日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
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Zeolite 28(4): 161-162 (2011)
doi:10.20731/zeoraito.28.4.161

レポートレポート

第19回ゼオライト夏の学校

防衛大学校 応用化学科

発行日:2011年12月10日Published: December 10, 2011
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第19回ゼオライト夏の学校は2011年9月1日~3日に神奈川県三浦市,マホロバマインズ三浦にて開催されました。折しもその時は大型の強い台風12号が日本へ接近しており,特に三浦海岸は直撃が予想されていました。そのような中集まってくださったのは講師の先生方を含めて41名,特にB4~M1の若いメンバーが多く参加してくれました。

Zeolite 28(4): 161-162 (2011)

初日,最初の講義は広島大学の佐野庸治先生が「ゼオライト転換法」と題して合成の基礎を含めてお話しくださいました。これだけしっかりまとまった合成のお話を拝聴するのは初めてだという方も多かったと思います。筆者もゼオライト合成時におけるナノパーツの存在が非常に興味深く感じられ,結晶化メカニズムについてもっと深く知りたいと思うようになりました。

続いてがらりと趣が変わり,株式会社日産アークの上口憲陽先生による「ゼオライト触媒のNMR分析法の紹介」と題したご講演でした。NMR現象の原理から交差分極,MQ MAS法まで詳しくご講義くださり,NMR初心者の若手に対してはわかりやすく,また,ベテランの社会人参加者にも噛みごたえのある内容でした。

講演終了後の懇親会では研究室ごとに研究室紹介を行い,参加者同士の親睦を深めることができました。筆者もゼオライトの世界に飛び込んで7年目となりますが,実はゼオライト系の懇親会に参加するのはこれが初めてで,おずおずと人見知りしながらも最後はお酒の力でたくさんの方とお話しできてとても有意義な時間を過ごせました。

2日目最初のご講演は芝浦工業大学の野村幹弘先生による「無機分離膜素材としてのゼオライトの現状と可能性」という題目でご講演いただきました。先生はご講演前の早朝,三浦海岸を訪れ,若手に対するメッセージを思索なさっていたそうで,そのインパクトのあるお話は参加者の心に響きました。現在注目を集めているゼオライト膜についても製膜方法や性能などを詳しくご説明くださり,非常に勉強になりました。

続いて「石油精製におけるゼオライト触媒概要と開発事例」と題して出光興産株式会社の稲村和浩先生よりご講演頂きました。その内容は,まさに私たちが研究を行う意義や目的を再確認させられるものでした。また,実際にR-HYC触媒をご持参くださり,現場で触媒が実用化されているのを目の当たりにして,改めてモチベーションが上がったという参加者も多かったはずです。

稲村先生のご講演の最後の方でパラパラと窓を叩く嫌な音がしてきて,海も空も鉛色になってきました。講演終了後は夕食時まで自由時間となっており,みなさん不安そうな顔をしながら外出して行かれましたが,小雨が多少パラつくほかはなんとか耐えてくれたようです。三浦海岸はなんと言っても「三崎のまぐろ」が有名ですので,魚介類を堪能された方が多かったようです。

夕食後はポスターセッションが開かれましたが,計15件のポスターボードの前には人が群がり,非常に活発な議論が交わされました。参加者の投票により,ポスター賞は東京工業大学の田村直也さん,広島大学の津野地直さんの2名に贈られました。

最終日の朝は産業技術総合研究所の木村辰雄先生による「規則性メソポーラス物質に関する研究」という題目でご講演頂きました。筆者はメソポーラスに関してはほぼ素人同然ですが,先生のお話は系統的にまとめられていて,構造や合成法についてかなり詳しく知ることができました。また,最後にはご自身の研究にも触れてくださり,貴重なお話を聞くことができました。

怒涛のように過ぎ去った2泊3日でしたが,これだけ内容の濃い勉強会など滅多に参加できないので,本当に充実した時間を過ごすことができたと思います。我々世話人も至らないところは多々あったと思いますが,みなさんが勉強と親睦の機会を得るお手伝いができてとても光栄に思っています。本当にありがとうございました。

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