日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
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Zeolite 29(4): 167-168 (2012)
doi:10.20731/zeoraito.29.4.167

レポートレポート

第20回ゼオライト夏の学校

横浜国立大学環境情報学府

発行日:2012年12月7日Published: December 7, 2012
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第20回ゼオライト夏の学校は2012年8月の29日から31日にかけて山梨県南都留郡山中湖村の山中湖一樹山荘で行われました。今回の夏の学校は講師の先生方を含めて総勢46名が参加し,5名の講師による講演が行われました。最初の講義は日本ベル株式会社の仲井和之先生が「吸着による細孔構造の解析」と題して多孔質材料やナノ機能性材料のガス吸着に関して基礎から応用まで分かりやすく説明して頂きました。吸着というゼオライト分野の代表的な評価法について重要な知見を得ることができました。次に鳥取大学の片田直伸先生による「多孔性物質における酸点の構造解析と応用」と題した講演で,アンモニア昇温脱離法の基礎からIR測定を組み合わせた新しいIRMS-TPD法に関する興味深い講演をして頂きました。また,酸強度がどのように決定されるか,強い酸強度をもつゼオライトの設計には何が必要とされるか,などのお話は今後研究を進めるにあたり大変参考になりました。講演終了後の懇親会では初めてお会いする方が多いなか,ワインなどの美味しいお酒を飲みながら和気藹々と参加者同士親睦を深めることができました。普段あまりお話をする機会がないような企業の方々,先生方から貴重な情報をお聞きすることができ,大変有意義な時間を過ごすことができました。

Zeolite 29(4): 167-168 (2012)

2日目最初の講演は大阪府立大学阪本康弘先生による「電子顕微鏡による多孔性物質の観察」と題した講演で,SEMやTEMの構成などの基礎的な内容から,これらを用いたゼオライトやメソポーラスシリカの観察手法に関するわかりやすい解説をして頂きました。筆者らもゼオライトの形状や粒径の評価においてSEMを活用することが多いため,今回の講演内容は非常に興味深いものでした。その後,前半のポスターセッションでは11名の学生による発表が行われ,非常に活発な討論が各所で行われていました。発表が初めてだった方も多かったようで,良い経験になったと思います。ポスター発表後には三菱化学株式会社の瀬戸山亨先生による「化学産業における原料多様化とゼオライト触媒の役割,今後の展開」と題して現在実用化されているゼオライト触媒の実例と今後の課題などについてお話頂き,また触媒設計や吸着ヒートポンプに代表される応用例に関しても詳しく説明して頂きました。有機構造規定剤の使用はコストが非常に高くつくものと考えていましたが,優れた特性を持つ新しいゼオライトの合成には不可欠であり,企業がその気になれば有機構造規定剤のコストもある程度低減することができるという話は特に印象的でした。自由時間には多くの人が忍野八海に向かったようです。夏の学校中に仲良くなった人と一緒に見て回り,さらに親睦を深めることができました。

Zeolite 29(4): 167-168 (2012)

3日目の最後の講義では「ゼオライト単結晶の合成と構造」と題して防衛大学校の横森慶信先生にゼオライトの単結晶の各種合成法に関する手法や問題点について,またアナルサイム,ポルサイト,シリカライト-1に代表されるゼオライトの構造について印象的なお話をして頂きました。サイズの大きな単結晶の合成はあまりなじみがなく,その手法に関するお話はとても新鮮に感じました。その後,後半のポスターセッションが行われ,学生11名による発表がありました。こちらでも有意義な意見交換がなされました。あっという間の2泊3日間でしたが,密度の濃い講義や懇親会などを通してゼオライト,メソポーラス材料の合成・解析に関するさまざまな知見を得ることができ,大変充実した時間を過ごすことができました。筆者らも運営の手伝いをさせて頂き至らない点もあったと思いますが,大変良い経験をさせて頂いたと考えています。最後に,講義をして頂いた5名の先生方,会場をご提供頂いた日本ベル株式会社様,本夏の学校にご参加頂きました皆様に心より感謝申し上げます。

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