IMMS2013(8th International Mesostructured Materials Symposium, IMMS-8)を2013年5月20~24日に淡路夢舞台国際会議場(兵庫県淡路市)で開催しました。日本がホスト国として開催することになったため,黒田一幸先生(早大)を名誉委員長とし,稲垣伸二(委員長,豊田中研),山下弘己(副委員長,阪大),木村辰雄(事務局長,産総研),吉武英昭(財務担当,横国大),小倉賢(プログラム担当,東大),マヘンドラカプール(プログラム担当,太陽化学),野村淳子(現地担当,東工大),森浩亮(現地担当,阪大)でIMMS2013実行委員会を組織,学会運営を行いました。日本開催を提案した当初は2012年の開催(ZMPC2012との連続開催)の予定でしたが,採択後に開催母体であるIMMA(International Mesostructured Materials Association, http://mesostructured.org/)から2013年開催に変更するようにとの要請があり,IMMS2013となりました。
本国際学会の副題「メソ構造材料の実用展開に向けて」に即した内容とするため,最近の論文発表数が多い方や他の国際会議からの招待状況などを考慮しながら,招待講演者を人選し応用面を重視した講演内容にして頂けるように依頼しました。その甲斐あってか,会期中,メソ構造材料が,エネルギー分野,環境分野,バイオ分野,デバイス応用,等々,広範な応用展開が可能であることを示す先端研究が数多く紹介されました。その前後の日程で開催されたプレシンポジウム(5月18日,早大)やポストシンポジウム(5月25日,阪大)でも光学材料や電子材料,触媒材料,光触媒材料としてのメソ構造材料の将来展望について活発に議論が行われたと聞いています。詳細は,それぞれの実行委員会の委員長(プレシンポジウム:宮田浩克先生(キヤノン),ポストシンポジウム:山下弘己(阪大))から会議内容の報告を頂きましたので本報告の末尾でご紹介させて頂きました。
IMMS2013への最終的な参加者数は274名でした。半数程度が国内からの参加となりましたが,合計18カ国からの参加がありました。Plenary講演5件(図1参照),Keynote講演7件,Invited講演10件を含む口頭発表59件,ポスター発表214件の国際学会となりました。会期中に撮影した写真を学会ホームページに掲載してありますのでご覧下さい(http://www.ogulab.iis.u-tokyo.ac.jp/IMMS2013/)。前回(2010年,IMMS-7,ソレント,イタリア)は17th International Zeolite Conference(IZC)との合同開催であったため純粋な参加者数を見積もることができませんが,IMMS-5(2006年,上海,中国),IMMS-6(2008年,ナミュール,ベルギー)の参加者数はともに380名前後でした。IMMS2013でも参加者数を同様に設定して学会運営を始めましたが,今にして思えばここが苦労の始まりだったかもしれません。参加者数が少なくなった要因は,演題登録を開始した当初はヨーロッパの経済情勢が思わしくなく,加えて,関連分野の国際会議が増え続けているため参加学会数を絞り込まなければならないという事情もあったと考えられます。蒸し暑い中での開催は回避できましたが,開催時期が夏休み期間ではなかったこともスケジュール確保の問題から参加を躊躇させた遠因かもしれません。会期中は天気にも恵まれたこと(会期終了直後に梅雨入り宣言)に加え,その後の大幅な円安が海外からの参加者にとって過ごし易い学会であったと感じて頂いていれば幸いです。会期中に学会運営に関する感謝の言葉を頂戴していましたが,学会終了後にも組織委員宛に謝意を表すメールが届いていますので良い国際会議にできたのだと実感しました。
一般講演(オーラル発表)の講演順には,プログラム担当者のこだわりが随所に見られており,ポスター発表のレイアウトにも反映されていますので,今一度プログラムをご覧頂けましたら幸いです。IMMSの特徴のひとつに「口頭発表は1会場で行う」という考えがあります。世界中から集まった研究者が同一会場で議論し,現状認識や今後の方向性などを共有することが本研究分野の発展に重要であるという思いからそうなっています。IMMS2013でもこの趣旨を引き継ぎ,口頭発表は1会場としました。数多くの方々を登壇者として参加頂けるよう,一般講演時間を15分に短縮し,招待講演者の講演時間も通常の国際会議より若干短く(例えばPlenary講演は40分)設定する試みをしました。ポスター発表の方々にもベストポスター賞を用意するとともに受賞者には特別セッションでの研究紹介(口頭発表,10分/1名)の機会を設けました。その時の様子の一部を図2に示しておきます。この特別セッションの創設は今回初めて行われた試みですが,発表用資料の準備時間が短かったにも関わらず,受賞者全員(8名)が堂々と研究紹介を行っていました。講演内容もオーラル発表と比較しても遜色のないものでした。
次回は2年後の2015年にオーストラリアで開催することが決定しました(委員長:George Zhao先生,アデレード大学)。IMMS2013から3年毎に開催することになっていましたが,今年の国際学会の開催状況とIMMS2013への参加者数との関係等を考慮して,2016年開催が決定している18th IZC(リオデジャネイロ,ブラジル)との同年開催を避け,その後は3年毎の開催に戻すということが評議委員会で決定しました。現在日本からは本国際学会の委員長を務めた稲垣伸二(豊田中研)がIMMA評議委員(図1右下,今回参加の評議委員)として活動していますが,本年任期を迎えた4名の改選の結果,宮田浩克先生が新たに評議委員に選出されました。
学会運営については,参加者の確保や予算面の心配が学会開催直前まで続きましたが,結果的には,淡路夢舞台国際会議場で開催したことが行政や財団等から多大な支援を受けられることに繋がり,無事に本国際学会を開催,運営することができました。エクスカーション(渦潮観光,伊弉諾神社参拝)やバンケットでの催し物(阿波踊り)も提供でき,バンケット参加者のほとんどが阿波踊りを体験し,皆笑顔でした(図3参照)。出展並びに寄付,広告掲載などを通じて積極的にご協力頂きました企業の方々にも厚く御礼申し上げます。できる限りの対応はさせて頂いたつもりですが,何かございましたら今後の活動に役立てたいと思いますので遠慮なくお申し付け下さい。本国際会議場は若干?隔離されていましたので,会場設営はもちろん,飲食関係の手配でもご尽力を頂きました淡路夢舞台国際会議場並びにウエスティン淡路ホテルのスタッフの方々にも感謝申し上げます。組織委員の活動もある時期を境に手弁当な作業が続き,何が本職なのかを忘れる状況でしたが,その甲斐あって参加者の胃袋を掴むことができたのではないでしょうか。大阪大学,大阪府立大学,東京大学の学生アルバイトスタッフもスムーズな学会運営には欠かすことのできない存在でした。最後になりましたが,IMMS2013実行委員会を組織した当初からゼオライト学会には共催学会としてご指導,ご支援頂きました。この場を借りて心より御礼申し上げます。
プレシンポジウム「International Symposium on Application of Mesostructured Materials in Optics and Electronics」は,日本化学会「低次元系光機能材料研究会」第2回研究講演会とのジョイントプログラムとして,2013年5月18日に早稲田大学西早稲田キャンパスで開催しました。この分野をリードする日,米,仏,豪,韓,台から9人の講演者をお招きしました。一般31名,学生49名の参加者があり盛況なシンポジウムとなりました。講演毎に活発な質疑がなされ,参加者はメソ構造体の多岐にわたるアプリケーションを実感できたと思います。シンポジウム後には,講演者を囲む和やかな懇親会が催され,44人が参加し楽しい時間を過ごしました。
ポストシンポジウム「International Symposium on Advanced Mesostructured Catalysts and Photocatalysts(ISAM-Cat)」は,科学振興機構戦略的国際科学技術推進事業日本–中国NSFC研究交流「協奏機能により色素汚染水を常時清浄化可能な光触媒材料の開発」研究講演会とのジョイントプログラムとして,2013年5月25日に大阪大学吹田キャンパスで開催しました。Dongyuan Zhao(復旦大学),真嶋哲夫(阪大)の両先生の基調講演を始め,この分野をリードする中国(8名)と日本(7名)の講演者をお招きしました。中国と日本からの参加者が大半を占める日中友好の学会となり,総勢104名(一般39名,学生65名)の盛会となりました。シンポジウム後には,講演者を囲む交流会が催され,より一層の親睦を深めることができました。