日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
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Zeolite 32(4): 152 (2015)
doi:10.20731/zeoraito.32.4.152

レポートレポート

2015年ゼオライトフォーラム参加報告

横浜国立大学大学院工学府機能発現工学専攻 博士課程後期3年

発行日:2015年12月10日Published: December 10, 2015
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2015年ゼオライトフォーラムが10月5日,東京工業大学大岡山キャンパスの蔵前会館ロイアルブルーホールで行われました。本会には講師4名の他に大学・公的研究機関や企業から64名が参加しました。多孔体分野でご活躍中の先生方の講演と,企業からは多孔体の構造評価に関する最新の研究発表を聞くことができ,非常に貴重な時間を過ごすことができました。

フォーラムのタイトルは「新規な多孔性物質と観測手法」で,はじめに広島大学の佐野庸治先生に「ゼオライト水熱転換法を利用した8員環ゼオライト合成」という題で,ゼオライトを原料に用いたゼオライト合成と触媒性能評価について講演いただきました。ゼオライト結晶成長のメカニズムについてわかりやすく説明していただき,またゼオライト水熱転換法がゼオライト合成の新たな合成手法として今後の展開が期待できると感じました。

Zeolite 32(4): 152 (2015)

広島大学・佐野先生による講演の様子

次に東京大学の内田さやか先生に「メソポーラスイオンの階層的配列制御による分子の吸着・反応場の創製」と題して講演いただきました。アニオン性のポリオキソメタレートと様々な対カチオンによって新たな結晶構造が形成することや,得られたナノ構造体は触媒材料のみならず,吸着・分離材料,水素吸蔵材料,電極材料として応用できることを伺いました。得られた結晶の構造解析に際して,幾度も挫折しそうになったが最後まで諦めずにチャレンジして構造を解くことに成功したエピソードが特に印象的でした。

次は大阪大学の阪本康弘先生に「ゼオライトの超高分解能STEM観察」と題して講演いただいきました。透過型電子顕微鏡の構造と原理についてわかりやすく説明してくださいました。多孔体はその構造の特異性からTEMによる評価が不可欠であることを改めて認識することができました。また,阪本先生が原子レベルでの多孔質構造の解析・評価技術の構築が重要課題であることを講演の中で特に強調されていました。

最後に日本電子株式会社・SM事業研究ユニットから朝比奈俊輔氏に「走査電子顕微鏡法によるナノ多孔質材料の解析」というタイトルで講演いただきました。電界放出電子銃を搭載した超高分解能SEMに減速法を導入することによって,数百V以下の低加速電圧での観察が可能になり,数nmの分解能が得られることを知ることができました。講演では実際に観察した美しいSEM画像がいくつも紹介されあり,たいへん印象的でした。

講演会終了後に懇親会が開催され,引き続き有意義な議論が交わされました。

最後に,このような素晴らしい機会を提供して下さったホストの野村淳子先生(東京工業大学)をはじめとする関係者の方々に心より感謝申し上げます。

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