第2回ゼオライトセミナー参加報告
大阪大学大学院基礎工学研究科
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2018年12月17日に大阪大学基礎工学国際棟において,第2回ゼオライトセミナーが開催されました。筆者は2018年に大阪大学大学院基礎工学研究科に入学し,ゼオライトに関する研究を行っております。今回はゼオライトに関する基礎と最新の研究を聞く良い機会だと思い,参加させていただきました。今年度は,西日本の研究機関を中心に広島大学の佐野庸治先生,マイクロトラック・ベルの仲井和之先生,鳥取大学の片田直伸先生,大阪大学の山下弘巳先生の4名のご講演がありました。
最初に,「進化するゼオライト合成」と題して,ゼオライトを機能性材料として利用していく際の課題と解決策について,ご自身の研究結果と織り交ぜて,佐野先生にお話しいただきました。水蒸気条件下で進行する脱アルミニウムの現象・機構と,ゼオライトの固体酸性を維持しつつ脱アルミニウムを抑制する方法を紹介されました。その中でも,リン修飾したゼオライトは耐水熱安定性が著しく向上したと報告され,非常に魅力的で,更なるゼオライト触媒の可能性を感じました。
次に,「ガス吸着法による多孔体材料の比表面積・細孔分布解析―N2/Ar/GCMC/NLDFT/QSDFTの選択―」という題目で仲井先生にご講演いただきました。我々の研究室でもマイクロトラック・ベル製のBEL SORPを多くの学生が使用しており,測定する材料の吸着ガスの選択と吸着理論の選択の際の考え方は非常に参考になり,測定方法や解析方法を見直すきっかけとなりました。
また,「ゼオライトの酸強度を決めるのは何か」と題して,片田先生が酸性質測定の意義をお話しされました。片田先生らが開発されたアンモニアIRMS-TPD法は,酸量・酸強度・酸の種類を同時に測定できる手法であり,それを用いたゼオライト酸点の研究が大きく進んでいることを知りました。これらの研究では,わずか10 pmの原子位置の違いを区別することができ,また,この非常に精密な構造が触媒機能の差を発現させていることを知りました。
最後に,「ナノ多孔体・プラズモニック触媒創製による新水素プロセス構築」という題目で,山下先生に研究グループの最近の研究内容を紹介していただきました。最近注目を集めている光触媒の研究は非常に興味深く,金属ナノ粒子の表面プラズモン共鳴を利用し,可視光を吸収した活性な微粒子は,様々な化学反応を駆動する無機材料として,知識を広げるきっかけとなりました。
今回,第2回ゼオライトセミナーに参加してみて,ゼオライトの基礎から発展まで,ゼオライトの専門家の先生方から広範囲にわたるお話を伺うことができ,貴重な時間を過ごさせていただきました。また,講演後のポスターセッション・懇親会では,普段お話しできない他大学の先生や学生,そして企業の方々と多く交流の場をもつことができ,知識を深めるいい機会になったと思います。
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