1. はじめに
1990年に早大の黒田一幸先生らが,1992年にモービルR&Dの研究グループが,それぞれ独立に規則構造型メソポーラス物質の合成を報告し,これをきっかけにメソポーラス物質の研究は世界中に拡がり一つの研究分野を形成するに至った。メソポーラス物質に関する論文数は年々増加傾向にあり,2010年には3,500報を超えた(図1)。これはカーボンナノチューブの論文数を超えるものであり,メソポーラス物質に関わる研究者数が着実に増えてきたことを示す。
このような背景のもと,1998年にメソポーラス物質の国際組織IMMA(International MesostructuredMaterials Association)が発足し,IMMAの公式な国際会議であるIMMS(International MesostructuredMaterials Symposium)が同年にボルチモア(米国)で開催された。その後,ケベック(カナダ,2000年),済州島(韓国,2002年),ケープタウン(南アフリカ,2004年),上海(中国,2006年),ナムール(ベルギー,2008年),ソレント(イタリア,2010年)で開催され,そして次回の第8回IMMSは2013年に日本で開催することが決まった。黒田先生のパイオニア的な仕事やその後の日本人研究者の貢献を考えると,第8回での日本開催は遅すぎた感があるが,これは単に日本から開催地としての立候補をしてこなかったためである。IMMS2013の開催地として,日本とカナダの2 カ国が立候補したが,IMMA Councilメンバーの投票の結果,圧倒的多数で日本が選ばれたことは,日本開催への期待感の表れと思われる。なお,前回のソレント以降,IMMSの開催は2年ごとから3年ごとに変更された。