の進行の仕方が異なるため,Si/Al比が重要となる13)。Alが多い場合は溶解自体が起こりづらくメソ細孔が発達せず,Alが少ない場合には溶解が進行するため相対的に大きな細孔が形成する。そのため,処理条件にもよるものの,結晶内にメソ細孔を形成するためにはSi/Al=25~50程度が望ましいことが報告されている14)。このようなトップダウン法は低コストでメソ孔を導入できるというメリットをもつが,一方で細孔構造を精密に制御することは困難である。

ソフトテンプレート法はOSDAである第四級アンモニウムカチオンに長鎖のアルキル基などを導入し,ゼオライトの結晶化と分子集合体(ミセル)を鋳型としたメソ細孔の形成という二つの役割をもたせる方法である。このようなミセルテンプレートによるメソポーラスゼオライトの合成は比較的小さいメソ細孔(<10 nm)の形成に有利であり,均一な細孔の形成が可能である。その細孔構造は2次元的,3次元的なものが知られており,Ryooらのグループは長鎖(炭素数16)のアルキル基とトリアルコキシシリル基を含むOSDAを設計することで,第四級アンモニウム基の周囲でMFIゼオライトの結晶化を進行させつつ長鎖アルキル基によるメソ細孔の形成を同時に行うことに成功している15)。作製可能なメソ細孔径は数nm~10 nm程度で比較的均一であるが,経時変化で細孔径が大きくなることが確認されている。炭素数16のアルキル鎖では10 nmの集合構造の形成は考えにくいため,結晶化の進行に伴い数nmのメソ細孔が崩壊して連結し,大細孔になっている可能性が考えられる。その後,同グループは二つの第四級アンモニウム基と炭素数22のアルキル鎖を有するOSDAを用いることで層状構造のゼオライトを作り出すことに成功している。厚さ約2 nmのMFIナノシートがアルキル鎖により隔てられたメソ構造体が得られ,焼成により有機物を除去することでMFIナノシート間にメソ細孔を有するメソポーラスゼオライトが形成された16)。また,Cheらのグループは第四級アンモニウム基を二つもつ長鎖の界面活性剤にアゾベンゼンを導入し,π-πスタッキングにより異方的に集積させることで,直線的な四角柱状メソチャネルをもつMFIゼオライトの合成を報告している17)。このように界面活性剤の集合構造を制御しつつアンモニウム基の周囲でゼオライト骨格を形成させることで,メソポーラスゼオライトのメソ細孔構造を作り込むことに成功している。さらに,ごく最近,Nairらのグループは両末端にアンモニウムカチオン,中央にビフェニル基をもつ炭素鎖長20以上のOSDAを合成・使用することでゼオライトナノチューブの合成を報告18)している。ゼオライトナノチューブは内側がMFI型,外側がBeta型に類似した構造を取っていると推定されている。以上のメソポーラスゼオライトはいずれも非常に薄い細孔壁(単層~数nm程度)をもち,表面積の増大による転化率の向上が確認されたほか,VesidrylやJasminaldehydeの合成反応15)や分岐鎖を有するポリエチレンのクラッキング16)など比較的大きい分子を用いた触媒反応の進行が確認されている。一方でミセルを鋳型にする方法には制御が難しいファクターもある。低分子量の界面活性剤を用いるため細孔径の幅広い範囲での制御は難しく,制御できるのは数nm程度である。特殊なOSDAの設計・合成技術を要するためコストが大きくなり,また合成可能なゼオライトの構造もほとんどがMFIである。

2.2 ハードテンプレート法による細孔構造が制御されたメソポーラスゼオライトの合成

ハードテンプレート法は細孔構造の精密制御に最も適した方法である。ナノ多孔質炭素の存在下でゼオライトを合成し,焼成により炭素を除去することで鋳型の細孔構造を反映したメソポーラスゼオライトの合成が可能である19)。例えば,Tsapatsisらのグループは球状シリカナノ粒子集積体の細孔構造を転写して作製した直径数十nmの球状細孔をもつ多孔質炭素を鋳型に用いることで,球状ゼオライトが規則配列したような三次元規則的な細孔構造を有するメソポーラスゼオライトを合成している20)。このような多孔質炭素鋳型を用いる場合は細孔外部でのゼオライト析出の抑制が重要な課題となる。

ドライゲルコンバージョン(DGC)法は,乾燥ゲルからゼオライトの結晶化が可能であるため,鋳型外部への前駆体の溶出を抑制しやすいという点でメソポーラスゼオライトの合成に適しており,比較的多くの報告がある2)。マクロ細孔とメソ細孔を有する階層的な炭素鋳型を用いることにより,マイクロメートルスケールの結晶中で40 nm程度のメソ細孔と90 nm程度のマクロ細孔が規則的に相互連結した階層的なBeta型ゼオライトが得られている。その階層的な細孔構造に基づいて触媒活性の向上や嵩高い分子を用いた反応に有効であることが報告されている4)

一方,水熱合成法を適用する場合では合成途中でこまめな洗浄により外部析出物を取り除く必要がある21)図2)。具体的には,まず多孔質炭素鋳型をゼオライト前駆体に添加し,低温かつ短時間の水熱合成を行う。鋳型内外でゼオライトの核発生が生じるため,純水洗浄により鋳型外部のゼオライト核を除去する。その後また低温かつ短時間の水熱合成と洗浄を繰り返すことで,鋳型内部で選択的にゼオライトを結晶成長させることができる。このように煩雑な操作が要求されるため,水熱法によりメソ細孔構造が精密に制御されたメソポーラスゼオライトを合成することは容易ではなかった。

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図2. 多孔質炭素を鋳型に用いた水熱合成法によるメソポーラスゼオライトの合成と課題.

筆者らは最近,金属酸化物ナノ多孔体を鋳型に用いて細孔内部でゼオライトを水熱合成することで,メソポーラスゼオライトの合成が可能であることを見出した22,23)。金属酸化物の存在下でゼオライトを水熱合成した例は少なく,用いる場合でも金属種を骨格に導入する目的で使用される。金属酸化物は強塩基性水溶液中で加熱すると溶解して金属酸塩や金属水酸化物を形成するものも多いため,組成とナノ構造を安定的に保つ必要がある鋳型には適さない。さらに,ゼオライト形成後には簡単に除去できることが望ましいため,両方の要求を満たす必要がある。したがって金属酸化物自体を鋳型にするという着眼点がなかった可能性がある。筆者らの金属酸化物をゼオライト合成の鋳型にするという着想は,シリカを鋳型としてコバルト酸リチウムのナノ多孔体を合成するという全く別の材料系での小さな気づきが基になっている。その検討では石英と酸化コバルトのナノ複合体が生成し,目的の材料を得ることはできなかった。しかし何とか石英を除去して生成した酸化コバルトの分析だけでもできないかと考え,強塩基性条件で加圧・加熱を行ってみたところ,石英だけが選択的に溶解し酸化コバルトはナノ構造が保持されるということが分かった。一方で,酸化コバルトは実験器具にこびりつくことが多々あり,塩酸や硝酸などの強酸で溶解して洗浄できることも知見としてもっていた。これらの経験から酸化コバルトは高い耐塩基性と低い耐酸性を兼ね備えることが記憶に残っており,メソポーラスゼオライトの合成面での課題を整理したときに,強塩基性条件下で水熱合成を行うゼオライト合成の鋳型候補として自然に着想された。

筆者らの検討で,規則的な球状細孔を有する酸化コバルト鋳型を作製し,その細孔中で水熱合成反応を行うことでsilicalite-1を形成させ,最後に酸処理により酸化コバルトを除去することで鋳型の細孔構造を反映したメソポーラスsilicalite-1を得ることができた。酸化コバルト鋳型は球状シリカナノ粒子がface-centered cubic(fcc)構造に配列したシリカコロイド結晶24,25)を鋳型に用いて,粒子間隙で酸化コバルトを析出させた後,シリカのみを塩基処理により除去することで作製した。この方法はシリカナノ粒子の粒径を制御することで,数十nm程度の細孔をnm単位で精密にサイズ制御できる利点がある。また,比較のためにシリカコロイド結晶を鋳型として作製した多孔質炭素を鋳型として用いて同様の実験を行った。合成したsilicalite-1の走査型電子顕微鏡像より,酸化コバルトを鋳型にした場合には細孔構造を精密に転写した規則性メソポーラス構造が確認された(図3a)。一方で,炭素鋳型を用いた場合には,同様の規則性メソポーラス構造(図3b)のほかに,鋳型外部で析出したと考えられるcoffin形状の結晶(図3c)や鋳型内部で連続的に成長せずに不規則に凝集したと考えられるナノ粒子(図3d)が多数観察された(図3)。ナノ粒子の直径は分布があるものの,ほとんどが鋳型の細孔径よりも小さかった。いずれもX線回折パターンからsilicalite-1の形成を確認し,ICP発光分光分析からCoの残存量は定量下限以下であり酸処理による除去を確認した。

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図3. メソポーラスsilicalite-1の電子顕微鏡像:(a)多孔質酸化コバルト鋳型を使用,(b~d)多孔質炭素鋳型を使用.

上記のようなナノ構造の違いの起源は現在調査中であるものの,鋳型の親水性の違いによると推測している。炭素鋳型を用いた際に外部析出やナノ粒子が形成したことは,前駆ゲルが炭素鋳型との界面積を低減するように析出してゼオライトを形成することを示唆している。炭素鋳型は疎水的な細孔壁からなるため,導入された親水的なゼオライト前駆体は親和性が低く,先行研究22)と同様に鋳型外部での結晶成長が起こりやすかったと考えられる。また,球状細孔の連結部(連結孔)を越えるような連続的な結晶成長が起こりづらく,各球状細孔内で前駆体が孤立して球状ゼオライトナノ粒子が形成した結果,鋳型除去後にナノ粒子の配列が保持されず不規則な集合体となったと考えられる。これは形成したゼオライトナノ粒子の直径が鋳型細孔径よりも小さいこととも整合する。一方で,酸化コバルト鋳型の表面には水酸基が存在すると考えられ,比較的親水的である。そのため細孔内に導入した前駆体は鋳型中にとどまりやすく,鋳型外部での結晶成長が抑制されたと推定される。また,鋳型表面と前駆体の親和性が高いために前駆ゲルが複数の細孔に渡って析出し,連結孔を越えてケイ酸種が拡散することで連続的な結晶成長が起こりやすい状況にあったと考えられる。

3. おわりに

本稿ではメソポーラスゼオライトの細孔構造を制御する合成手法とその近年の発展,さらに筆者らの最近の研究について取り上げた。ナノ多孔質酸化コバルトを鋳型に用いたメソポーラスsilicalite-1の合成は,従来の炭素鋳型が疎水的であるという問題点を克服した高規則性メソポーラスゼオライトの合成を可能にした。現在本手法の適用可能性についてさらなる検討を進めており,金属酸化物の組成やゼオライトの組成・種類を変更して検討を続けている。また,金属酸化物は単にゼオライトの鋳型として有用であるばかりでなく,鋳型除去前の複合体自体も金属酸化物–ゼオライト複合触媒としての活用が期待できる。近年,BaoらのグループはメソポーラスゼオライトとZnCrOxの複合触媒がFTSにおいて炭素鎖数2~4の炭化水素を選択的に合成できることを報告している26)。さらに近年になって,Weckhuysenらのグループは酸化鉄–ZSM-5複合体のナノ構造を制御したタンデム触媒を合成し,FTSにおいて炭素数5以上の比較的長鎖の炭化水素の選択性が向上することを報告した9)。鉄源を含有する球状炭素粒子の周囲にゼオライトナノ粒子を集積させた後,焼成することにより,内側が酸化鉄,外側がZSM-5からなるダブルシェル構造の直径数百nm程度の中空粒子が得られている。このようなユニークな構造が高い選択性の起源となっており,金属酸化物とゼオライトの複合化およびそのナノ構造制御の重要性が明らかになってきている。しかし,その合成方法は炭素を鋳型にしたゼオライト合成に近いものの,細孔構造や細孔径の制御が難しい。メソポーラスゼオライトの精密な合成技術が活用されることで今後の発展が期待できる分野といえる。金属酸化物とゼオライトをナノレベルで精密に複合化する技術は複合触媒材料の自在な設計を実現する基礎技術となりうるため,今後の課題として取り組んでいきたい。

謝辞Acknowledgments

本稿で取り上げた筆者らの研究成果は共同研究者である小池正和博士,村本奈穂氏,和田宏明教授らの尽力および研究助成資金の支援により得られたものであり,謝意を表します。三菱マテリアル–早稲田大学理工学術院包括協定と,一部JSPS科研費研究活動スタート支援(JP21K20494)による支援を得て実施しました。

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