カーボンニュートラル特別企画「エネルギー問題に挑むゼオライト・多孔体」の連載にあたって
ゼオライト編集委員長
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石炭や石油などの化石資源の利用は,人類にとってかつてないほどの繁栄と発展をもたらしました。ここでは,燃料や化成品原料の製造工程に不可欠な触媒としてだけでなく,これらの製造段階と使用段階で排出される環境汚染物質の浄化触媒,水環境浄化のための吸着材として,ゼオライトは活用されてきました。天然ゼオライトに加えて,水熱合成により様々なゼオライトが合成可能となったことも,ゼオライトが多方面で利用されている理由です。一方,多量の化石資源の利用は,大気中や海洋中の二酸化炭素濃度を増加させています。そこで,2050年のカーボンニュートラル社会実現が掲げられ,化石資源利用の削減と再生可能エネルギー・資源の導入に向けた検討が進められています。
カーボンニュートラルに向けた化石資源利用の削減において,ゼオライトの活躍の場が縮小してしまうのか? と考えてしまいがちですが,そうではありません。カーボンニュートラルの実現には,二酸化炭素の固定化と回収・再資源化というカーボンリサイクル技術が不可欠です。高表面積やイオン交換,固体酸性といった優れた特性を備えたゼオライトは,二酸化炭素を燃料や化成品原料に転換するカーボンリサイクルを促進させる,優れた材料となる可能性を秘めています。第38回ゼオライト研究発表会では,「エネルギー問題に挑むゼオライト・多孔体」というカーボンニュートラル特別企画を実施し,4名の講師の方々からご講演をいただきました。カーボンニュートラル実現に向けた様々な取り組みに加えて,カーボンリサイクルにおけるゼオライトの可能性をご説明いただきました。ゼオライト誌では,今回の特別企画の内容を複数号にわたって紙面上で紹介します。会員の皆様とゼオライトの可能性を議論していきたいと考えています。
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