ビピリジン-PMO:金属錯体触媒の革新的固定担体
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均一系金属錯体触媒は,医薬品や化成品などの工業生産において幅広く利用されているが,グリーンケミストリーの観点から,触媒の不均一(固体)化が強く望まれている。従来のリンカー(分子の紐)を使った固定化技術では,触媒活性の低下や金属錯体の溶出が起こる場合があり,適応範囲に限界があった。今回,金属錯体の触媒活性を落とすことなく強固に固定化でき,かつ触媒の繰り返し使用が可能な新しい固定担体を見出したので報告する。この固定担体とは,配位子である2,2′-ビピリジンを骨格内に導入したメソポーラス有機シリカ(BPy-PMO)である。BPy-PMOは,大きな比表面積(700 m2/g以上)と基質の拡散に有利な大きな細孔径(3.8 nm)を有し,細孔表面には規則的に配列したビピリジン基が露出している。この骨格ビピリジン基は,高い反応性を保持しているため,細孔表面に金属錯体を直接固定することができる。BPy-PMOに固定したイリジウム錯体は,ベンゼンのC–Hホウ素化反応に対して均一系触媒と同等レベルの高い触媒活性を示し,触媒の回収・再利用も容易に行うことができた。BPy-PMOの利用により,固体状の分子触媒化学の発展と,医薬品などの製造プロセスのグリーン化が期待される。
キーワード:メソポーラス;有機シリカ;固体配位子;金属錯体;触媒
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