ゼオライト以外の規則性多孔体は何がありますか?
ゼオライト以外の規則性多孔体には,規則性メソポーラス物質や金属有機構造体(metal-organic framework: MOF)があります。MOFについては,基礎講座第六回(Vol. 36, No. 2)の記事を参照してください。規則性メソポーラス物質は,メソ孔領域(2~50 nm)の均一な細孔に加え,高い比表面積を有し,触媒担体や吸着剤,分離膜などへの応用が期待されています。特に,ゼオライトなどのマイクロ孔(<2 nm)に比べ大きな細孔空間を有することから,比較的大きな分子の反応場として利用されています。
1988年に早稲田大学の黒田らがケイ酸塩シート構造を有するカネマイト(NaHSi2O5·3H2O)とアルキルトリメチルアンモニウムイオン(CnTMA; nはアルキル炭素数)との反応によって初めてメソポーラスシリカの合成が報告されました1–3)。その後1992年に,Mobil社によりオルトケイ酸テトラメチルとCnTMAによりメソポーラスシリカ(MCM-41)の合成が報告されました4)。以降,メソポーラスシリカに関する研究が一気に広がり5–9),2008年に日本で初めて量産化されました10,11)。メソポーラス物質の組成として,研究当初から発展した二酸化ケイ素(メソポーラスシリカ)に加え,酸化アルミニウムや,ニオブ,タンタル,チタン,ジルコニウム,セリウム,スズの各酸化物12–14),炭素材料や金属材料などの合成も報告されています15,16)。
規則性メソポーラス物質の細孔構造(細孔径・周期構造)は,テンプレートの種類や出発原料,反応温度など種々の条件によって変化します。周期構造として,二次元ヘキサゴナル,三次元ヘキサゴナル,キュービックなどがあります17–21)。細孔構造制御のテンプレートとして,カチオン性・アニオン性・非イオン性の界面活性剤が広く使用されています。