第21回ゼオライト夏の学校参加報告
大阪大学大学院 工学研究科 マテリアル生産科学専攻
© 2013 ゼオライト学会© 2013 Japan Association of Zeolite
2013年8月29日から31日にかけて第21回ゼオライト夏の学校が京都府京都市左京区一乗寺竹ノ内町にある関西セミナーハウス〈修学院キララ山荘〉で行われました。今回の夏の学校は5名の講師の先生方を含めて43名(うち学生30名)が参加し,基礎から応用まで幅広い内容の講演をして頂きました。
最初は大阪大学の西山憲和先生が「ソフトテンプレート法によるメソポーラスカーボンの合成と応用」と題して,メソポーラスカーボンの合成やキャパシタや薄膜材料への応用などについて,詳しく説明してくださいました。カーボンの構造がどのように決定されるかという話が印象的でした。次に北海道大学の多湖輝興先生に「反応工学的考察に基づくゼオライト設計法」と題した講演で,ナノサイズ化することにより拡散性を向上させたゼオライトについての講義をして頂きました。反応速度と拡散の関係によって決まるThiele数や触媒有効係数と見かけ上の活性化エネルギーに関する重要な知見を得ることができました。初日の講義終了後,立食形式での夕食会・懇親会が行われました。他大学の学生だけでなく,先生方や企業の方々とお話しする機会を頂き,親睦を深めることができました。また,研究に関する大変貴重な話も聞くことができ,有意義な時間を過ごすことができました。
2日目は,北九州市立大学の山本勝俊先生の「ヘテロ配位金属種を骨格に持つ多孔性物質の合成」と題する講演から始まりました。ゼオライトの基礎的な内容から,メカノケミカル法を用いたTi,Ca含有ゼオライトの合成等に関して詳細に解説してくださいました。筆者らもシングルサイトTi含有SiO2に関する研究を行っておりましたので,今回の講義内容は非常に興味深いものでした。その後,前半のポスターセッションが行われ,11名の学生が発表しました。各所で活発な議論が行われており,今後の研究を進める上での貴重な経験になったと思います。ポスターセッション後には,京都大学の松田亮太郎先生による「多孔性配位高分子の化学―設計と合成から吸着機能まで―」と題した講演で,PCP/MOFを利用した吸着材の設計と合成についてわかりやすい解説をして頂きました。PCP/MOFの有機基と金属イオンの自由度の高さを生かして,吸着材としての利用を考えた構造設計・合成をされていたのが非常に興味深かったです。講義終了後,曼殊院散策と能の鑑賞会があり,歴史的な建造物や伝統芸能の神秘的な世界観に圧倒されました。
3日目は東京工業大学の馬場俊秀先生に「ゼオライトの酸触媒作用」と題し,ゼオライトの酸量・酸強度の関する基礎的な内容から,Agイオン担持ゼオライトなどについて講演して頂きました。ゼオライトの反応選択性が入口径でなく,反応場の空間に依存するというお話が印象的でした。その後,後半のポスターセッションが行われ,10名の学生が発表しました。こちらでも活発な議論が行われておりました。
本夏の学校では,素晴らしい講演や懇親会などを通してゼオライトやポーラス材料の設計・合成・解析に関する様々な知見を得ることができ,大変充実した時間を過ごすことができました。筆者らも微力ながら運営を手伝う中で,他大学の学生,先生,企業の方々と交流することができ大変良い経験となりました。最後になりましたが,講演してくださった5名の講師の方々,本夏の学校にご参加くださいました皆様に心より感謝申し上げます。
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