第37回ゼオライト研究発表会の開催報告
東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門
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第37回ゼオライト研究発表会が令和3年12月2日(木)および3日(金)の2日間の日程で,Zoomを用いたオンライン方式にて開催されました。本会では,特別講演(2件),総合研究発表(2件),一般研究発表(61件)の研究発表(計65件)が行われ,全国から139名の方がご参加されました。
2020年より世界に広がった新型コロナウイルス感染症の影響によって,昨年に引き続き本会もオンライン開催(A,B会場)となりましたが,2日間にわたって活発な議論が行われておりました。大きなトラブルもなく進行され,オンライン会場の準備・運営に携わった岐阜大学,富山大学関係者の皆様には厚く御礼を申し上げます。Withコロナ時代における会議様式として,オンライン開催がこの数年で定着してきたことも相まって,アニメーション等で工夫を凝らした発表が多く,発表後のディスカッションは対面と変わらぬような臨場感を画面越しに感じることができました。
1日目の午後には特別講演2件が行われました。まず,住友化学株式会社の川端智則氏より,「ケミカルリサイクルの技術開発と社会実装」と題した特別講演がありました。環境問題の解決に向けて,住友化学株式会社が取り組むケミカルリサイクルをご紹介いただきました。プラスチックやバイオマス廃棄物をガス化し,触媒変換によってメタノールやエタノールを経由してオレフィン化するCCU技術は,今後の地球環境を考える上で鍵になることは言うまでもありません。本技術によって,環境問題解決だけではなく,資源循環も可能なため,社会実装への期待の大きさも感じました。
続いて,椿範立先生(富山大学)より,「パワフルな触媒反応場であるゼオライト」と題した特別講演がありました。ゼオライトの空間形状選択性,分子認識能,酸塩基触媒性能を活かしたC1化学の基礎的研究から実用化までご講演いただき,ゼオライトの持つ潜在的な可能性を改めて強く感じることができました。特に最近,ブタノールから航空機ジェット燃料を触媒変換して,実際に商業飛行を実現していることには驚かされ,今後の社会においてゼオライトをはじめとする多孔性材料が担う役割の重要性を再認識しました。
特別講演後に,日本ゼオライト学会会長の窪田好浩先生(横浜国立大学)よりご挨拶をいただきました。1984年の発足以来,本学会の重視する要素として,i)若手研究者の人材育成,ii)国際コミュニティへの参加,iii)産官学連携であることをご紹介され,このようなコロナ禍でも引き続き活動を推進していこうという力強いお話を拝聴して,私自身も研究活動への決意を新たにしました。
その後,小倉賢先生(東京大学),片田直伸先生(鳥取大学)より,国際参照ゼオライトに関するご説明があり,最後に加藤雅裕先生(徳島大学)より次回の学会告知がありました。次回は3年振りの対面開催が実現して,皆様方と研究に関する議論や懇親会をオンサイトでできることを心待ちにしております。
最後に,本研究発表会の開催にあたり,西宏二先生(防衛大学校),関係者の皆様には事前の準備から運営の細部に至るまでご尽力いただきました。ご支援いただきました全ての方々に深く感謝の意を表しまして,第37回ゼオライト研究発表会の開催報告とさせていただきます。
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