日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 39(3): 96-111 (2022)
doi:10.20731/zeoraito.39.3.96

解説解説

気水界面を利用した多孔性フレームワーク結晶MOF/HOFナノシートの合成・解析・応用Metal-organic Framework and Hydrogen-bonded Organic Framework Nanosheets Assembled at Air/Water Interfaces—Synthesis, Characterizations and Applications

大阪公立大学大学院工学研究科物質化学生命系専攻マテリアル工学分野Department of Materials Science, Graduate School of Engineering, Osaka Metropolitan University ◇ 〒599–8570 大阪府堺市中区学園町1–2

受理日:2022年6月4日Accepted: June 4, 2022
発行日:2022年7月15日Published: July 15, 2022
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厚さが数ナノ~十数ナノメートルのシート状のナノ材料は,ナノシートと呼ばれ,究極に薄い機能材料として,小型化,省資源性の観点から注目を集めている。これまでに報告されている多くのナノシートは,マクロスケールの材料を剥離することにより製造されるが,高温・高圧下でのマクロ材料の合成,剥離,剥離体(ナノシート)の分散液の調整,剥離体の製膜など,多くのプロセスを要する上,超音波などの刺激を必要とする剥離の過程でナノシートが劣化したり,再凝集が起きたりする問題があった。我々は,常温常圧下で水面上にナノシートの構成要素となる有機分子を含む溶液を滴下するという極めて簡便な方法で,結晶性かつ多孔質の配位高分子(MOF : metal-organic framework)や,有機分子が水素結合により連結した水素結合フレームワーク(HOF : hydrogen-bonded organic framework)のナノシートを作製することに成功した。気体と水が接する界面,すなわち気水界面で有機分子が2次元方向に連結することで,規則正しく穴が空いたシートができ上がる。このナノシートは,気水界面で凝集することなく安定に存在し,多孔質構造を保持したまま,用途に応じて様々な基板に転写することが可能である。このような,分子が規則正しく配列し,形状とサイズが揃った細孔を有するナノシートは,高性能な分離膜,有機薄膜太陽電池,センサ,電池の電極への応用が期待される。本解説では,気水界面を利用したMOFおよびHOFナノシートの合成に関して詳細に説明する。

Sheet-like nanomaterials with thicknesses ranging from a few nanometers to a dozen nanometers are called nanosheets. Since they are the ultimate thin functional materials, they contribute to miniaturize various devices/products and resource conservation. Many nanosheets reported so far are produced by exfoliating macro-scale materials. This requires many processes such as synthesis of macro-scale crystals under high temperature and high pressure, exfoliation, preparation of dispersion solutions for exfoliated materials (nanosheets), and film formation of exfoliated nanosheets. In addition, the exfoliation process requires chemical or physical stimulations such as sonication under existence of solvents or grinding which causes degradation and re-agglomeration of the nanosheets. We have developed a simple method by utilizing air/water interfaces for creating molecular nanosheets. The major process is dropping a solution containing organic molecules, which are the building blocks of nanosheets, onto a water surface at room temperature. With the air/water interfacial synthesis, we have succeeded in creating nanosheets of crystalline and porous coordination polymers (MOFs: metal-organic frameworks) and hydrogen-bonded organic frameworks (HOFs: hydrogen-bonded organic frameworks). Organic molecules spread at the air/liquid interface connect each other in a two-dimensional direction and align regularly, resulting in formation of crystalline nanosheets with uniform nanopores. These nanosheets are stable without aggregation at the air/water interface and can be transferred to various substrates depending on the required application while retaining their porous structure. Such nanosheets with regularly arranged molecules and nanopores of uniform shape and size can be used diverse applications including high-performance separation membranes, thin film solar cells, molecular sensors and electrodes of batteries. In this article, detailed synthetic procedures of MOF and HOF nanosheets using the air/water interface are explained together with their characterization methods and potential applications.

キーワード:多孔性配位高分子;水素結合;気水界面;ナノシート;ラングミュア–ブロジェット膜

Key words: metal-organic framework (MOF); hydrogen-bond; air/water interfaces; nanosheet; langmuir–blodgett films

1. はじめに

高度情報化社会において,電子機器に対するより軽く・薄くといった社会的要求に加え,省資源化が望まれる中,ナノメートルスケールの厚みを有する2次元物質は,究極に薄い機能材料として注目を集めている。また,マクロスケールの材料に見られない特異な化学的・物理的性質を示すため,その基礎特性にも興味が持たれる。真空蒸着法やスパッタ法などの気相法やスピンコート法,ディップコート法などの液相法により,固体基板上に薄膜を作製する方法は古くから知られているが,得られる膜の結晶性や配向状態は基板の種類に大きく左右される。固体基板を用いずに2次元物質が安定に得られれば,基板の種類を問わず様々な基材上に2次元構造を保持したまま転写して使用することが可能となり,その用途が大きく広がる。このような自己保持型のナノスケール2次元物質をナノシートと呼ぶ。ナノシートが,ナノスケールでサイズと形状が揃った細孔を有する場合には,分離膜,分子センサ,触媒,エネルギー創製・貯蔵材など,さらなる応用の幅が広がる。

グラフェンはナノシートの代表として盛んに研究が行われており1),その他金属酸化物2)や金属カルコゲナイト3)のナノシートが報告されている。一方で,有機分子を構成要素として得られる分子ナノシートは,構造設計性に優れ,分子の大きさや形状により骨格構造を変化させることができるため,多様なナノシートの創製が期待される。分子ナノシートの創製において,分子間の連結には共有結合のみならず,金属イオンとの配位結合,水素結合,分子間力を利用することも可能であり,分子の種類や作製条件を変えることにより,単層ナノシートに加え,多層ナノシートも得られる(図1)。

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図1. 気水界面を用いた結晶性分子ナノシートのボトムアップ創製

これらのナノシートのほとんどは,トップダウン式,すなわち,マクロスケールの材料を剥離することにより得られる。この方法においては,高温・高圧化でのマクロ材料の合成,剥離,剥離体(ナノシート)の分散液の調整,分散液からの製膜など,多くのプロセスを要する。また,剥離の際に,超音波や剥離溶媒の添加など,物理的・化学的刺激を必要とするため,ナノシートの破壊,剥離後の再凝集,固体基板上への均一な製膜が困難など,多くの課題がある。

気体と水が接する界面,すなわち気水界面を用いた単分子膜の作製は,ボトムアップ式に分類され,ラングミュア–ブロジェット膜として古くから知られている4–6)。親水基と疎水基の両方を含む,両親媒性の界面活性剤の溶液を水面に滴下すると,界面活性剤の分子が向きを揃え,ファンデルワールス力により密に整列するため,ナノシート中にサイズの揃った細孔を作ることは困難であった。

様々な応用の可能性を有する多孔性のナノシートを,簡便な方法で作製する技術の開発が望まれている中,我々は,作製プロセスが少ない気水界面を利用したボトムアップ式に注目し,手法の開発に取り組んできた。そして,気水界面を利用することで,有機分子と金属イオンからなる多孔性配位高分子(MOF: metal-organic framework)ナノ薄膜の作製に成功した(NAFS-1: nanofilm of metal-organic frameworks on surfaces no.1と称する)7,8)。これは結晶性かつ配向性を有するMOF薄膜の初めての例である。気水界面にて得られたMOFナノシートを固体基板に転写し,転写プロセスを繰り返すことで膜厚を精密に制御し,3次元的に結晶性を有するナノ薄膜が得られた。構成要素や合成法の改良により,多様な構造を有するMOFナノシートが得られ9–14),最近では,高い電気伝導性を有するMOFナノシートの作製にも成功した15)。さらに,気水界面合成法により,有機分子が水素結合により連結したHOF(hydrogen-bonded organic framework)16)ナノシートも得られ,このHOFナノシートは同じ有機分子からなるバルク結晶とは異なり,気水界面に特異的に形成する結晶構造を有することがわかった。これらMOFおよびHOFナノシートの合成方法,解析手法,および応用展開に関して解説する。

2. ポルフィリンを有するMOFナノシート

2.1 気水界面におけるMOFナノシートの形成とその場X線回折測定

MOFナノシートを構成する分子として,カルボキシル基を有する金属ポルフィリン(PdTCPP, 図2左上)を用いた場合について紹介する9)。ポルフィリンは,拡張π共役系を有する安定な平面性複素環分子であり,その配位能,光機能性,酸化還元活性から,錯体化学,光化学,触媒化学にわたって幅広く研究されている。このような機能性に優れるポルフィリンをナノシートに組み込むことで,分子センサ,光電変換素子,触媒などへの応用が期待される。

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図2. PdTCPPを用いたナノシート(NAFS-13)の作製と表面圧(π)–平均分子占有面積(A)等温線

まず始めに,下層液としてトラフと呼ばれる浅い容器を硝酸銅水溶液で満たした(図2下)。ここに含まれる銅イオンは,PdTCPPのカルボキシル基と反応し,PdTCPP分子同士を連結させる役割を果たす。PdTCPPを有機溶媒に溶解した溶液を展開液として下層液上に散布し,表面圧を測定しながら液表面をバリアで圧縮した。バリアとは,トラフの端に液面に接触するように設置した角柱のことである(図2下)。バリアを液面に接触させた状態でトラフの中央に向かって平行移動させると,トラフの有効な表面積が小さくなる。この動作を,表面圧縮と呼ぶ。平均分子占有面積(A)に対する表面圧(π)の変化から(図2右上),ナノシートの形成状態やナノシート中の分子の配向を調べた6)。金属イオンを含まない純水を下層液に用いた場合に比べ,硝酸銅水溶液上では,大きな平均分子占有面積において表面圧が上昇していた。この違いにより予想される下層液上での分子配列を図3に示す。純水上では,表面圧縮に伴い隙間が小さくなるようにPdTCPPが密に配列する一方,硝酸銅水溶液上では,PdTCPPのカルボキシル基に銅が配位することでPdTCPPが液面に対して水平に配向し,正方格子を形成することが想定される。表面圧が10 mN/mにおいてそれぞれのナノシートを石英基板に転写し,得られた紫外可視(UV-Vis)吸収スペクトルを図4に示す。純水上で得られた420 nm付近の強い吸収はPdTCPP由来であり,純水上で得られたナノシートの方が吸光度が大きい,すなわちナノシートに含まれるPdTCPP分子の数が多く,純水上ではPdTCPPがより密に配列していることが示唆される。

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図3. π–A等温線から想定される分子配列

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図4. PdTCPPからなるナノシートのUV-Vis吸収スペクトル

ナノシートの結晶性を確認するため,気水界面におけるその場放射光X線回折測定を行った。回折計に組み込まれた二重防振台の上にトラフを配置し,上述の通り,硝酸銅水溶液上にPdTCPP溶液を展開し,PdTCPP-Cuナノシート(NAFS-13)を作製した。図5(a)にNAFS-13のπ–A等温線,図5(b)に各表面圧における面内X線回折パターンを示す。表面圧上昇前の0 mN/mの状態において結晶性に由来する鋭い反射ピークが複数観測された。この結果は,液面上でPdTCPPと金属イオンとの間に配位結合が生じ,表面の圧縮なしに自発的に結晶性のナノシートが形成されていることを示唆している(図6)。類似分子によるバルク結晶の構造解析を参考に10),得られた回折パターンから構築したNAFS-13ナノシートの構造モデルを図5(c)に示す。PdTCPPのカルボン酸がCuイオンと反応することで連結し,正方格子状の2次元ネットワークを形成している。表面圧が上昇しても,回折ピークの位置は変化しないが,ピークが幅広になる傾向が見られた。このことは,結晶状態が保持されたまま表面圧縮によりナノシートが寄せ集められ,過度な圧縮によりナノシート同士が衝突してナノシートが崩壊することを示唆している(図611)

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図5. (a)NAFS-13のπ–A等温線,(b)各表面圧における気水界面XRD測定により得られた面内回折パターン,(c)NAFS-13の面内構造モデル

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図6. 気水界面におけるMOFナノシートの形成過程

これらの結果より,気水界面におけるナノシートの作製においては,分子の下層液上への展開,表面圧縮が重要なステップであり,これらの作製条件がナノシートの大きさや結晶状態に影響を与えることがわかった。

2.2 気水界面における錯形成反応制御によるMOFナノシートの大面積化

気水界面を用いた手法は,結晶性のMOFナノシート作製に有望であるが,応用利用する上では,均一化および大面積化が重要な課題である。上述の通り,気水界面における反応制御がナノシートの形成状態を左右する重要な鍵であることがわかった。この知見をもとに,新しいナノシートの作製手法を開発した。従来の方法では,展開液を下層液上に散布する際に,気水界面にミクロスケールの乱流が起こり,ナノシートの形成に影響を与える。界面における錯形成反応を穏やかに進行させることでナノシートの成長を促し,大面積化が期待される。そこで,まず金属イオンを含有しない純水上に構成分子であるPdTCPPを散布し,静置した。その後,純水下層液中にゆっくりと銅イオンを注入する手法を開発した(post-injection法,図79)。この手法においては,PdTCPP分子が気水界面に静置された状態で銅イオンが純水中を拡散しながらPdTCPPに到達していくため,界面に乱れが生じない。反応の進行を確認するために,銅イオンの注入前後において気水界面におけるその場X線回折測定を行った。注入前はXRDプロファイルにおいて回折ピークが観測されなかったため,PdTCPPのみでは長周期構造を構築せずに2次元状に凝集膜を形成していると考えられる(図8)。一方で,銅イオン注入後には,高い結晶性に由来するピークが複数観測された。また,従来の方法で作製したナノシートよりもピークの線幅が狭くなっていることから,よりサイズの大きなナノシートの形成が示唆された。さらに,液面上の膜状態をBrewster角液面顕微鏡により観察したところ,従来法で作製したナノシートにおいては凝集を示す白い斑点が観測されたが,post-injection法で得られたナノシートにおいては斑点が見られず均一な状態が確認された(図9)。銅イオンが下層液中に拡散し気水界面に静置されたPdTCPPと穏やかに反応していくため,ナノシートが成長しサイズが拡大したのみならず,凝集部分のない均一なナノシートを得ることができた。

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図7. Post-injection法の概要図

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図8. 下層液への硝酸銅水溶液注入前後のXRDパターン

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図9. Brewster角液面顕微鏡によるNAFS-13ナノシートの表面モルフォロジの観察

このように,作製手法を工夫し気水界面での反応を制御することに加え,配位部の種類を変更することによっても錯形成反応を変えることが可能である。ポルフィリン外周のカルボキシフェニル基をピリジンに変更し,銅イオンと共にナノシートを作製した12)。カルボキシル基は銅イオンと結合する際にプロトンが脱離し,マイナス一価の配位子として働くが,ピリジンは中性配位子である。得られたナノシート(NAFS-21)は高い結晶性を有し,XRD測定により得られたピークの線幅は回折計の測定限界を超えるほど先鋭であった。ピークの線幅から,少なくとも400 nm以上の均一な結晶ドメインを有するナノシートが得られていることが確認された。

2.3 分子種の変更によるMOFナノシートの構造制御

ナノシートの構成要素に有機分子を用いる利点は,分子の大きさや形状により多様な構造を有するナノシートが得られることである。我々は,ポルフィリン分子を基本骨格とし,置換基の数や長さを変更することで,骨格構造および細孔形状の異なるMOFナノシートを得ることに成功した13,14)

先述の通り,4つのカルボキシフェニル基を有するポルフィリン(H2TCPP,図10中)を用いることで結晶性のナノシートが得られる(NAFS-2)14)。ここで,H2TCPPはポルフィリンの中心に金属イオンを含まないが,得られるナノシートの面内構造は基本的にPdTCPPを用いたNAFS-13と同じである。H2TCPPに対して置換基を変更し,2つのトランス位にのみカルボキシフェニル基を有するポルフィリン(trans-H2DCPP,図10左),およびさらに長い4つの置換基を有するポルフィリン(H2TCPEPP,図10右)を用いてナノシートの作製を行った(NAFS-31, NAFS-41)13)。気水界面を用いた上述と同様の方法でこれらポルフィリン分子と銅イオンとの反応によりナノシートを作製した。得られたナノシートをSi基板に転写し,放射光X線回折測定により結晶状態を確認したところ,いずれのナノシートにおいても,高い結晶性に由来する先鋭な回折ピークが見られた。図10にXRDプロファイルから構築したナノシートの構造モデルを示す。trans-H2DCPPにより形成されたNAFS-31は,結合部が2つのみであるため,正方格子から少し歪んだ菱形になっている。そのため,単位格子の大きさもNAFS-2とは異なり,細孔を隔てる壁が取り除かれたことにより,細長い形状の細孔を含む構造となっている。一方で,H2TCPEPPにより形成されたNAFS-41は,NAFS-2よりも約9 Å長い一辺25.63 Åの正方格子を有し,格子の拡大に伴い約19.6 Åの開口を持つ細孔を有する。

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図10. ポルフィリンの置換基の変更によるナノシートの構造変調

このように,用いる分子の形状に応じて得られるナノシート構造を様々に変化させることが可能であり,分子の2次元積み木細工と言えよう。

3. トリフェニレン誘導体を有する導電性MOFナノシート15)

3.1 気水界面におけるナノシート合成

原料の分子の形状と結合の相手となる金属イオンとの組み合わせ,水面での作製条件を工夫することにより,多孔質かつ電気を流すナノシート(HITP-Ni-NS: nanosheet composed of HITP and nickel ionsと称する)を作製することに成功した(図11)。用いた分子,2,3,6,7,10,11-hexaaminotriphenylene(HATPと略する,図11左)は平らな三角形状で,電子を運ぶのに適したπ共役系のベンゼン環を4つ含む疎水性の中心部の周りに,親水性のアミノ基がバランス良く配置されている。

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図11. トリフェニレン誘導体HATPとニッケルイオンから形成されるMOFナノシート(HITP-Ni-NS)の気水界面合成

HATPをニッケルイオンが含まれる水面に散布すると,HATPは水面に広がり(図11中),プロトンが脱離して2,3,6,7,10,11-hexaiminotriphenylene(HITPと略する)となり,ニッケルイオンとの配位結合を介して次々と連結して,六角形の穴が規則正しくあいたハニカム構造を形成する(図11右)。さらに,中心部のトリフェニレンのπ電子間の相互作用により,水面に対して垂直な方向にも分子が密に積層した,立体ナノ構造が構築される。また,HITPとニッケルイオンとの相互作用により,電気のもととなる電荷が新たに生じる。π共役系や分子が密に積層した構造は電荷の通り道となり,ナノシートに電気が流れるようになる。

3.2 フレームワーク構造の直接観察

HITP-Ni-NSのフレームワーク構造の形成を調べるために,透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてナノシートの構造の直接観察を行った。約2ナノメートルの正六角形の穴が規則的にあいたハニカム構造の観測に成功し,気水界面での多孔性フレームワーク構造を有するナノシートの形成を実証した(図12)。さらに,走査型原子間力顕微鏡により,HITP-Ni-NSの厚みは約10ナノメートルであることがわかった。

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図12. 透過型電子顕微鏡(TEM)によるHITP-Ni-NS中のハニカム構造の直接観察

3.3 高い電気伝導と光透過能

HITP-Ni-NSの電気伝導度の評価を行った結果,同種の分子からなるナノシート(100ナノメートル以下の厚み)の中で最も高い電気伝導度の0.6 S/cmを有することがわかった。また,HITP-Ni-NSの光透過性の評価を行った結果,可視光領域での光透過度は99%であり,極めて高い光透過能を有することがわかった。黒鉛,導電性ポリマーなど,多くの導電体は伝導電子の特性上黒に近い色を有し,光透過性が低いことが知られているが,今回開発したナノシートは,厚さが極めて薄いがゆえに,導電性でありながら高い光透過能を達成することができた。このような光透過性の高い導電材料は,ディスプレイや太陽電池の電極として有用である。

3.4 放射光を用いたナノシートの構造評価と高い電気伝導実現の理由

従来のナノシートに比べてHITP-Ni-NSにおいて高い電気伝導を実現できた理由を探るべく,HITP-Ni-NSの結晶構造と配向の詳細を調べた。極めて薄いナノシートの評価は通常の測定装置では難しく,精密な構造解析が可能な大型放射光施設で実施した。X線回折法による構造解析により,想定していたハニカム構造と積層構造からなる立体ナノ構造が証明され(図13左),基板に転写された後も,その構造が保持されることが明らかになった。立体ナノ構造は,ナノシート中で一定方向に向きを揃えていることも確認できた(図13右)。

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図13. HITP-Ni-NS構造の概要図

電荷を人,電荷が流れる経路となるハニカム構造と積層構造を通路とエレベーターに例えて説明する(ハニカム構造が通路,積層構造がエレベーター)。通路が途切れていたり,急な坂になっていたり,エレベーターとの間に大きな穴があいていると,人の移動は困難である(図14左)。通路が平坦でエレベーターと適切に接続されていれば,通路がつながっていない部分が存在しても,人は水平方向,垂直方向にスムースに移動することができる(図14右)。HITP-Ni-NSは,後者のように,ハニカム構造と積層構造が向きを揃えて適切に接続されているため,電荷の移動がスムースになり,高い電気伝導につながったと考えられる。

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図14. HITP-Ni-NSが高い電気伝導度を有する理由を人(電荷)と通路(電荷の移動経路)に例えて説明した図

4. 気水界面で特異に形成するHOFナノシート16)

4.1 参照バルク結晶の単結晶構造解析

HOFナノシートの構成要素となる有機分子に,1,3,5-tris(4-carboxyphenyl)benzene(略称:BTB)を用いた(図15)。

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図15. 1,3,5-tris (4-carboxyphenyl) benzene(略称:BTB)の分子構造

分子の中心にベンゼン環,その1,3,5位にカルボキシフェニル基を有する正三角形状の分子である。BTBはMOF構築の有機配位子として広く用いられているが,BTB自体の結晶構造は報告されていなかったため,購入したBTBを再結晶することにより単結晶を得て,単結晶X線回折測定による構造解析を行った。その結果,BTB分子の外側に位置するカルボキシル基が隣接するBTBのカルボキシル基と二重の水素結合を生成し,正六角形状のリングを形成し,それらが二次元に広がったハニカム構造を有することがわかった(図16右下)。この正六角形リングの内径は約3 nm程度と大きく,別の正六角形リングが相互貫入することで互いにリングの隙間を埋めるようにパッキングした構造を有する。図に示すように,バルク結晶においては,ハニカム構造が三次元的に複雑に絡み合い,分子が密にパッキングした構造をとる。

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図16. BTB分子を構成要素として得られるバルク結晶の結晶構造(右下)と気水界面で特異的に創製される多孔性HOFナノシート(LINAS-1)の結晶構造(右上)

4.2 気水界面におけるHOFナノシート(LINAS-1)の形成とその場X線回折測定

基本的な作製方法は,既述したMOFナノシートと同様であるが,HOFナノシートの場合は,金属イオンを含まない純水をトラフ内に満たし下層液とした。この純水下層液表面上に展開液としてBTB溶液を散布し,表面圧を測定しながら液面をバリアで圧縮することでBTBナノシート(LINAS-1)を得た。平均分子占有面積(A)に対する表面圧(π)の変化,すなわちπ–A等温線において(図17),表面圧が急峻に上昇する直線部分を外挿し,横軸と交差する点がナノシート中の平均分子占有面積と見積もることができる。ここで,BTBが連結して図16右上に示すようなハニカム構造を構築し,単分子層であると仮定した場合の平均分子占有面積は約420 Å2である。一方で,π–A等温線から見積もられた平均分子占有面積は約3.5 Å2と小さいため,LINAS-1が単層膜ではなく多層膜であるとともに,一部のBTBが下層液中に溶出していることが考えられる。

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図17. LINAS-1の表面圧(π)–平均分子占有面積(A)等温線とBrewster角顕微鏡像

液面上でLINAS-1が形成する様子をBrewster角顕微鏡により観察した。明るい部分がLINAS-1, 暗い部分が液面である。図17中に示すように,表面圧が低い領域ではLINAS-1の形成が確認されたが,液面が完全にLINAS-1で覆われておらず,被覆率が低い。表面圧の上昇に伴い暗い部分の割合が小さくなり,表面圧が20 mN/mにおいては,表面全体がLINAS-1で覆われていることが確認された。

LINAS-1の結晶構造を確認するために,気水界面におけるその場放射光X線回折測定を行った。回折計に組み込まれたトラフを用いた,上述と同様の方法で気水界面を用いてLINAS-1を作製した。図18(a)(b)に各表面圧におけるX線回折パターンを示す。

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図18. (a)気水界面その場放射光X線回折測定により得られたLINAS-1の面内X線回折パターンと(b)面外X線回折パターン(c)LINAS-1の面内結晶構造と(d)面外積層構造

面内X線回折パターンに関して,表面圧上昇前の0 mN/mの状態において結晶性に由来する鋭い反射ピークが複数観測された(図18(a))。この結果から,BTB同士が純水上で連結し,表面圧縮なしに自発的に結晶性のナノシートが形成されていることが示唆された。図18(c)に示す通り,LINAS-1の面内結晶構造は六角格子(a=b=31.2 Å)からなることが想定され,この結晶構造に対して,面内X線回折ピークは全て(hk0)で指数付けすることができたことから,LINAS-1は完全配向していることが確認された。表面圧の上昇に伴い,回折ピークの数と位置の変化は見られなかったが,ピーク強度がいずれも上昇していることから,表面圧縮に伴い測定領域におけるLINAS-1の物質量が増加していることがわかる。これは,Brewster角顕微鏡により確認された表面圧縮に伴うLINAS-1の被覆率の上昇と一致している。このことより,表面圧縮過程でLINAS-1の高い結晶性は保持された状態で,LINAS-1のナノシートドメインがより密に集まっていることが示唆される。その場X線回折測定により得られた面外X線回折パターンにおいては,表面圧上昇前の0 mN/mの状態において,単一の回折ピークが確認された(図18(b))。回折ピークが得られた角度より算出された面間距離は3.6 Åであり,π–π相互作用距離に一致することから,π電子を含み平坦性の高いBTB分子同士が,π–π相互作用により液面上で,液面に垂直方向に密に積層した構造を有することが示唆された(図18(d))。表面圧上昇に伴う面外X線回折ピークの変化は,面内X線回折ピーク同様,ピーク位置は変化せず,ピーク強度のみ上昇が見られた(図18(b))。

4.3 固体基板に転写後のHOFナノシート(LINAS-1)の同定と評価

純水上に形成したLINAS-1をシリコン基板に転写し(図19(a)),放射光X線回折測定により結晶構造を同定した。面内および面外X線回折パターンは,液面その場X線回折測定により得られた回折パターンと同じであることから(図19(b)(c)),固体基板転写後も,高い結晶性と配向性が保持されていることが確認された。

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図19. (a)固体基板表面へのLINAS-1の転写(b)気水界面からシリコン基板に転写前後(上:転写前,下:転写後)のLINAS-1の面内X線回折パターンと(c)面外X線回折パターン

シリコン基板に転写後のLINAS-1の形状と膜厚を走査型分子間力顕微鏡(AFM)により評価した。図20(a)(b)に示すように,高さが均一なナノシート形状が観察され,高さの統計解析により膜厚を評価したところ,平均膜厚は9.3±0.2 nmと見積もられた(図20(c))。X線回折測定結果から,LINAS-1表面に垂直方向の積層構造において,面間距離,すなわち単分子層が約3.6 Åであることが示されたことから,平均膜厚は9.3±0.2 nmのLINAS-1は約26分子層の積層により形成されていることがわかった。また,AFM像と統計解析より,LINAS-1のシートサイズは平均300±10 nmであった。この結果より,LINAS-1はアスペクト比が30以上のナノシートであることが明示された。

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図20. (a)シリコン基板に転写後に観察したLINAS-1のAFM像と(b)断面像(c)AFM像の高さ解析から得られたLINAS-1の膜厚統計分布

さらに,シリコン基板上に転写したLINAS-1の赤外吸収スペクトル測定を行った結果,図21に示すように,1700 cm−1付近にBTBのカルボキシル基に含まれるC=O結合に特徴的な強い振動吸収が観測された。また,カルボン酸の二重水素結合を特徴付ける3050 cm−1を中心とした幅広なピークと2550 cm−1付近の複数のピークが観測された。これらの結果は,X線構造解析から示される水素結合によるフレームワーク形成を支持する。

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図21. BTBバルク結晶(上), 真空蒸着により得られたBTB薄膜(中),LINAS-1(下)の赤外吸収スペクトル

LINAS-1の安定性および耐熱評価を行った結果,3年以上の大気放置や,200°Cの加熱においても結晶構造は保持されることが確かめられた。

4.4 HOFナノシート(LINAS-1)の細孔評価と分子吸着特性

LINAS-1の細孔評価を行うため,77 Kにおける窒素(N2)ガス吸着測定を行った。吸着測定を行うに際し,気水界面にて作製したLINAS-1のろ過捕集を多数回繰り返し,測定に十分な試料量を得た。図22(a)に,窒素ガスの相対圧に対する吸着量の変化,すなわち吸着等温線を示す。

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図22. LINAS-1(ピンク)とBTBバルク結晶(黒)の(a)窒素吸着等温線,(b)Barrett-Joyner-Halenda(BJH),(c)水蒸気吸着等温線,(d)酸素吸着等温線

ピンク色のプロットがLINAS-1, 黒色のプロットは参照として測定したBTBバルク結晶の結果である。同じBTB構成要素からなるにも関わらず,LINAS-1とBTBバルク結晶の吸着等温線は大きく異なっていた。LINAS-1においては,低相対圧において急峻な吸着量の上昇が見られたことから,ナノ細孔の存在が示唆された。一方で,BTBバルク結晶においては,対応する吸着量の上昇は見られず,ナノ細孔を含まない分子が密にパッキングした結晶構造を有することが示唆され,単結晶X線構造解析から示された結晶構造を支持している。窒素吸着等温線の結果を用いてBarrett-Joyner-Halenda(BJH)細孔分布解析を行った結果(図22(b)),2つの細孔分布が見られた。1~3 nm付近に見られるピークは,図18(c)に示す結晶構造から想定される約2.7 nmの細孔内径とよく一致し,有効なナノ細孔の存在が確認された。298 Kにおける水蒸気(H2O)吸着測定と77 Kにおける酸素(O2)ガス吸着測定の結果を図22(c)(d)に示す。これらの結果においても,LINAS-1とBTBバルク結晶では大きく結果が異なり,結晶構造の違いが由来していることが示唆される。BTB分子は極性の高いカルボキシル基を3つ含むが,それらカルボキシル基の全てが水素結合を形成し得られたLINAS-1は,水蒸気の特異吸着は示さず,LINAS-1中の細孔は疎水的である点が興味深い。また,LINAS-1においては,低相対圧領域において酸素を特異的に吸着することから,酸素分子のπ電子とLINAS-1の細孔内部に含まれるベンゼン環のπ電子間の分子間相互作用が寄与していることが考えられる。

5. 気水界面により2次元ナノ材料合成の特異性と優位性

従来の溶液合成においては,溶液中で分子が自由に動き回れるため,分子同士が様々な方向から相互介入し,隙間を埋めるように密に集合した結晶が得られる(図16右下)。一方で,気水界面においては,分子の配向が制御され,平面性の高い分子においては,分子平面は液面と平行になる。そのため,相互介入が抑制され,水素結合により2次元に連結し,規則ナノ細孔を有するナノシートができあがる(図16右上)。

一般的な液相法による薄膜作製法として,ドロップキャスト法,浸漬法が挙げられるが,これらの方法でBTBの薄膜を作製した場合,バルク結晶と同様の柱状結晶が基板表面に析出し,ナノシートは得られなかった(図23)。また,BTBを真空蒸着法により薄膜作製した際には,結晶性の薄膜は得られず,アモルファス状態であった。このように,気水界面を利用することで,他の合成法では得られない,特異構造を有する2次元物質の創製が期待される。

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図23. 気水界面合成法により特異的に得られる完全配向多孔性ナノシートLINAS-1(上)とその他の薄膜作製手法により得られるBTBの形態の比較

6. まとめ

本稿では,気水界面における錯形成反応を利用して得られるMOFナノシートに関して,その作製手法,その場測定による形成過程の詳細,反応制御および分子種の変更によるナノシートの大面積化と構造制御に関して紹介した。グラフェンをはじめとし,金属酸化物や金属カルコゲナイトなどのナノシートが盛んに研究されているが,これらのほとんどがバルク結晶を剥離することにより得られている。バルク結晶を剥離する方法において,ナノシートを使用する際には,バルク結晶の作製,剥離,溶液中への分散,基板上への製膜など多くのプロセスが必要であり,大面積にわたり均一な膜として製膜するのは困難である。気水界面においては,均一で穏やかに反応が進行する溶液反応の特徴を活かしながら,生成物の成長方向を2次元に制御することが可能である。この点に着目し,気水界面での錯形成反応を利用することで,我々は世界に先駆けて結晶性MOFナノシートを得ることに成功した。気水界面を用いた手法において,液面への分子溶液の展開という極めてシンプルなプロセスでナノシートを作製することができる上,ナノシートの構造を保持したまま,様々な基板に転写して用いることが可能である。また,膜厚は転写回数により精密に制御することができる。

7. 今後の展開

MOFナノシートやHOFナノシートは,サイズが定まった規則ナノ細孔を有するという特徴もある。このような多孔性のナノシートは,高い選択性と透過性を兼ね備えた分離膜として理想的であり,分離膜としての評価も進行中である。さらに,リチウムイオン電池の安定性向上のために,電極活物質–電解質間の界面層として,MOF薄層を適用する研究も進行している17–19)。MOF中のナノ細孔がイオン輸送に有利であり,3次元ネットワーク構造により,層状化合物に見られるへき開などの構造破壊が起き難い。液相逐次成長法を用いて,分子レベルでMOF界面層の膜厚を制御し,電池特性に対するMOF界面層の効果の解明を進めている。

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