日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 31(4): 149-150 (2014)
doi:10.20731/zeoraito.31.4.149

レポートレポート

6th FEZA Pre-School 2014参加報告

(独)産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門 化学システムグループ 

発行日:2014年12月10日Published: December 10, 2014
HTMLPDFEPUB3

6th FEZA Pre-Schoolは,2014年9月5日(金)から7日(日)までの3日間,ドイツ連邦共和国バイエルン州リヒテンフェルス郡(Lichtenfels)にあるセミナーハウス,シュナイ城(Schloss Schney)で開催されました。リヒテンフェルスは人口2万人の小さな街で,6th FEZA Conferenceが開催されたライプチヒ(Leipzig)とニュルンベルグ(Nürnberg)の間に位置し,リヒテンフェルスの地名は,三十年戦争の時代に川に沈めて隠しておいた街の財宝を,その後水を汲み乾して取り戻したことに由来するそうです。著者は航空機で羽田からフランクフルトを乗り継いでニュルンベルクまで向かい,そこから快速の鉄道で約2時間半移動してシュナイ城にたどり着きました(移動に要した合計時間:約20時間)。シュナイ城は中世の古城の内部を近代的なセミナーハウスに改築した教育施設で,リヒテンフェルスの静かな環境と充実した設備の中で講義に集中することができました。今回の6th FEZA Pre-SchoolのオーガナイザーはFriedrich-Alexander-Universität Erlangen-Nürnberg (FAU, Germany)のProf. Wilhelm Schwieger (Institute of Chemical Reaction Engineering)とProf. Martin Hartmann (Erlangen Catalysis Resource Center)で,講演のテーマを“Hierarchically-ordered Materials: From Theory to Applications”とし,現在ご活躍中の14名の講師の先生方(Prof. Peter Behrens, Prof. Jürgen Caro, Prof. Dirk Enke, Prof. Michael Fröba, Prof. Jorge Gascon, Prof. Peter Greil, Prof. Nicola Hüsing, Prof. Klaus Mecke, Prof. Javier Pérez-Ramírez, Prof. Wilhelm Schwieger, Prof. Bernd Smarsly, Prof. Bao-Lian Su, Dr. Matthias Thommes, Prof. Rustem Valiullin)に階層構造を有した多孔質材料の基礎から応用およびシミュレーションを含めた最新の評価技術まで幅広くご講演頂きました。参加者は講師の先生方,若手研究者,ポストドクターおよび大学院生の合計74名で,参加国は,ドイツ(39名),チェコ(5名),イギリス(4名),オランダ(4名),日本(4名),アメリカ(3名),スウェーデン(3名),オーストラリア(2名),ノルウェー(1名),ロシア(1名),スロベニア(1名),イタリア(1名),オーストリア(1名),ベルギー(1名),スイス(1名),タイ(1名),ナイジェリア(1名),サウジアラビア(1名)と世界各国から研究者が集い,階層構造を有した多孔質材料に対する関心の高さが窺われました。

Zeolite 31(4): 149-150 (2014)

6th FEZA Pre-Schoolが開催されたリヒテンフェルス・シュナイ城(上)および講演会場の様子(下)

開会の辞および最初のご講演は,Prof. Schwieger (FAU, Germany)よりいただきました。“Hierarchy concepts: general classification and preparation strategies with special focus on zeolite containing materials”という題目で,階層構造を有した多孔質材料,とりわけゼオライトの基礎知識,応用展開および技術課題に関する総論をご説明いただきました。今回14件のご講演の中で特に興味深く印象的であったのは,Prof. Su (University of Namur, Belgium)のご講演でした。“Hierarchy structured porous materials: from nanoscience to catalysis, separation, optics, energy and life science”という題目で,テンプレートと金属アルコキシドの自己組織化を用いてゼオライトや金属酸化物のミクロ・メソ・マクロ孔を有する階層的空間を精密かつ予測的に制御する方法のご紹介と,それらを用いた光触媒やリチウムイオン電池への応用例についてご説明いただきました。特に光触媒技術に関しては実用化に向けた研究推進が期待されており,そのための検討課題についても詳しくご説明いただきました。講演後の質疑応答では様々な視点から白熱した議論が行われました。また,講演終了後は毎日夜中まで地元のドイツビール(bier)を片手に懇親会が行われ,講師の先生,若手研究者,学生と分け隔てなく,活発な議論と意見交換が交わされました。今回は著者を含め,日本からの参加者は4名でしたが,Pre Schoolは少人数の中で世界各国の研究者とより密に研究の議論と文化交流ができる場所ですので,今後は日本の若手研究者および学生の積極的な参加を期待しております。

This page was created on 2017-03-27T14:10:44.549+09:00
This page was last modified on


このサイトは(株)国際文献社によって運用されています。