日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 40(1): 9-18 (2023)
doi:10.20731/zeoraito.40.1.9

解説解説

PCP/MOFの構造評価,構造変化の解析,実用化への取り組みStructural Evaluation, Structural Change Analysis and Industrial Application of PCP/MOF

1日本製鉄株式会社Nippon Steel Corporation ◇ 〒293–8511 千葉県富津市新富20–1

2大分大学理工学部共創理工学科応用化学コースApplied Chemistry Course, Department of Integrated Science and Technology, Faculty of Science and Technology, Oita University ◇ 〒870–1192 大分県大分市大字旦野原700番地

受理日:2022年11月7日Accepted: November 7, 2022
発行日:2023年1月31日Published: January 31, 2023
HTMLPDFEPUB3

多孔性金属錯体(Porous Coordination Polymer:PCP,あるいはMetal-Organic Framework:MOF)は多様な構造を構築可能な結晶性の多孔性材料である。骨格構造に加え化学的・物理的性質の設計性が高いことから,ガス吸着・分離に限らず,触媒や磁性,イオン・プロトン伝導など様々な分野への応用的な研究が進められている。一部のPCP/MOFは構造柔軟性を示し,これまでの多孔性材料とは異なる特殊な吸着特性を発現する。PCP/MOF特有の性質を生かした実用化が検討され始めており,産業応用への発展が期待されている。PCP/MOFはゼオライトと同様にX線による構造評価は非常に重要であるが,構造変化に伴い単結晶性が消失することもあり,分子シミュレーションとリートベルト解析の組み合わせによる非単結晶性サンプルの構造決定手法も開発されている。X線構造解析以外にも骨格構造とゲスト分子の局所的な構造解析や相互作用評価のために,赤外・ラマン分光,NMRやEPR測定による分析も行われる。また近年はPCP/MOFの構造変化と特殊な吸着挙動を解析するために,ガス吸着とX線,あるいはラマンなどその他の測定との同時測定等の新たな測定・解析手法の開発が進んでいる。

Porous Coordination Polymer (PCP) and Metal-Organic Framework (MOF) are crystalline porous materials capable of constructing diverse structures. Because of their designability of chemical and physical properties in addition to their framework structures, they are being investigated not only for gas adsorption and separation, but also for catalytic, magnetic, and ionic- and protonic- conductivity applications. Some PCP/MOFs show structural flexibility and develop unique adsorption properties different from those of conventional porous materials, which are expected to develop into industrial applications. The structural characterization of PCP/MOF by X-ray is very important as well as that of zeolite. However, since PCP/MOF may lose its single-crystallinity during structural changes, a method to determine the structure of non-single-crystalline samples by combining molecular simulation and Rietveld refinement has also been developed. In addition, infrared and Raman spectroscopy, NMR, and EPR measurements are also used to evaluate the local structure and interactions between the framework structure and guest molecules. In recent years, new measurement and analysis techniques, which are simultaneous measurement of gas adsorption and other measurements such as X-rays or Raman, have been developed to analyze the correlation between the structural changes and the unique adsorption behavior of PCP/MOF.

キーワード:多孔性配位高分子;金属有機錯体;構造評価;構造柔軟性;ガス吸着

Key words: porous coordination polymer; metal-organic framework; structural analysis; structural flexibility; gas adsorption

1. PCP/MOFとは何か

exo型の複座配位子と金属イオンを適切に反応させると,錯体構造が連続した高分子が得られる。錯体を含まない高分子の主鎖に金属錯体が側鎖として結合した材料(図1a)は高分子錯体と呼ばれているが,配位高分子(Coordination Polymer: Metal-Organic framework: MOF)は,文字通り錯体の配位構造の連続体からなる高分子である(図1b,c)。図1には1次元鎖,2次元平面の配位高分子を例示したが,ジャングルジム様の3次元構造を有するものや,2次元構造と3次元構造が入れ子になった相互貫入型も存在する。配位高分子の大きな特徴の一つに,合成法によっては,創成時に細孔を持つものが得られる。これはPorous Coordination Polymer(PCP,多孔性金属錯体,多孔性配位高分子)と呼ばれている。PCPは必ずPorousであり,MOFはPorousとは限らないため,PCPとMOFは同一ではないが,便宜上本稿ではPCP/MOFと表記する。世界最初のPCP/MOFの報告は,日本人の手により,早くも1959年に行われたと言われている1)。その後の大きな転換点は,1997年にガス吸着を利用してCoordination Polymerが細孔を有することを立証した論文2)と思われる。細孔を有することが明らかになり,活性炭やゼオライト等と同等の機能,すなわち触媒,ガス分離,ガス貯蔵等の産業応用が期待されるようになった。PCP/MOFは,非常に多様な金属イオンと配位子の組み合わせにより,多様な物理的,化学的性質を持つ細孔を構築可能であることから,学術的および産業応用的に大きな注目を集めることとなった3)

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図1. 錯体を含む高分子の模式図

(a)高分子錯体,(b)1次元のPCP/MOF,(c)2次元のPCP/MOF.

機能の発見から14年後の2011年には,すでにPCP/MOFは,著名ジャーナルに相当数の論文が掲載される一大分野となるに至っている。この年に,J. Am. Chem. Soc誌,Angewandte誌,Chemical Communication誌に掲載されたPCP/MOFの論文は合わせて200報告を超えるが,その内約60%は吸着・分離,35%は形態制御(結晶形状・サイズ制御,膜化等),20%が触媒,9%が磁性,その他イオン伝導,プロトン伝導,人工光合成であり,多様な分野から注目される材料となっていたことがわかる。PCP/MOFは,一般的にゼオライトと比べて,耐熱性,耐水・耐酸アルカリ性,機械強度のいずれもが低い場合が多い。ただし,前述の通り,多様性がPCP/MOFの特徴の一つでもあるため,500°Cを超える耐熱性を示すPCP/MOFや,耐沸騰水性,耐酸性に優れるPCP/MOF等も知られている。一般的には耐水性が低いものが多いが,この耐水性の低さを逆手にとってPCP/MOFを実用化したユニークな例も知られている。また一般にガス吸着,分離は常温に近い温度で行われることも多く,高い耐熱性は要求されない場合も多い。

PCP/MOFの機械強度,硬度等は一般的に低いが,他の材料と比較して,必ずしも極端に低いわけではない4)。ただし結晶の安定性は低いものが多く,母液中では安定だが,乾燥させると単結晶性を失うPCP/MOFは多い。単結晶X線結晶構造解析の測定のために低温にすると,一般的には細孔内のゲスト分子(合成溶媒や大気中の水)の脱離を抑制できる場合が多いため単結晶性を保持しやすくなるが,含水溶媒で合成された単結晶では,水の凍結,膨張等により結晶性が失われてしまうという,おそらくゼオライトではあまり起こり得ないようなケースも見られ,結晶構造の決定には苦労させられることも多い。ELM-12と呼ばれる積層型のPCP/MOFは,ゲスト分子の種類や量に依存して構造を多様に変化させる。そのため,ゲストの脱離した状態の結晶構造解析は,低沸点で揮発しやすいメタノール溶媒で合成した結晶の構造をもとにして粉末X線結晶構造解析で決めるなど,面倒な段取りで構造決定が行われている5)

2. 構造柔軟型PCP/MOF

前章で述べた結晶の不安定性は,PCP/MOFの構造の柔らかさに起因していると考えられ,比較的多くのPCP/MOFがこのような構造の柔らかさを示す。PCP/MOFのごく一部には,構造の小さな変化ではなく,物性に大きな影響を及ぼすレベルで大きく構造が変化するPCP/MOFが知られている。ガス分子の取り込みにより構造が変化する,構造柔軟型PCP/MOFの代表例を図2に示す。

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図2. 大きな構造変化を示すPCP/MOFの例

(a)ベンゼン環の回転,(b)配位子/金属イオン/配位子の挟み角の変化(通称ブリージング型),(c)噛合様式が変化する嵌合型,(d1, d2)スタック型.(d1)は側面図,(d2)は上面から見た図.各図の丸いイラストはゲスト分子.

図2(a)は配位子の芳香環が回転することで細孔入り口の大きさが変化し,ガスの吸着特性が変化するタイプであり,sod型のネットワークを有するZIF-8と呼ばれるPCP/MOFが典型例である。図2(b)は配位子/金属イオン/配位子の挟み角が変化するタイプで,ブリージング型と呼ばれる構造変化を生じ,MIL-53等が典型例である。図2(c)は,噛み合い型のネットワークの相対位置が変化することで空間が生じるタイプで,嵌合型と呼ばれる。図2(d)は,2次元の網目状格子がスタックしたPCP/MOFで,(d1)は横から,(d2)は上から見たイメージ図である。これは格子間距離が変化することで格子の間に空間が生じ,ガスが取り込まれるタイプで,ELMと呼ばれるPCP/MOFが典型例である6)

構造柔軟性を有するPCP/MOFの特殊な性質として,ガスのゲート型吸着が挙げられる。2001年にIUPACのガス吸着の6分類では分類不能な特殊なガス吸着(N2, CO2)が報告され,後にELM-11と命名された。またこのPCP/MOFが示す特殊な等温線形状は「ゲート吸着」と命名された7)。ただし2001年時点では,正確なPCP/MOFの構造,ゲート吸着が生じるメカニズムは解明されていなかった。2002年には,類似の積層型のPCP/MOFのネットワークがゲスト交換により相対位置を変化させることが知られていたため8),同様の現象がELM-11でもガスにより引き起こされていると推定されていたが,構造柔軟性があるため,X線での結晶構造決定が難航した。2003年に,図2(c)に示す嵌合型のPCP/MOFに関し,脱溶媒に伴いPCP/MOFの構造が変化し,これがゲート型の吸着現象を生じさせていることが示唆された9)。その後,図2に示した種々のPCP/MOFの構造変化と,特徴的な等温線形状には多様な種類があることが報告された。図3に,構造柔軟型PCP/MOFがガス吸着による構造変化で示す等温線を示す。図3(a)で示される型の等温線は,図2(b)のブリージング型の構造変化をするPCP/MOFでよく見られるタイプである。ただし,初期の立ち上がりが細孔によるもの,その後の急激な等温線の立ち上がりが構造変化に由来する複合型の等温線のケースもある。図3(b)の,低圧部では吸着がほとんどなく,一定圧(ゲート圧)を超えたところで急激に吸着量が増大する型の等温線は,図2(d)の積層型のPCP/MOFに典型的である。この急激な吸着量の変化は,積層状のPCP/MOFが,ガス分子と包接体を形成する際に,協同現象が生じる特殊なメカニズムによると理解されている10)。前記のELM-12と呼ばれる積層型のPCP/MOFは,図3(c)の階段状の吸着等温線を示す。ELM-12もELM-11も基本構造は2次元積層型で同じであるが,ELM-11は,吸着前構造に細孔がないのに対し,ELM-12は僅かではあるが細孔が存在するため,図3(c)のような細孔吸着とゲート吸着の複合型の特殊な等温線を示す5)。構造柔軟型PCP/MOFに関しては,最初の報告から約20年が経過し,多様な構造と構造変化,機能が報告されている。これらの構造変化と吸着特性の解析のためには,後述する,X線–吸着同時測定装置やラマン–吸着同時測定装置等の特殊な技術が利用されている11–13)

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図3. 代表的なゲート型吸着等温線

X線–吸着同時測定は,温度やガスの圧力を制御しながらX線測定を行うことで,構造変化型PCP/MOFの,ガス吸着に伴う構造の変化や,ガス吸着状態を観察する特殊な技法である。SPring-8やあいちシンクロトロン光センター等の大型放射光施設の粉末X線ビームラインに備えられたガスラインや,(株)リガクから市販されている,粉末X線に,クライオスタットとガス吸着制御装置(マイクロトラックベル(株)製)を組み込んだラボ機等で測定を行うことができる。一般的な装置とは言い難いが,大学や企業への普及が始まっており,粉末X線,ガス吸着装置の扱いになれた研究者であれば比較的容易に測定を行うことができる。

前述の構造柔軟型PCP/MOFは,構造変化の前後とも結晶である,crystal-to-crystal型変化を示す場合が多いが,熱や圧力等で結晶性を失い,アモルファス化するPCP/MOFも報告され,これらは第4世代PCP/MOFとして分類され,注目を集め始めている14)

3. PCP/MOFの構造評価

溶媒中で合成されたPCP/MOFは,一般に合成または洗浄に使用した溶媒分子を細孔内に内包し,熱重量分析(TGA)や示差熱分析(DTA)により溶媒分子の脱離や相変化現象が確認できる。また77 KにおけるN2吸着等温線のBET解析により比表面積を見積もることなどが可能だが,これらの評価方法はゼオライトと共通であり,本稿では割愛する。本稿ではその他の構造評価やPCP/MOFに特有の構造変化の解析について,X線構造解析を中心に簡単に紹介する。

3.1 構造評価と構造変化について

3.1.1 X線構造解析

PCP/MOFのほとんどは,ゼオライトと同様な結晶性固体であり,その構造決定においてX線構造解析は非常に重要である。多くのPCP/MOFは単結晶として調製でき,単結晶X線回折(SCXRD)の測定により構造解析・決定が可能である。実際の測定では一般的な測定と同様に単結晶をガラス棒やナイロンループ,ポリイミド性フィルムなど非晶質物質の先端にマウントし,回折ピークを取得する。しかし,前述の通り一部のPCP/MOFは化学的安定性が乏しく,大気中に曝すことで細孔内の溶媒の脱離や空気中の水分との反応,空気酸化により結晶性が失われ,構造決定に必要なデータが得られなくなる。このようなPCP/MOFは,ガラスキャピラリーの中に単結晶を溶媒と共に封じることで,単結晶性を維持したまま測定できる。またPCP/MOFの骨格構造は,金属イオンと有機配位子による比較的柔軟な配位結合により形成されるため,中心金属の配位環境を変化させながら構造変化を示すことがある。安定性が高いPCP/MOFの場合はsingle-crystal-to-single-crystal型変化を示し,変化後もSCXRDの解析による構造決定が可能だが,一部のPCP/MOFでは結晶性は維持しているものの構造解析に十分な単結晶X線回折ピークが得られないことがある。この場合,リートベルト解析による構造解析が有効である15)。リートベルト解析は,結晶構造モデルを粉末X線回折(XRPD)パターンから得られるピーク位置や形状などのパラメーターから最小二乗法により精密化し構造解析する手法である。この手法は解析に結晶構造モデルが必要となるため完全に未知の構造の解析はできないが,構造モデルを組み立てることができれば非常に有力な構造解析手段である。

前章で構造柔軟型PCP/MOFであるELM-11が,構造変化に伴い単結晶性を失うために単結晶X線解析による構造決定が難しいことを述べた。そこで,広域X線吸収微細構造(EXAFS)とXRDパターンフィッティングの結果に基づいて構造モデルを構築し,それを元にリートベルト解析により構造精密化することで構造決定が達成された16)。また前述したELM-11のゲート吸着に伴う構造変化について,CO2を用いて詳細に研究されている17)。CO2内包ELM-11の構造を分子シミュレーションによりモデル化し,放射光粉末回折データのリートベルト解析と組み合わせることで,精密な構造決定と細孔内CO2の可視化に成功している。ゲート吸着によって複雑な構造変化を示すPCP/MOFの構造を,このような手法で精密化に成功したのは初めての例だと考えられる。また細孔中のCO2分子とフッ素原子の相互作用が観察され,構造変化に影響を及ぼしていると考えられている18)

ここまでにSCXRDとリートベルト解析による構造解析・精密化について述べたが,構造精密化に用いない場合でもPCP/MOFのXRD測定はゼオライトと同様に日常的に用いられる基礎分析の一つである。SCXRD解析により構造が決定されている化合物はその構造データから容易にシミュレーションパターンが得られ,このパターンと実測のXRDパターンを比較することで同構造であることが判断できる。PCP/MOFは異なる中心金属や置換基を導入した配位子を用いることで同一の骨格構造を構築でき,そのXRDパターンは若干のピークシフトや形状変化はあるものの同様なパターンを示す。そのため複数の組み合わせの内,1種でも単結晶構造解析に成功すれば,その化合物群の構造同定も可能となる。その他にも,PCP/MOFのサイズ依存的な物性評価やハイブリッド材料の調整のために,ナノ粒子化や薄膜化したPCP/MOFが合成されるが,目的のPCP/MOFが合成できているか確認するために必須の測定である19,20)

PCP/MOFの構造変化は前述した通りゲスト分子の吸脱着の他に温度変化によっても誘発される。近年これらのガス等により誘起される構造変化を観察するためin situによるXRDが活用されている。この測定のセットアップは通常,PCP/MOF粉末を充填したガラスキャピラリーを接続したガス処理装置と液体窒素吹き付けによる温度制御がベースとなる。これにより,任意のガス圧力や温度に調節しながらXRD測定することで,断続的に構造変化を観測することができる。吸着–X線同時測定については,3.1.2でより詳細に記述する。

3.1.2 吸着–X線同時測定

ELM-13はELMシリーズの一つであり,他のELM系材料と同様に2次元格子層が積層した層状化合物である21)。ELM-13はアセトン溶媒を用いて合成することができるが,単結晶構造解析より,合成時にはアセトンを内包し,隣接層間距離は6.84 Åとなっていた。図4にはin situで測定したアセトン脱離–吸着による放射光XRDパターン変化を示す。ELM-13の構造はa軸方向に2次元格子層が積層しており,bc軸方向は2次元格子層の方向となっている。アセトン分子を内包した構造ではミラー指数020および002の回折線は近く,2次元格子のゆがみは小さい状態にある。しかし,30°Cで真空引きするとミラー指数020の回折線は高角側にシフトし,一方ミラー指数002の回折線は低角側にシフトする。これは,図4に示すように2次元格子が大きくゆがんでいることを意味する。30°Cから50–110°Cに加熱温度を上げるとアセトン分子の脱離が進み,ミラー指数020および002の回折線の変化が大きくなるとともに,他のELM材料と同様に2次元層間距離が減少するため200の回折線が高角側に大きくシフトしていることがわかる。真空加熱処理でアセトンを脱離させたのち,室温付近でアセトン蒸気を導入すると,2次元格子構造のゆがみの解消と2次元層間距離の拡張が起き,単結晶構造解析時の構造に類似した状態に戻ることがわかる。このように,吸着–脱着状態のin situのXRD測定を行うことで,PCP/MOFの大きく,複雑な構造変化をとらえることができるようになる。

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図4. ELM-13のアセトン吸脱着に伴うXRDパターン変化

3.2 X線構造解析以外の分析による局所的構造評価

またXRD測定以外にも赤外・ラマン分光,NMR,EPR等の方法でより詳細な局所的な構造解析が行われている。

3.2.1 赤外(IR)・ラマン分光

X線構造解析技術が未発達で,X線での構造決定が容易ではなかった時代には,対イオンの配位等を中心にIR,ラマン分光での構造の検討は極めて重要だった22),X線測定装置および技法の発展に伴い,IR,ラマン分光による構造決定の重要性は低下した。しかしながら現在でも,細孔内に存在する合成時の溶媒などのゲスト分子挙動やPCP/MOFとの相互作用,骨格構造の安定性の評価に関してはIR測定が利用される場合もある23,24)。さらにガス吸着挙動に関しては,ガス分子の状態評価,特に配位不飽和部位を有する中心金属を含有するPCP/MOF(通称Open metal Site PCP/MOF,OMS-PCP/MOF)に関してよく活用されている。ガス分子の吸着により構造が変化するPCP/MOFに関しては,吸着–IR同時測定装置,吸着–ラマン同時測定装置による吸着状態およびPCP/MOFの構造変化の評価が重要な働きを果たしている。佐藤らは,カゴメ型と呼ばれる構造を有するOMS-PCP/MOFがCO吸着により構造が変化する様子を,吸着–IR同時測定装置と吸着–X線同時測定装置を併用することで,COの吸着状態が構造変化に及ぼす影響を明確にしている25)。堀らは,超低周波領域での吸着–ラマン分光法を用いて,Cu-JAST-1と呼ばれるPCP/MOF中のフェニル環の回転運動を検討し,CO2,Ar,N2などのゲスト分子の吸着により著しく抑制されることを明らかにし26)

3.2.2 NMRとEPR

吸着による構造変化は,多くの場合,吸着–X線同時測定装置により評価されるが,骨格構造全体の構造変化や,対イオンや配位子中のベンゼン環等の運動や相互作用,細孔内のゲスト分子の挙動について,NMRによる解析も利用されている27–31)。またNMRでは反磁性体のみが測定・分析が可能となる一方で,EPRでは不対電子スピンの分析を行うため,PCP/MOF骨格構造中の常磁性中心金属の配位環境の分析に有用であり,中心金属周りに注目した構造変化の分析が活用されている32)

4. 実用化への取り組み

4.1 PCP/MOFの優位性,デメリットと産業応用

ゼオライトや活性炭が,触媒やガス分離の分野で産業上重要な役割を果たしていることから,デザイン性に優れるPCP/MOFは,既存の多孔体を超える機能性材料を創出しうるとして,産業応用に大きな期待が寄せられてきた。実際,PCP/MOFの学会で併催される企業向けのセッションでは,ヒートポンプ型エアコン用のために,PCP/MOFが数百キログラム規模で量産され始め,2025年にはガス貯蔵・分離,ドラッグデリバリーシステム,触媒,センサー等で実用化され,10億円市場が形成されるという見通しが発表されるなど,PCP/MOFの実用化に関する期待は大きく膨らんでいる。ただし,現時点では大きな市場形成には至っていない。

PCP/MOFは非常に多くの種類の金属イオンと配位子を利用できることから,デザイン性に優れていると言われる。例えば2座のカルボン酸型配位子が含むベンゼン環の数を変える,あるいは側鎖を導入することで図5のような,細孔のサイズ,細孔壁の形状を制御したPCP/MOFの合成が可能となる。このような自由な細孔デザインは科学者の夢とも言えるが,産業応用の視点から考えると,特殊な配位子合成コスト,それを用いた特殊なPCP/MOFの合成コスト,PCP/MOFの安定性等,デメリットも大きくなりがちである。特殊医療,軍事,宇宙航空等,機能のためにはコストが度外視されるような特殊分野33)を除けば,PCP/MOFのデザイン性により高機能が実現されても,トータルのコストパフォーマンスが既存材料に劣っていれば,当然実用化は難しい。このため,非常に安価で分離が要求されるCO2分離の場合は,PCP/MOFの性能はゼオライトを超えているとする論文も少なからずあるが,トータルパフォーマンス的には,必ずしもPCP/MOFが吸収液やゼオライトを使用した既存の分離法に対して大きな優位性を持つとは言えず,また産業界からの安価分離の要求には,十分には応えられていないようである34,35)

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図5. マグネシウムイオンと配位子から合成される多様な構造のPCP/MOF

(a)ベンゼン環2個を含む配位子(水酸基の側鎖),Mg-Mg距離は約2.5 nm.(b)ベンゼン環5個と,2個のヘキシル機,4個のメチル基,6角形の対角のMg-Mg距離は約4.7 nm.(c)ベンゼン環11個と,4個のペンチル基,14個のメチル基,Mg-Mg距離は約10 nm.いずれもネットワークの1格子分を抜書き.

PCP/MOFの論文が急激に増え始めた2000年代初頭は,ジメチルホルムアミドを溶媒とした高温を要するPCP/MOF合成法や,高温高圧を必要とするソルボサーマル法を用いたPCP/MOFの合成報告が多く,また単結晶合成を目的とした反応で収率が極端に低い論文も多かった。さらに高価な合成配位子を用いたPCP/MOF合成論文も多く,結果としてPCP/MOFは高価で作りにくい材料という印象が広まってしまった感がある。ただしその後,硫酸アルミニウムやテレフタル酸などの非常に安価な原料から機能性のPCP/MOFを合成する論文,あるいは,室温で短時間の反応でPCP/MOFを合成する論文等が多数発表されている36)。加熱工程がなく,ほぼ混ぜた瞬間に高収率で得られるPCP/MOFは,明らかに活性炭やゼオライトに比して製造コストは低くなると考えられるが,残念ながら,安価な原料,安価な製造法で合成でき,なおかつ既存材料を超える特性を発現するような,三拍子揃ったようなPCP/MOFは未だに開発されていないようである。結果として,PCP/MOFは必ずしも高価な材料ではないし,既存材料を遥かに超える特性を発現しうる材料ではあるが,トータルコストパフォーマンスが必ずしも高くならないことが,実用化にされたPCP/MOFは未だに数少ない理由と考えられる。

実用化されたPCP/MOFの例としては,MOF Technologies社が開発した,毒性を有する半導体ガス用の,PCP/MOFを充填したボンベ(NuMat Technologies社のION-Xボンベ)が挙げられる。産業用の安価なガスボンベではなく,高価な半導体ガスであり,また毒性を有するため,ボンベに充填された大きな比表面積のPCP/MOFにより低圧で多量のガスを保持できる特性により実用化につながった好例といえる。また多くのPCP/MOFは耐水性が低いが,この一般には弱点と思われる特性を利用して実用化した例が,同じくMOF Technologies社から実用化された,果物類の鮮度保持材である“TurPick”である。果物の鮮度を低下させるエチレンの効果を阻害する因子をPCP/MOFに吸着させておき,冷蔵庫内の水分でPCP/MOFが壊れる際に,吸着されていた成分が放出され,果物の鮮度低下を防止する仕組みであり,こちらも着眼点の勝利と言える。これらの例の通り,PCP/MOFの特徴を生かせる特殊な分野での実用例はいくつか出始めているが,市場が大きい一般用途,産業用途での実用例はまだなく,今後の発展が期待されている。

4.2 構造柔軟型PCP/MOFのガス分離への応用

前記の通り,構造柔軟型PCP/MOFは,既存材料では考えられない大きな材料構造の変形により,ゲート型の吸着特性を示すという特殊な性質を示す。このようなPCP/MOFならではの特性を生かしたガス分離が検討されている。

地球温暖化防止を目的として将来の大規模CO2分離システムの開発が行われており,吸着剤としてはCO2吸着量が多い,ゼオライト13X相当とされる東ソー製のF-9HAが検討されている37)図6にF-9HAと,ゲート型PCP/MOFのELM-11のCO2吸着等温線(25°C)の脱着枝を示す。表1に,それぞれの吸着剤の所定圧力でのCO2吸着量(25°C)を示す。F-9HAのCO2吸着量は100 kPaで117 mL(STP)/gと多いが,CO2との親和性が高いため,20 kPaでも依然として85 mL(STP)/g(100 kPaでの吸着量の73%)のCO2を吸着している。一方で,ELM-11は70 kPa付近からCO2の脱着が始まり,40 kPaではほとんどのCO2が脱着している。これは,このゲート圧を境に構造が変化し,吸着していたCO2が脱着するという特殊なメカニズムによる。表2に,それぞれの材料に100 kPaでCO2を吸着させ,所定圧まで減圧した場合に回収可能なCO2量を示す。F-9HAは,10 kPaまでの減圧で100 kPaで吸着したCO2の約4割,5 kPaまでの減圧でやっと6割が回収できるに過ぎないが,ELM-11の場合は,40 kPaで99%が回収可能である。真空ポンプのエネルギー効率は真空に近づくほど低下するため,ゼオライトよりも遥かに高い圧力でCO2を回収できる構造柔軟型PCP/MOFでは,より省エネのCO2プロセスを創出できる可能性がある。昭和電工株式会社と日本製鉄株式会社は,このような構造柔軟型PCP/MOFを利用したCO2分離システムの開発を,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業のCO2の分離回収等技術開発プロジェクトにおいて着手している38,39)。PCP/MOFを利用したガス分離を目的とした国家プロジェクトは国内外で多数行われてきたが,構造柔軟型PCP/MOFに特化した大型国家プロジェクトは世界初であり,特殊なPCP/MOFの機能を生かした省エネ型CO2分離システムの創出が期待されている。

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図6. F-9HA(●)とELM-11(○)のCO2脱着等温線(25°C)

表1. F-9HAおよびELM-11の脱着過程における各圧力でのCO2吸着量(mL (STP)/g,25°C)
100 kPa40 kPa20 kPa10 kPa5 kPa
F-9HA117101856847
ELM-11731000
表2. F-9HAおよびELM-11の100 kPaから各圧力まで減圧した際のCO2回収量(mL (STP)/g,25°C)(カッコ内は回収%)
40 kPa20 kPa10 kPa5 kPa
F-9HA16(14)32(27)49(42)70(60)
ELM-1172(99)73(100)73(100)73(100)

ELM-11のような,急峻な1段型のゲート吸着と異なり,2段型の吸着現象のメリットは必ずしも明確にされていないが,2段型ゲートを示すELM-12は,プロパン/プロピレンの高効率な分離が報告されている40)

5. まとめ

PCP/MOFの柔軟性に起因した構造変化や特殊な吸着挙動について例を示すとともに,X線やIR,ラマン,NMRを利用した構造解析手法,さらには実用化への取り組みについて紹介した。PCP/MOFの構造変化は骨格構造中の空間の変形を生み出し,ゲート型吸着やブリージング型吸着といった,ゼオライトなど剛直な多孔性材料では見られない特殊な吸着挙動を示す。PCP/MOFはゼオライトと同様に単結晶X線解析により構造決定が可能だが,その構造柔軟性ゆえに単結晶性が不安定な場合があり,溶媒雰囲気下での測定も行われる。また構造が変化した際にはその単結晶性を失ってしまうことが多々あり,シンクロトロン放射光粉末XRDパターンをリートベルト解析による構造精密化も利用される。またXRD測定以外にも局所的な構造解析のために,IR・ラマン分光,NMR,EPR測定も非常に有用な分析である。PCP/MOFの構造変化と特殊な吸着挙動を解析するために,吸着とX線,あるいはラマンの同時測定ができる技術が利用されている。PCP/MOFの実用化例はまだそれほど多くないが,多量の毒性ガスを低圧で保持できるPCP/MOF充填ボンベ等PCP/MOFならではの特徴を生かした商品が実用化されている。今年度には,構造柔軟型PCP/MOFを利用した高効率なCO2分離システム開発を目指した大型国家プロジェクトも始動している。今後もPCP/MOFならではの特性を生かした産業応用の発展が期待される。

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