日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 35(2): 81 (2018)
doi:10.20731/zeoraito.35.2.81

レポートレポート

第1回ゼオライトセミナー 参加報告

東北大学多元物質科学研究所

発行日:2018年4月15日Published: April 15, 2018
HTMLPDFEPUB3

2018年2月2日に仙台の東北大学片平さくらホールにおいて第1回ゼオライトセミナーが開催されました。筆者は2015年に博士の学位を取得するまでゼオライトに関する研究に従事しており,それ以来ゼオライトの研究から離れておりました。現職のキャンパス内でのセミナーでしたので,久しぶりにゼオライトに関する研究を聞く良い機会だと思い,参加させていただきました。産業技術総合研究所の佐藤剛一様,横浜国立大学の窪田好浩先生,三菱ケミカル株式会社の瀬戸山亨様の3人のご講演がありました。

Zeolite 35(2): 81 (2018)

セミナーでの講演の様子

最初に,「ゼオライトの合成,構造解析と膜部材化」と題して,佐藤様がご自身のグループにおけるゼオライトを利用した最新の研究についてお話されました。新規の物質をいくつも合成しており,XRD,NMR,TEMを利用したマルチプローブ構造解析により様々な物質を高度に解析していることを紹介されました。さらに,ゼオライトの膜化や中空糸化技術といった部材化など実用に近い研究も展開しており,基礎から実用までを研究することの重要性を感じました。

次に,「新規骨格ゼオライトの創製と応用」という題目で,窪田先生から有機構造規定剤を用いた高シリカゼオライトの合成とその触媒活性に関する研究についてお話がありました。数々の検討の中で単純な有機構造規定剤かつ単純な組成条件で新規のトポロジーのゼオライトが得られたというお話が非常に印象的でした。さらに新しいゼオライトの合成がなされる可能性を感じ,それに伴う新しいゼオライトの科学が広がるに違いないと確信させられました。

最後に,「ゼオライトの応用の現状と展開可能性」と題して,瀬戸山様から日本がすべき触媒開発は何かというジェネラルなお話から,現在三菱ケミカルで取り組まれている最新の研究開発までをお話しされました。分離膜に関する研究では,ピンホールフリーのゼオライト膜を合成することが可能になっているというお話があり,メンブレンリアクターとしての利用はとても興味深いものでした。ゼオライトは触媒としての開発でも新しい利用がたくさん見出だされているとのことで,ゼオライト研究の面白さを改めて感じました。

今回この第1回目ゼオライトセミナーに参加してみて,私がゼオライト研究から離れていた3年間だけでも,ゼオライトの科学の進展がすさまじいものであることに驚きました。同時に,より発展するポテンシャルのある材料であるということを実感させられました。セミナーとともに,その後に行われたポスターセッション・懇親会も普段お話しできない先生方,学生と議論することができ,大変有意義なセミナーとなりました。ゼオライトセミナーは今回が初めてとのことでしたが,以後全国各地で開催されるとお聞きしました。このようなセミナーが各地で行われることで,ゼオライトに関心のない,あるいは研究していない方も参加しやすく,普段とは違った視点から議論できる場になるのではないかと感じております。

This page was created on 2018-11-09T16:19:26.635+09:00
This page was last modified on


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。