ZMPC2018参加報告
関西大学環境都市工学部エネルギー・環境工学科
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2018年8月5日〜9日にかけて,International Symposium on Zeolite and Microporous Crystals 2018(ZMPC2018)が横浜のパシフィコ横浜で開催された。30°Cを超える暑い日が続いていたが,エクスカーションのあった7日は雲りで,比較的過ごしやすい気候だった。また,台風が8日頃に接近するなど交通面などの心配もあったが,9日には晴れて帰路に影響を及ぼすことはなかったように思う。また,The 8th Tokyo Conference on Advanced Catalytic Science and Technology(TOCAT8)と同時期,同会場での開催ということもあり,Coffee Breakは特に賑わっており,多くの参加者の情報交換の場となっていた。
Plenary Lecturesが7件,Keynote Lecturesが20件,口頭発表が93件,ポスター発表が220件と前回と同様に多くの研究発表がなされた。全体を通して,シミュレーション技術や分析技術の発展がゼオライトの合成・評価に大きく寄与していることを再認識した。その中で,KY106のDan Xieの「Design and Targeted for Synthesis of Novel Aluminosilicate Small-pore Zeolite Desired Applications」ではゼオライト中の有機構造規定剤の安定性化エネルギーが計算され,多くのゼオライト合成に応用されていることが非常に印象的であった。シミュレーションにより,ゼオライトに応じた最適かつ最も安価な構造規定剤を速やかに選定し,合成に必要な組成や最適な温度も近い将来計算できるようになるのではと期待が膨らんだ。
私自身がCHA型ゼオライトに携わっているからか,前回と比べて講演件数が増えた印象を持ったので,タイトルだけざっと確認してみた。CHA,chabazite,SSZ-13,SAPO-34で検索すると,前回のZMPC2015では7件で,今回は20件と3倍近く増加していた。二酸化炭素の分離やアンモニアSCR触媒として注目されている様子が伺える。他も調べてみるとMFI型(MFI,silicalite,ZSM-5で検索)は49件から41件へ微減,MOF関連(ZIF,MOF,MILなどで検索)は20件から24件,FAUに関しては15件から17件で微増という様子であった。次はどのようなゼオライトの研究が増えるかを考えるのも面白いかもしれない。
このような,ゼオライトに関する最新の研究成果や動向だけでなく,PlenaryやKeynote Lecturesなどで企業側の今まさに課題となっていて解決したいというニーズをまとめてじっくり聞けることは,参加者にとって非常に有意義だったと感じている。このような素晴らしい学会の企画・運営に携わった関係者の皆様には深く感謝申し上げる。
なお,次回のZMPC2021は東京大学,教授の大久保達也先生が主催者として,2021年8月1日(日)から8月5日(木)に開催される予定とのことである。私自身も研究のスピードに置いていかれないように努力しなければと意を新たにするとともに,今からZMPC2021が非常に楽しみである。
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