日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
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Zeolite 37(2): 69 (2020)
doi:10.20731/zeoraito.37.2.69

レポートレポート

第35回ゼオライト研究発表会報告

鳥取大学片田研究室D3

発行日:2020年4月15日Published: April 15, 2020
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第35回ゼオライト研究発表会が令和元年12月5,6日の2日間にわたり東京都江戸川区のタワーホール船堀で開催されました。全国から210名の方が参加され,例年通り3か所(A, B, C)に分かれ,発表が行われました。発表の内訳は,特別講演2件,総合発表6件,一般講演81件の計89件でした。

博士後期課程の3年という身でありながら,私がゼオライト研究発表会に参加したのは今回が初めてでした。私がこれまでに参加してきたのは,主に触媒機能を発表する学会でした。そういった学会と当発表会では,参加する産学の研究者が多少異なる印象を受けました。実際,私が講演した際に行った質疑応答では,普段とは違う切り口からの質問をいただき,大きな収穫が得られたと感じました。

さて当発表会では,初日の午後に2つの特別講演を行っていただきました。1つ目は,東工大のHermann Gies教授による“Seeded synthesis of zeolites vs precursor initiated synthesis of zeolites: Two successful synthesis concepts with different expectations”という題目のご講演でした。Seedや前駆体を用いたゼオライト合成の歴史やその可能性について,RUB-5とRUB-6の合成を例に詳しく教えていただきました。Gies教授のご講演だけではなく,本発表会では英語による講演が多く,日本にいながらこのような機会を得られることを贅沢に思いました。

2つ目は,東工大の馬場俊秀教授による“「当たり前」から見つかる『有難い』発見:ゼオライトが発現する銀イオンの特異性とメタン転化反応”という題目のご講演でした。まずは,ゼオライトが持つ酸点の発現機構や酸強度,形状選択性といったベーシックな内容に始まりました。そして,金属カチオンでイオン交換したゼオライト由来の特異なプロトンが示す炭化水素転換活性に至るまで,今年度でご退官されるとは思えぬ軽妙な語り口でお話しいただきました。ゼオライトに関して日頃から“当たり前”だと感じている内容をいかに掘り下げ,“有り難い”機能へと繋げるかを考えさせられる機会となりました。

また,初日の夜には懇親会が開催されました。私は参加できなかったのですが,例年通り盛況だったと伺いました。私が学生として臨む当発表会は最初で最後となりました。しかし,今後再び参加できるよう,ゼオライトの研究を続けたいと思わせてくれるほど,当発表会は有意義なものでした。今回の発表会開催に携わっていただいた日本ゼオライト学会の皆様にこの場を借りて感謝を申し上げます。そして,来年度,富山国際会議場で開催される第36回ゼオライト研究発表会がますます盛況となるように願っております。

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