日本ゼオライト学会 刊行物

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター
Zeolite 39(1): 1-9 (2022)
doi:10.20731/zeoraito.39.1.1

解説

ナノポーラス有機シリカを利用したレーザー脱離/イオン化質量分析

株式会社豊田中央研究所 ◇ 〒480–1192 愛知県長久手市横道41番地の1

受理日:2021年7月27日
発行日:2022年1月31日
HTMLPDFEPUB3

架橋型有機シラン化合物の加水分解・重縮合によって生成する有機シリカは,骨格内に高密度に導入・固定される有機基の特性によって様々な機能を発現する。特に,ナノポーラス有機シリカには,骨格が示す物理的・化学的特性のみならず,ポーラス構造に取り込まれるゲスト分子との相互作用による新機能の開拓が期待される。我々は最近,ナノポーラス有機シリカの新しい応用として,レーザー脱離/イオン化質量分析(LDI-MS)用基板としての機能を見出し,その性能向上に取り組んできた。紫外線を吸収可能なナノポーラス有機シリカにイオン化剤を含むサンプルを担持させ,紫外線レーザーを照射するのみで,分析対象物は分子イオンとして脱離・気化する。このため,質量分析に一般的に用いられるマトリクス支援LDI(MALDI)法よりも簡便・高速で,マトリクス由来の問題を回避可能な分析手法の構築が期待される。本稿では,ナノインプリント法やエステル交換等の新しい手法の適用によるナノポーラス有機シリカ薄膜および微粒子の合成と,それらを用いたLDI-MS測定結果を紹介し,LDI支援材料としての有機シリカの特徴について述べる。

キーワード:有機シリカ;ナノ構造;ナノインプリント法;レーザー脱離/イオン化;質量分析

This page was created on 2022-01-26T13:09:23.67+09:00
This page was last modified on


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。