日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
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Zeolite 34(3): 106 (2017)
doi:10.20731/zeoraito.34.3.106

レポートレポート

2017年度 ゼオライトフォーラム 参加報告

東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻

発行日:2017年7月15日Published: July 15, 2017
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2017年6月9日にゼオライトフォーラムが新宿の工学院大学アーバンテックホールにおいて開催されました。今年は「ゼオライト類縁材料の広がり」と題して,豊田中央研究所の稲垣伸二様,太陽化学株式会社の南部宏暢様,工学院大学の中尾真一様の3名に講演していただきました。

最初に「メソポーラス有機シリカを用いた高度な触媒反応場の構築」と題して,稲垣様が骨格内に有機基を導入したメソポーラスシリカ(PMO, Periodic Mesoporous Organosilica)について話されました。PMOは有機基の導入により幅広い用途に使われるようになり,発光体,光捕集アンテナ,太陽電池,センサー,錯体の固定化担体,ドラッグデリバリーに応用されています。今回は,ビピリジン基を導入したPMOが錯体触媒の固定化担体として利用できることと,色素を導入したPMOが光捕集アンテナ機能を有し,光触媒と組み合わせることで人工光合成に応用できることについて講演されました。とても興味深いお話で,PMOの機能と応用の幅広さを改めて認識する貴重な機会となりました。

次に「ナノポーラスマテリアルの社会実装に向けたアプローチ」と題して,南部様が話されました。太陽化学は,太陽化学製のメソポーラスシリカTMPS®の量産化に世界で初めて成功しました。今回は,TMPS®の機能を,触媒,ナノ空間利用,安定化,吸着,調湿,徐放の6つの観点から,その機能について講演されました。水分を吸着する性質を利用しエアコンの省エネに応用したこと,白金ナノ粒子をTMPS®に担持することで,COの選択酸化において白金の使用量を低減し,反応温度を下げる効果があること,アミンデンドリマーを担持することで常温においても分解せずに保持できることなど,興味深い話をたくさんしていただきました。講演を聴いて,今の研究が社会にどのように活かされていくのかに関して,とても参考になりました。

最後に「CVD法によるアモルファスシリカ水素分離膜の製膜と膜反応器」と題して,中尾様が話されました。水素分離膜の製法であるCVD法とゾルゲル法について性能の違いをわかりやすく説明していただきました。ゾルゲル法の問題点として挙げられる耐水蒸気性と再現性の低さをCVD法で克服できることをデータから明らかにしたことと,実際の反応に対してベンチスケールへの適応を試みたことがとても興味深く,聴いていて研究の楽しさを感じることができました。

今回のゼオライトフォーラムは,ゼオライト類縁材料についてお話を聴くことができる貴重な機会ということで参加いたしましたが,普段の研究生活では触れることのできない貴重なお話をたくさん聴けたため,とても有意義であったと感じています。今回のゼオライトフォーラムの運営に携わった関係者の皆様および講演者の皆様に感謝いたします。

Zeolite 34(3): 106 (2017)

フォーラムでの講演の様子

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