LTA合成における有機構造指向剤の役割とそのSi/Al依存性
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LTA型結晶構造を有するZK-4ゼオライトはSi/Al比が1-3の範囲で合成できる。その合成には有機構造指向剤(SDA)としてテトラメチルアンモニウムイオン(Me4N+)が用いられる。Me4N+の役割を明らかにするため,熱物性・局所構造・平均構造の観点からMe4N+内包ZK-4のSi/Al比依存性を調べた。Me4N+はSi/Al比に依存することなく,まずソーダライトケージ内に選択的に内包される。特にSi/Al〜3ではその分子振動が強く制限されていた。一方,骨格の平均T-O-T角(T=Si またはAl)は,Me4N+を内包している場合にはSi/Al比に依存せず一定であり,かつSDA が不要である通常のゼオライトA,すなわちSi/Al=1のLTA と全く同じである。しかし,Me4N+を焼成除去するとSi/Al比が高い場合には平均T-O-T角が有意な差で変化しているのが見いだされた。このことは,ソーダライトケージ内部にMe4N+が存在することにより,LTA骨格の形成に最適なT-O-T角がもたらされていることを予見させる。本結果やMe4N+を使って合成されるSODの研究例などから合成反応におけるSDAとしてのMe4N+の役割を議論・推論する。
キーワード:ZK-4;LTA;Si/Al比;有機構造指向剤;合成メカニズム
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