日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 37(1): 38-39 (2020)
doi:10.20731/zeoraito.37.1.38

レポートレポート

第26回ゼオライト夏の学校参加報告

成蹊大学理工学部物質生命理工学科

発行日:2020年1月31日Published: January 31, 2020
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第26回ゼオライト夏の学校が2019年9月2日から4日まで,東京都八王子市の大学セミナーハウスにて開催されました。6名の講師の先生方を含む34名が参加し,ゼオライトの基礎から最先端の研究事例や実証例まで幅広い内容の講演が行われました。初日,ゼオライト学会会長である大久保達也先生による開校の挨拶より始まりました。1時間目は,横浜国立大学の稲垣怜史先生より「ゼオライト合成の基礎知識」についてご講演いただきました。ゼオライトの歴史や命名といった導入から,ゼオライト合成の基本的な法則,最先端の研究事例までをお話ししていただきました。講演中には,ゼオライトの模型を用いて骨格や対称性などを分かりやすく説明いただきました。続く2時間目は,マイクロトラック・ベル株式会社の吉田将之先生から「ゼオライト吸着等温線測定・解析の基礎と実践」というタイトルにてご講演いただきました。BET表面積の測定や解析の注意点といった,学生にとって非常に重要な実践的な知見から,DFTやMC法を用いた最先端の吸着理論までをお話しいただきました。各種解析手法についてのメリット・デメリット等も説明いただき,日頃の研究に重要なお話をいただきました。初日の夕食後には懇親会が催され,他大学の学生や先生方,企業の方々とお話しする機会をいただきました。普段の研究や実験に関する疑問を,ざっくばらんに話し合うことができ,有意義な情報を交換することができました。

Zeolite 37(1): 38-39 (2020)

2日目,3時間目は,名古屋大学の松田亮太郎先生より「ナノポーラス金属錯体の科学~基礎から最先端研究まで~」というタイトルにてご講演いただきました。ナノポーラス金属錯体の基本的な物性から,最先端の分析事例,ナノポーラス金属錯体の応用まで幅広くお話しいただきました。最後にはナノポーラス金属錯体の今後の課題を明示いただき,若い研究者の目指すべきところを示していただきました。続く4時間目は,ファインセラミックスセンター(JFCC)の佐々木優吉先生より「ゼオライトの構造解析における電子顕微鏡の活用」についてご講演いただきました。ゼオライトの電子顕微鏡観察の歴史から,電子顕微鏡の原理といった基礎的な知見,電子顕微鏡を用いた結晶成長の推定といった最先端の研究事例までをお話しいただきました。顕微鏡像をただとるだけでなく,画像から何を読み取るかを考えることの重要性を再認識させていただきました。午後の学生によるポスターセッションでは,16件の発表があり,2時間半の熱い討論が行われました。学生間でも積極的に聴講・質問・議論しており,日頃より高いモチベーションで研究に取り組んでいる様子が伺えました。ポスター賞(高石哲男記念賞)は山﨑友香理さん(大阪大学,山下研究室),今泉暁さん(中央大学,張研究室)が受賞し,本会最後に世話人である岡崎先生より賞状が授与されました。

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最終日,5時間目は,工学院大学の高羽洋充先生より「分子シミュレーションによるゼオライト膜透過性の理論的評価」についてご講演いただきました。ゼオライト膜における透過分離の原理から,シミュレーションを活用した実例までお話しいただきました。講演中には,実際のシミュレーション動画を用いて膜分離について分かりやすく説明いただきました。最後の6時間目は,日揮株式会社の岡崎純也先生より「CCUSプロジェクトのためのDDR膜の開発」というタイトルでご講演いただきました。CCUS技術の全体像の紹介から,ゼオライト膜を用いた分離膜の実証例について企業の立場から分かりやすくお話しいただきました。企業の方よりゼオライトの実証例を熱くお話しいただくことで,学生の研究へのモチベーションがより一層高まったと思います。本学校の最後にポスター賞の表彰式,夏の学校の修了式,記念撮影が行われ,3日間にわたるゼオライト夏の学校が終了しました。本学校に参加し,ゼオライトの合成・キャラクタリゼーション・応用例・実証例に関する幅広い知見を,講演や懇親会を通して得ることができました。またクローズドな会ということで,日頃質問しにくいことも気兼ねなく聞くことができ,かつフランクな交流をとおして皆様と親睦を深めることができました。講演いただいた講師の先生方,野村先生・岡崎先生を始めとする運営に携わっていただいた方々,参加された皆様との交流を通して,非常に有意義な経験をすることができました。本当にありがとうございました。

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