多孔性金属錯体によるナノ空間の科学
名古屋大学大学院工学研究科
多孔性金属錯体は様々な有機配位子と金属イオンによって構築される結晶性の固体で,内部にミクロ孔領域のナノ空間を有する物質群である。この物質群の特徴は多様な構成分子によって構造的・化学的に異なったナノ空間を設計し,合成できることである。約20年前に多孔性金属錯体が注目を浴びて以来,多くの多孔性金属錯体が合成され,今までにない高い細孔容量を有する物質や,超高選択的な気体吸着を示す物質が開発されてきた。また,有機配位子と配位結合という,構造的自由度の高い素子と結合との組み合わせによって,結晶でありながら空間構造を柔軟に変化させるゲート型吸着という新しい吸着現象も見いだされている。最近では分子認識機能と動的機能を有機的に統合し,ヘモグロビンのような生体分子が行っている選択的分子認識と分子捕捉・放出機構を結晶で実現するに至っている。また,多孔性金属錯体のナノ空間を利用した物性物理への応用展開も進んでおり,多孔性金属錯体のナノ空間は材料的な興味だけでなく,新しい科学の展開の場としても大きく注目されている。本解説記事では多孔性金属錯体の発展の歴史から,最新の研究成果までを筆者らの研究を絡めて紹介する。
キーワード:多孔性金属錯体;ナノ空間;ガス吸着;ガス分離;物性転換
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