日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 28(4): 147-157 (2011)
doi:10.20731/zeoraito.28.4.147

解説解説

メタンからベンゼンと水素をつくるMTB触媒技術とMo/Re担持ゼオライト触媒の実用化開発MTB Catalytic Technology to Produce Benzene and Hydrogen from Methane and Its Industrial Application of Mo/Re Zeolite Catalysts

東京農業大学総合研究所 客員教授Research Institute, Tokyo University of Agriculture ◇ 〒156-8502 東京都世田谷区桜丘1-1-1

受理日:2011年11月15日Accepted: November 15, 2011
発行日:2011年12月10日Published: December 10, 2011
HTMLPDFEPUB3

メタンからベンゼンと水素を合成するMethane-to-Benzene (MTB) 触媒技術とその工業化の課題について,天然ガスやメタンハイドレートおよびバイオガスの有効利用の観点から概説する。Mo/Re担持ゼオライト触媒を用いるMTB反応における高いベンゼン収率(60~85%選択率)から,ベンゼンの分子径に相当する5.5 Å程度の細孔径を有するZSM-5やMCM-22ゼオライトの分子形状選択性と最適なブレンステッド酸点に基づくメタンの脱水素芳香族化反応機構を提案した。次いで,メタン中に少量の炭酸ガスおよび水素の添加あるいはそれらの交互導入により,触媒の不活性化要因である触媒表面への炭素蓄積を抑制して,高いメタン転化率で長時間安定なベンゼン合成活性を維持できることを見いだした。さらに,嵩高いアルキル基を有するアミノアルキルシラン試薬を用いたZSM-5表面のシラン修飾法によりさらにベンゼンの選択率を向上できた。このようなMo/Re担持ゼオライト触媒を用いるMTB技術の実用化展開や牛の糞尿醗酵で得られるメタンを用いるバイオMTB技術の実証試験の成果についても紹介する。

Novel MTB catalytic technology to produce benzene and hydrogen from methane and its industrial application was reviewed in terms of the advanced utilization of methane resources such as natural gas, COG, CBM, methane hydrates and biogas. High benzene yields (60-85% selectivity) in MTB reaction on Mo/Re supported zeolite catalysts are discussed on the product molecular selectivity based on Simodified ZSM-5 and MCM-22 having the microporous apertures of 5.5 Å diameter like benzene size. The MTB catalytic performances are kept stable for long time-on-stream by addition of a few % of CO2 (and/or H2) in the methane feed and H2-switching method due to the effective in situ removal of coke on the catalyst surface. The demonstration study of the MTB technology by modified Mo/ZSM-5 catalysts has been conducted by NEDO consortium project using natural gas and NLCE project at Bekkai, Hokkaido using cow-dung derived biogas. The economic evaluation of the industrial MTB process has been discussed using COG-derived methane and off-site natural gas to produce benzene as the plastics and commodity feed stocks over the conventional oil refinery, particularly due to the recent drastic oil cost-inflation.

キーワード:MTB触媒技術;Mo/Re担持ゼオライト触媒;ゼオライト分子形状選択性;シラン化分子チューニング法

Key words: methane-to-benzene (MTB) technology; Mo/Re-supported zeolite catalysts; Si-modified ZSM-5

1. はじめに

石油は,われわれの生活に密着した,貴重な液体状炭素資源であるが,石炭や天然ガスなど他の資源に比べるとその埋蔵量は少なく,また中東,米国やロシアなど地域的に偏在していることから価格の高騰など市場に不安定材料が多い。1980年当時の推定では,石油の経済的賦存量は約45年,オイルピークは2006年あたりとされており,それを反映するように2007~2011年の原油価格は80~120ドル/バレルの高値圏に張り付いたままである。実際に,インド,中国や東南アジア市場向けのプラスチック製品の需要増大により,原材料である,ベンゼン・トルエン・キシレン(BTX)の価格は2000年に比べて2010年には5倍強の急激な高騰をもたらしている。石油を輸入して,それらを高付加価値化利用するわが国の石油化学産業においては,企業単位での省資源・省エネルギーやCO2排出削減などの地球環境改善の取り組みだけでなく,今後さらなる異種産業間の連携や原材料の多様化に向けて,非石油原料からの新規なオレフィンやBTX製造技術の開発により,国際競争力の強化が必要と考えられる1–3)。ここにきて,1990年代後半に見いだされたMo/Re担持ゼオライト触媒を用いて,天然ガス,炭層メタン(CBM),メタンハイドレート(MH)に加えてコークス炉ガス(COG)などのメタン原料からベンゼンなどのBTXと水素を高効率で製造するMTB触媒技術の研究開発が国内外で活発に行われている。ここでは,最近のMo/Re複合ゼオライト触媒やSi修飾ZSM-5に関する基礎研究の進捗と,天然ガスやCOG 副生メタンを利用するベンゼンと水素を併産するMTB触媒技術の実用化開発に向けた技術展開について解説する。また,牛糞などの農業廃棄物バイオマスから得られる発酵メタンを利用したバイオベンゼンと水素を製造・供給する地域バイオマスの利活用の“バイオMTB触媒技術”の実証開発と将来展望について紹介する。

2. メタンからベンゼンと水素をつくるMTB触媒技術と複合ゼオライト触媒の研究開発

天然ガスを初めとして,メタンハイドレート,石 炭層中に吸蔵されるコールベッドメタンやコークス炉ガス(COG)から大規模に得られる副生メタンなどのメタン原料を利用して,ベンゼンと水素を直接に製造するMTB触媒技術の研究開発が日本,中国や米国を中心に行われてきた1,6–19)。MTB触媒反応は,構造特異的な複合金属を担持したゼオライト触媒を用いて(1)式に示すメタンの脱水素縮合反応で,ベンゼンを主生成物とする芳香族化合物と水素を生成するメタン直接改質プロセスである。(1) 6 CH 4 = C 6 H 6 +9 H 2 Δ H r = 531kJ / mol

メタンの脱水素芳香族化反応では,6分子のメタンからベンゼン1分子と,9分子の水素が,CO2を排出せずに生成する。基本的には,メタン(CH4)から高温度域で金属担持ゼオライト触媒を用いて,Hをはぎとり生成する活性メチレン種CHxx=1~3)を環化縮合して,主としてベンゼンに化学変換して製造する触媒反応である。メタンは,そのC–H結合エネルギーが439 kJ/molと大きな値をもつ非常に安定な化合物であり,化学的に活性化するには900 K(627°C)以上の高温が必要である4,5)。メタンの脱水素縮合反応でのベンゼンやエチレンへの平衡転化率は1気圧,1100 K(827°C)においてそれぞれ20%と8%である。メタンからベンゼンへの脱水素縮合反応は,アセチレン,エチレンやエタンなどの低級炭化水素に比べて,より容易に進行する吸熱反応である。脱水素縮合反応がさらに進んだグラファイト(G)の生成は同様な温度域(約1000 K)において90%を超える平衡転化率であり容易に進行する。それゆえ,メタンの脱水素縮合反応を制御して,高縮合炭化水素残渣やコークにしないでベンゼンやトルエンなどの有用な芳香族化合物でいかに反応を止めるかが,MTB触媒の研究開発における最も重要な技術課題となる1,29,30,40)

1993 年Wangらは7),H-ZSM-5に担持したMo触媒を用いてメタンからベンゼンが750°Cの高温域で得られることを見いだした。その後,市川らの6,8–18)研究でFe, Zn, Mgなどを含む複合Mo/Re担持H-ZSM-5触媒上でのメタンの脱水素芳香族化反応(メタン0.1~0.3 MPa, 650~800°C,SV=1000~6000 cm3/g-cat/h)において,6~12%のメタン転化率で,ベンゼンなどの芳香族化合物を高選択率(65~85%炭素基準)で生成することを明らかにした。それ以外の副生成物はC2~C4 の低級炭化水素とコークである。MTB反応で生成される芳香族化合物中の生成割合は,触媒担体であるゼオライトの細孔構造に強く依存するが,Mo担持H-ZSM-5触媒上ではベンゼンが主生成物で<85%,他にトルエンやナフタレンが合わせて10~15%程度副生する。Mo担持ゼオライト触媒でメタンからのベンゼン生成に関する最初の報告以来,MTB触媒反応に関しては,中国大連物理化学研究所Y. Xuグループ13,14),北海道大学市川研究室6,8–12,19,22–30)および,米国テキサス大学J. Lunsford16)やカリフォルニア大学E. Iglesiaら17,18)による基礎研究と触媒開発が1995~2003年にかけて広範囲にまた精力的に進められた。

Mo以外にもメタン脱水素芳香族化反応に活性な金属の探索が行われたが,30種以上の遷移金属触媒の中でMo, Re, Wがメタンからベンゼンの生成活性が高く,特にReとMoが好ましいことがわかった9–14)。MoとReをH-ZSM-5に担持した触媒がメタン転化率とベンゼン選択率が高く,またW はそれに次ぐ中程度の活性を示した。H-ZSM-5ゼオライトに担持されたMoO3は900 K(1173°C)付近でメタンとの反応によりMo2Cカーバイドに変換される。その直後からメタンの気流中に,水素とエチレンの生成に伴いベンゼンを主生成物として他にトルエンやナフタレンが得られることがin situ昇温型質量分析測定で見いだされた8–12)。H-ZSM-5ゼオライト結晶に別途合成したMo2C 微粒子を物理的に混合するだけでベンゼンの生成活性は,それぞれ単独の場合に比べて100~150倍に増大した7–10,29)。このことから,Mo2CとH-ZSM-5ゼオライト担体からなる二元促進効果がMTB反応の触媒活性構造であることが明らかになった。一方,Re担持H-ZSM-5触媒では,ゼオライト細孔内の金属Re粒子がメタンの脱水素芳香族化反応に活性であり,モリブデン触媒でのMo2Cカーバイド活性種とは異なることがin situ EXAFS解析などの研究から明らかされた12–16,29)。また,図1に示すように,H-ZSM-5のSiO2/Al2O3比を変えると,ピリジン吸着IRで測定した担体のブレンステッド酸(B酸)およびルイス酸(L酸)の濃度が変化する。大西,市川らはSiO2/Al2O3比の異なるH-ZSM-5を用いて3 wt%MoあるいはRe担持触媒についてMTB反応を行った10–12,19,43)。興味深いことに,H-ZSM-5担体のブレンステッド酸の量とベンゼンの生成速度との間に良い相関性が見いだされて,SiO2/Al2O3比40~70においてB酸点とベンゼン収率に極大値が得られた。一方,H-ZSM-5担体のL酸点の量とは関連がないことがわかった。このことから,メタンからのベンゼン合成には,適当な強度のプロトン酸点とMo2C あるいはRe上のメタンの脱水素活性化が必要と考えられる9–14,29)。実際に,NaOHなどでアルカリ中和したNaZSM-5にMoあるいはReを担持した触媒にはメタンの芳香族化反応活性が全くないことが見いだされた。

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図1 H-ZSM-5のSiO2/Al2O3モル比に対するB酸(▲)およびL酸(●)の量とメタンの脱水素芳香族化反応でのベンゼン生成活性(△)との相関性

3. ゼオライト細孔の分子形状選択性とゼオライト外表面Si修飾法

Mo/H-ZSM-5とRe/H-ZSM-5触媒によるメタンの脱水素芳香族化反応に関しては,エタンやプロパンなどの低級炭化水素やメタノールを原料とする比較的低温域(250~350°C)で起こる脱水素縮合反応でのベンゼン,トルエン,キシレンなどのBTXの生成機構と共通の経路が考えられている11–16,29)図2に示すように,H-ZSM-5ゼオライト担体のブレンステッド酸点を含むMo2CあるいはRe上でメタンが活性化されて得られる活性中間体(CHx, x=1~3)の縮合環化過程で,ベンゼン,トルエンやナフタレンなどの芳香族化合物が細孔内に生成すると理解できる。これまでの反応機構の研究によれば27–29,43),メタンの活性化で得られるCHxx=0~3)は,ゼオライト細孔内のB酸点で重合して多縮合炭素骨格(C2Hy, C6Hz, C10Hw)を有する炭化水素種が生成する。さらに共存する水素により炭化水素中間種は水素化されてベンゼンやナフタレンを気相に生成する。この際,触媒表面の水素濃度が極端に低い場合は,アントラセン,ピレンなどの多環芳香族やコークの析出が触媒表面で過度に進行すると考えられる。

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図2 メタンからベンゼンを合成するMo/Re担持ゼオライト触媒上のMTB反応機溝とゼオライト細孔内のメタン転換過程の概念図

異なる細孔径をもつ様々な合成ゼオライトや多孔 質担体を用いてMoやReを担持した触媒を調製し,メタンの脱水素芳香族化反応の活性と生成物選択性について調べた。その結果,表1に示すようにベンゼンの分子径5.0~5.5 Åと同様な細孔入口径を有するZSM-5やMCM-22などを用いたMoあるいはRe担持触媒で特異的に,ベンゼンがメタン基準で60~85%の高い選択率で生成することがわかった6,9–14,24,29)。なお,Mo/Re担持H-ZSM-5触媒ではベンゼンに比べて分子径のいくぶん大きなトルエン(5.3 Å)やナフタレン(5.8 Å)が10~20%の選択率で副生する。MCM-22の細孔入口径(5.5×4.0 Å)はZSM-5(5.5×5.1 Å)に比べて細孔径がわずかに小さいため,ベンゼンの生成選択率は90%強でナフタレンの生成は抑制される。一方,5 Åより小さな細孔径のERS-7(4.7×3.5 Å)およびSAPO-34(4.3 Å)ゼオライトのMo担持触媒では,メタンからベンゼンは全く得られず,メチレン活性種の2量化生成物であるエチレンなどの低級炭化水素が少量生成するのみである。また,6 Åより大きな細孔径の多孔質担体であるHY(7.4 Å),β-ゼオライト(5.6~6.7 Å)やSAPO-5(7.3 Å),FSM-16(ca. 20 Å)などのメソ細孔材やシリカゲルを担体に用いて調製したMoやRe担持触媒では,メタンから得られるベンゼンの生成選択率は10%以下であり,大部分は回収不可能な多縮合環炭化物やコークに変換される。この結果から,メタンの脱水素芳香族化反応のベンゼン生成選択率は,ゼオライト担体の細孔構造とりわけ細孔入口径に基づく顕著な生成物分子形状選択性で説明できることが明らかにされた24,29,43)

表1 メタンの脱水素芳香族化反応でのベンゼン生成選択率とMo/Re担持触媒のゼオライト担体の細孔径との関連性
ゼオライト(SiO2/Al2O3 細孔員環数 細孔径 Å 転化率 % 選択率/%*
ベンゼン ナフタレン
ERS-7 8 4.7×3.5 1.2 0 0
SAPO-34 8 4.3 0.6 0 0
ZSM-5 (40) 10 5.3×5.6, 5.1×5.5 8.4 70 20
Si修飾ZSM-5 8.9 90 1
ZSM-11 (38) 10 5.3×5.4 8.2 70 18
ZRP-1 (35) 10 5.0×5.3, 5.0×5.4 8.6 74 15
MCM-22 (36) 10, 10 4.0×5.5, 4.1×5.1 9.5 88 5
Beta (37.1) 12 5.6×5.6, 6.6×6.7 6.7 14 3
SAPO-5 12 7.3×7.3 3.8 5 0
700°C, 0.1 MPa, Reactant: 10%N2+90%CH4 *生成物選択率の残りは、C2~C3炭化水素とコークである。

北海道大学市川研究室では,図3に示すような特殊なシラン化剤でゼオライト外表面をSi修飾することでメタンからベンゼン+トルエンを選択率90%以上で合成するMTB触媒の研究開発が行われた31)。3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)やトリエトキシシランプロピルジヒドロイミダゾール(TESPDHI)などの塩基性官能基をもつ嵩高いシラン化合物(分子径が9~11 Å)を用いてZSM-5ゼオライト外表面への選択的なSi修飾法が検討された。アミノアルキル基を有する嵩高いシラン化合物は,ZSM-5の細孔には進入せず,アミノ基部位がゼオライト外表面のB酸点に強く吸着した後,Siに結合するアルコキシ基が細孔入口近傍のシラノールと縮合反応して修飾されるため,Si修飾により細孔入口径を狭めると考えられる。つまり,ZSM-5外表面の細孔入口径を選択的に分子チューニングすることができると言える。Si修飾ZSM-5のMo担持触媒では,表2に示すように,副生ナフタレンは顕著に減少して,ベンゼン+トルエンへの選択率は90~92%に向上した。各種の分子チューニングよるSi修飾ZSM-5を用いたMo担持触媒のベンゼン生成選択率は,ZSM-5より細孔入口径のいくぶん狭いMo/H-MCM-22触媒と同等である。塩基性官能基をもたない嵩高のシラン化合物のプロピルトリエトキシシラン(PTES)やテトラエトキシシラン(TEOS)でのSi修飾ZSM-5担体のベンゼン選択率はいくぶん低下してナフタレンの副生が見られた。APTESによるSi修飾効果は,ZSM-5に対する添加シラン量(SiO2ベース)は重量比0.2~0.5%でMTB反応でのベンゼン+トルエン選択率増加の極大値が得られる。また,XPSおよびオージェ表面分析の結果とあわせて検討すると,MTB反応でのベンゼン選択率向上に有効なゼオライト外表面のSi修飾は,1~2 層のシリカ分子層の形成に相当することがわかった。シラン表面修飾によるゼオライト細孔入口径の分子チューニング技術は,MTB反応に対して極めて精度の高い分子形状選択性の構造制御法であるといえる31,40)

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図3 ZSM-5ゼオライトの細孔入口径制御に用いたシラン修飾剤

表2 各種の塩基を有するアルキルシラン化合物を用いたゼオライト外表面の選択的な細孔入口径制御とSi修飾H-ZSM-5のMo担持触媒上のメタンの脱水素芳香族化反応でのベンゼン(+トルエン)生成選択率への影響

4. MTB反応の触媒安定化に向けたCO2およびH2添加効果と触媒再生法

MTB触媒反応では,副生する多縮合環炭化物やコークの生成がMoやRe担持のゼオライト細孔を狭め,ベンゼンの収率や選択率の低下を引き起こし,また細孔を閉塞するため,短時間での触媒活性の低下がMTB触媒の実用化に向けての大きな技術課題であった。触媒活性の安定化とMTB反応下でのコークの抑制のため,メタンに少量のCO2, H2あるいは水を添加してその効果を調べた。図4に示すように,Mo/H-ZSM-5およびRe/H-ZSM-5触媒のMTB反応においては,反応初期に高いベンゼン生成速度を与えるが,反応の進行とともにメタン転化率が下がり,急速にベンゼン生成速度が減少して,短時間後にゼオライト細孔が炭素析出により閉塞してMTB触媒活性は失活する。ところが,大変興味深いことに,メタンに体積比で1~3%のCO2を添加して反応を行うと,メタン転化率やベンゼンの生成速度の低下は顕著に抑制されて,長時間にわたり反応初期のMTB反応でのベンゼン合成触媒活性と選択率が維持された9–11)。一方,CO2に代わり,2~10%の一酸化炭素をメタンに添加しても,同様にMTB触媒活性は安定化される。このメタンに対するCO2添加は非常に効果的であり,反応温度(650~800°C)でのメタンの脱水素反応で引き起こるコーク生成に起因する触媒活性の低下を効果的に防ぐことができる。

(2) C n ( 触媒表面コーク )+ CO 2 =2CO

この反応で生成した気相のCOは,MTB反応の温度域ではBoudardt反応(2CO=C+CO2)で活性炭素CとCO2を再び生じる。CO2あるいはCOによる触媒表面のコークの除去反応は,MoやReにFe,Co, Zn, Mgを少量添加することにより顕著に促進されて,MTB反応の触媒性能の安定性が著しく向上することが見いだされた9,23)。一方,メタンに対するCO2濃度を3~10%と増加するとMTB反応は安定するが,メタン転化率とベンゼン生成活性は顕著に低下することがわかった。MTB反応の温度,メタン流速,分圧に応じてメタンに対して最適なCO2(あるいはCO)の添加濃度を設定することが必要である。これは,MTB反応の活性構造であるMo2Cあるいは金属Reが過剰のCO2により酸化されて不活性な高酸化物に変換するため,ベンゼン生成活性の著しい低下が起こると考えられる。

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図4 Re/H-ZSM-5触媒上のメタンの脱水素芳香族化反応活性に対するCO2添加効果

750°C; CH4分圧,0.3 MPa; SV(CH4)=5000 cm3/s/g-cat.

一方,図5に示すようにメタンに容積比3~9%の水素を添加するとベンゼンの生成量はいくぶん低下するが,効果的に触媒活性を安定化できる。CO2の添加と異なり,水素添加ではMTB反応活性を低下することなく長時間維持される。またコークにより不活性化したMoおよびRe担持触媒を水素やCO2処理することで触媒の再生が可能であることを見いだした22–26)図6に示すように,MTB反応の12時間後のMo/H-ZSM-5触媒について行った昇温酸化反応でのCO2(あるいはCO)生成パターンから,添加水素濃度を3~10%に増大するに従い不活性な炭素は消失して活性炭素を含め触媒表面の残留炭素量が低下することが見いだされた。メタンに対する水素の添加効果は,MTB反応中に生成する不活性な表面炭化物を水素化(Cn+2xH2xCH4)除去すると理解される。また,MTB反応温度での水素処理でゼオライト細孔の残留コークが水素化除去されて,活性なMo2CやRe担持ゼオライト触媒が再生される。これらの水素添加効果の研究から,MTB反応と水素での触媒再生処理を交互に行うことで,長時間にわたり安定なMTB触媒反応を行うことが可能になる。図7に示すように,最適な反応条件800~820°C,SV=3000~12600 cm3/g-cat/hにおいてベンゼン(0.5~1 kg/kg-cat/h)および水素(2~4 Nm3/kg-cat/h)が高収量で,長時間にわたり安定に生成した24–26)。この結果により,MTB反応でのCO2や水素の添加,Mo/Re担持触媒の交互還元処理による触媒の安定化と再生処理法が確立され,実用化に向けたMTB触媒技術のプロセス設計の研究開発が進められている40)。一方,Mo/HZSM-5触媒粉体を充填した流動床反応器を用いてMTB反応と水素処理の交互再生試験を産業総合技術研究所の本田,張らが行っており44),同様なMTB触媒活性の安定化が報告されている。さらに,H. Ma, 倉元らの最近の研究成果によると45),MoFeあるいはMoZnを担持したH-ZSM-5触媒上でメタンに数%のCO2とH2を添加した混合ガスを用いてMTB反応と水素再生処理を交互に行うことで,高いメタン転化率において安定なベンゼン生成活性が得られている。0.3 MPa, SV=12000 h−1,780~820°Cの反応条件において,メタン転化率12~18%,ベンゼン選択率85%の優れたMTB反応触媒性能を1000時間以上の長時間において維持することができる。ベンゼンと水素の空時収量と触媒安定性能はMTB触媒プロセスの工業化を可能にする目標性能に達したとされている。

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図5 Mo2C担持H-ZSM-5触媒上のメタンの脱水素芳香族化反応における水素添加効果

750°C; CH4分圧,0.3 MPa; SV(CH4)=2700 cm3/s/g-cat.

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図6 水素をメタンに対して0%, 3.6%および6%添加して行ったMTB反応の12時間後Mo/H-ZSM-5触媒試料の昇温酸化プロファイル

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図7 6 wt%Mo/H-ZSM-5触媒上のメタンと水素の交互供給によるメタンの脱水素芳香族化反応におけるベンゼンおよび水素の生成活性の安定化効果.

(注)STY: Space Time Yield (g/kg-cat/h). 反応温度,750°C; CH4 分圧,0.3 MPa; H2 分圧,0または0.3 MPa. △, ▲:CH4–H2, 12600 mL/g/h; ○, ●:CH4–H2, 9000 mL/g/h; ◇, ◆:CH4–H2, 2700 mL/g/h; □:CH4 only, 2700 mL/g/h.

5. MTB技術の実証試験と工業化展開

MTB触媒技術は,非石油系原料である天然ガス,メタンハイドレートなどのメタン資源から,CO2を排出することなくベンゼンなどのBTX原料と水素を併産する画期的な「メタンの直接改質触媒技術」である。2001~2003年に,このメタン直接改質法(MTB)プロセスの実用化に向けた研究開発がNEDO地域コンソーシアム事業として北海道大学,(株)日本製鋼所,北海道曹達(株)と日揮(株)による共同開発として実施された。キログラム規模の触媒量の実証試験プラントが日本製鋼所室蘭に建設され,2002年秋より稼動し,触媒性能の実証試験が行われた。MoあるいはRe担持ZSM-5およびMCM-22ゼオライトを用いた固定床ペレット触媒反応および流動床粉体触媒反応において,メタンと数%CO2(および数% H2)を含む反応ガスを用いたMTB触媒活性試験や水素あるいはCO2処理による触媒再生プロセスに関するデータの収集・解析がなされた。生成したベンゼン,トルエンやナフタレンはデカリンを用いて抽出分離により取り出し,メタンや水素などのガス分離・循環を行った。2003年には300~1000時間の連続実験などMTB触媒プロセスの実用化にむけた経済性評価やプロセス設計に関する研究開発がなされた。固定床式反応装置でのMo/Re/H-ZSM-5複合触媒を用いたMTB反応実証試験結果では,メタンからベンゼンと水素が,それぞれ空時収率(STY)0.5 kg/L-cat/hおよび2 Nm3/L-cat/hで製造できることがわかった。メタン原価が15~20円/m3の天然ガスを用いた場合,MTB触媒技術でのベンゼン製造原価は,45~60円/kgであり,現況の石油改質法で供給されるベンゼン価格100~120円/kgに比べて安価であり,コスト試算において有利であると推察された。一方,MTB反応で得られる副生水素のコスト試算についても,現在主流の石炭や天然ガスなどの水蒸気改質法での水素製造に比べて安価に製造できる。また,MTB触媒技術による水素製造では,プロセスCO2の排出がゼロであるので,省エネと経済効果とは別に地球温暖化効果において高く評価される。一方,COGを利用するメタンから直接にベンゼンを製造するMTB触媒プロセスの実用化に向けての実証プラントの検討開始が2005年に三菱化学より新聞発表された46)。COGガス成分の体積比組成は水素(50%),メタン(15%),CO(7%)などである。COGガス中の水素を用いてCOや火力発電所で排出されるCO2をメタン化反応でメタンに変換してMTB反応に用いる。COG由来のメタンを原料にするベンゼンと水素を製造する工業的なMTB技術である。MTBプロセスで併産される水素は回収して,COやCO2のメタン化反応に利用する。さらにメタン化反応の高温排熱を吸熱のMTB反応に供給することで,MTBプラントの総合エネルギー効率を高めることができる。安価な天然ガスやCOGガス由来のメタンを利用するMTB触媒プロセスは,非石油系原料を用いるBTX市場向けのベンゼン製造技術として事業性が高いと試算されており国内外の化学企業が実用化にむけた検討を進めている。

6. バイオメタンを利用するMTB 触媒技術の展開

バイオガス由来のメタンを利用するバイオMTB触媒技術に関心が高まっている。ニュートラル炭素としてのバイオマス原料から得られるメタンを用いてバイオベンゼンと水素を併産するバイオマスリファイナリー触媒技術である47)図8に示すように,上下水汚泥,農林産廃材や家畜糞尿などの廃棄物系バイオマスから得られる醗酵メタンを利用して,MTB触媒技術で水素とプラスチック製品の原料となるBTXを製造する技術開発は,低炭素社会に向けての地域産業の振興やバイオ化学製品の市場導入に向けたグローバルな環境・経済効果が期待できる1,35,37,40)

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図8 廃棄物系バイオマスの醗酵プラントで生成するバイオガス由来のメタンを用いてバイオベンゼンと水素を併産するバイオMTB触媒技術の概念図

バイオガスを利用する水素エネルギー利活用モデル事業として,北海道開発土木研究所の別海有機資源循環利用施設において,2003~2007年にバイオMTB技術を活用する農村地域のエネルギー自立型実証試験が行われた38)。北海道別海町にある10軒の畜産農家の乳牛1000頭から排出される糞尿50/日からメタン発酵槽でバイオガス(60%メタン+40%CO2)1500 m3が発生する。バイオガス中に含まれる硫化水素(H2S)やCOSなどの硫黄成分除去には酸化鉄を用い,またアンモニアなどの窒素化合物とCO2濃度調整はPSA法を応用して行った。図9に示すような複合Mo/H-ZSM-5ゼオライト触媒を充填した固定床MTB反応装置を用いて,メタンと数% CO2(あるいは水素)を含むバイオガスからベンゼンと水素を製造するバイオMTB触媒の活性試験を行った。MTB触媒反応の未反応メタンはさらに水蒸気改質反応装置で水素に変換利用される。触媒量1トン規模のMTB反応装置で,乳牛の糞尿から発生する発酵メタンから1日当たり水素48,000 Nm3とベンゼンなどのBTX原料を15 t生産することができる。副生水素は有機ハイドライド技術を利用して貯蔵して,燃料電池自動車などに水素を運搬するとともに,畜舎や家屋の暖房など冬場に必要な電気や熱を供給するなどの農村地域の経済性とCO2 排出削減効果に関するシミュレーション解析がなされており,有益なMTB触媒技術の実証試験成果が得られている38,41,42)

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図9 牛の糞尿から得られるバイオガスを用いてベンゼンと水素を製造するバイオMTB実証試験プラント(20~50 kg触媒規模,750~800°C, 0.1~0.3 MPa)の概観(北海道開発土木研究所別海有機資源循環利用施設,2003~2007)

7. 将来の展望

メタンは,飽和炭化水素中で最も安定な化合物である。そのため,メタンの化学変換は難易度の高い反応として,有用な物資への直接的な化学変換プロセスは未開発であった。最近,進展が著しいゼオライト触媒技術や細孔空間化学の研究領域を取り込み,メタン化学変換触媒技術の基盤構築に向けた基礎研究が行われて独創的かつ波及性の高い研究分野が開拓されている。構造特異的な複合ゼオライトを活用するMTB触媒技術は,バイオガスやメタンハイドレートなど未利用のメタン資源を利用してCO2排出ゼロのグリーン水素を製造するだけでなく,プラスチック原料のベンゼンなどの芳香族を安価に並産できる。MTB触媒技術はさらに,未利用の石炭ガスやコークス炉ガス(COG)から経済的にベンゼンなどの石油基幹原料を製造することができるので石炭化学産業と石油化学産業の連携・橋渡しのためのコア技術としても化学企業を中心に事業化の検討が開始されている。修飾Mo/Reゼオライト触媒などの高性能なMTB触媒技術のさらなる展開により,非石油原料を用いるベンゼンなどBTXやケミカルズの生産拡大が促進されて,石油消費を減らし,CO2排出削減など低炭素社会に向けた次世代の“豊かで安心な暮らし”の実現を期待したい。

引用文献References

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