2016年度ゼオライトフォーラム・一般社団法人日本ゼオライト学会設立記念講演会「新しい時代を拓くゼオライト」参加報告
東京大学
© 2016 一般社団法人日本ゼオライト学会© 2016 Japan Association of Zeolite
標記講演会が本年(2016年)4月15日に,東京・西早稲田にある早稲田大学理工学部キャンパス(最近では西早稲田キャンパスと言うらしい。隔世の感あり。)にて開催された。当日は4月,しかも年度が始まったばかりという季節にも関わらず,会場外はとても暑い日で,講演会会場も参加者の多さと熱気でとても熱かったことを鮮明に覚えている。
標記タイトルにもあるとおり,本年は本ゼオライト学会にとって記念すべき年になることとなった。つまり,ゼオライト学会が,一般社団法人化されて「日本ゼオライト学会」へと変貌を遂げた年になる。この法人化に際し,松方正彦先生(新学会初代会長,早稲田大学),里川重夫先生(成蹊大学),片田直伸先生(鳥取大学)のご尽力ご苦労たるや如何ばかりかと想像を絶する。ここに記して感謝申し上げる。
さて,当日は13時開始の講演会からスタートし,5名の代表的な多孔体研究者からお話を伺った後に,日本ゼオライト学会創立総会および記念式典という式次第であった。参加者は一般66名,学生64名を数えた。
講演会ではまず,小野嘉夫先生(東京工業大学名誉教授)から「ゼオライト学会の創世期」と題した話を拝聴した。ゼオライト研究会が発足した経緯からご存じの先生に,先生ならではの当時からの思い出をおもしろおかしく語っていただいた。続いて中野雅雄先生(東ソー株式会社)から「ゼオライトとビジネス」という題で,ゼオライトの応用に関わる幅広い話を拝聴した。東ソーは日本のゼオライト研究を陰に陽に支えてきた代表的な会社であり,ゼオライトの社会実装への窓口として長く携わってこられた様子をお聞かせいただいた。その後,松方先生から「ゼオライトの化学プロセスへの応用展開の展望」を拝聴した。先生が長く携わるゼオライト膜プロセスの話を中心に,これからのゼオライト界の展望,期待が述べられた。休憩を挟み,黒田一幸先生(早稲田大学)から「ケイ酸塩とメソポーラス物質の展開」を拝聴した。先生のライフワークとも言えるケイ酸ケミストリーの話かと思いきや,最近の研究室のかなり突っ込んだ応用展開を拝聴することができた。最後に佐々木優吉先生(ファインセラミックスセンター)から「電子顕微鏡を用いたゼオライトの研究」と題し,先生の得意技であるTEMにより得られる情報の数々,最近開発が進むOSDAフリーゼオライトの観察結果などが示された。いずれのご講演も,初心者からゼオライト愛好者に至るまで,大変興味深く最後まで飽くことなく拝聴できる内容ではなかっただろうか。
講演会に続き,日本ゼオライト学会創立総会が開催された。そこでは,松方新会長より改めて制定された定款や各種規定が紹介され参加者に認められ,正式に法人化組織としてのスタートとなった。またその場で,永くゼオライト分野で活躍された難波征太郎先生に名誉会員資格を授与することとなったことは喜ばしいことである。その後の記念式典には,講演会,総会とはまた違った面々が参集され,楽しいひとときを過ごすことができた。このような場を提供していただいた早稲田大学,世話人の松方先生,下嶋敦先生,および研究室の学生さん達にはこの場を借りて感謝申し上げたい。
さて,この学会は,どちらに向かって進み出すか。期待を込め,また当事者として責任をもって,活動してゆきたい。願わくば,ゼオライトならではの事象の発見が,本学会から発信されるように。
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