液相におけるベンゼンの多孔体細孔内拡散機構Diffusion Mechanisms of Benzene within Porous Materials in Liquid Phase
北海道大学大学院工学研究院有機プロセス工学部門Division of Chemical Process Engineering, Faculty of Engineering, Hokkaido University ◇ 〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学大学院工学研究院有機プロセス工学部門Division of Chemical Process Engineering, Faculty of Engineering, Hokkaido University ◇ 〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目
多孔質固体触媒を用いた反応では,細孔内の拡散が見かけの反応速度に強く影響を及ぼす。この現象は液相で顕著に見られる。拡散に関する情報は触媒設計を行ううえで極めて重要である。そこで液相系の多孔質材料細孔内拡散機構解明を目的として,ベンゼンを拡散物質にシクロヘキサン,イソプロパノールを溶媒に用いミクロ・メソ多孔質材料の細孔内における拡散係数を測定した。ベンゼンの分子径とほぼ等しい細孔径を有するミクロ細孔内では,溶媒と溶質の区別なく各々の分子が細孔壁との影響を強く受けながら分子1つ1つの動きとして拡散するため気相と同様な拡散機構となることがわかった。メソ孔を有する多孔質材料では,細孔径がベンゼン分子に比べ大きいにも関わらず,拡散係数はミクロ孔のものと同等か小さい値となることを見出した。これは,細孔壁に分子が吸着することで他の分子が拡散する際の有効径が小さくなることに起因する。また,メソポーラスシリカの表面と溶媒の親和性がベンゼンの拡散に及ぼす影響に着目したところ,シクロヘキサンより親和性の高いイソプロパノール溶媒を用いることでベンゼンの吸着量,拡散係数が低下することがわかった。
In catalytic reactions using porous materials, diffusion of reactant and product molecules within pores of the materials strongly affects overall reaction rates. Therefore, information concerning with diffusion mechanisms is required for catalyst design. In this paper, intracrystalline diffusivities of benzene within a series of porous materials in liquid phase (cyclohexane and iso-propanol were used as solvent) were measured by a constant volumetric method to understand the diffusion mechanism. Within microporous material of which pore diameters are close to benzene molecule, the diffusion mechanism of benzene molecule in liquid phase is the same as vapor phase because benzene molecule independently diffuses within the micro-pore. Intracrystalline diffusivities of benzene within meso-porous materials were almost the same and/or smaller than that within micro-pore, though the pore diameter of mesoporous materials are larger than those of micro-pore. Benzene molecules as well as cyclohexane were adsorbed onto the pore wall of meso-porous materials, leading to a decrease in the effective pore diameter for diffusion. Moreover, effects of affinity between the pore wall of porous materials and the solvent on the benzene diffusivities were investigated and it was found that adsorption amount and intracrystalline diffusivities of benzene are decreased by using hydrophilic molecule as solvent.
キーワード:結晶内拡散係数;メソポーラスシリカ;silicalite-1;定容法;ベンゼン
Key words: intracrystalline diffusivity; meso-porous silica; silicalite-1; constant volumetric method; benzene
© 2011 ゼオライト学会© 2011 Japan Association of Zeolite
ゼオライトやメソ多孔体は規則的な細孔構造,高い表面積を有しており,石油化学工業の分野を初め多孔体がもつ特性を有効に活用した触媒や吸着剤,分離膜としての利用法がさまざま開発されており1–3),合成法についても多数報告されている4,5)。これらを触媒として反応に用いる際,粉末のままでは圧力損失が大きくなるため,一般には成形し反応に用いられる。このため,成形された多孔質触媒を用いる反応においては反応物質がバルク流体中からペレット内のメソ~マクロ細孔(シリカやアルミナなどマトリックスの細孔)を拡散してゼオライト触媒表面に到達し,さらにゼオライトの細孔内を拡散し活性点へ吸着することで反応が進行する。つまり,細孔内の拡散や吸着,活性点上での反応の過程が直列の関係で進行する。このため,全体の反応速度はこれらの中で最も速度の遅い過程によって支配される。特にゼオライトの細孔径は低級炭化水素の分子径とほぼ等しいため,反応分子は細孔やゼオライトの酸点に強く影響を受け,これらの影響は細孔内の拡散として観測される。さらに,混合気体や液体混合物の分離に用いられる分離膜では,ミクロからメソ領域の細孔を有しており,膜表面近傍の混合物中の特定成分が細孔表面に選択的に吸着し,膜の細孔内を拡散することで分子が透過する機構となる。このように,細孔内での物質の拡散は全体の反応速度や分離特性に大きく影響を及ぼす。このため,拡散機構に関する情報は触媒や膜の設計を行ううえで極めて重要である。
多孔質材料細孔内の拡散に関する研究は気相系を中心に行われてきており,その測定法も多数報告されている。拡散係数測定法は微視的方法,巨視的方法と大きく2種類に分類され,微視的方法にはNMR6)やQENS7)を用い,直接拡散分子の平均移動距離を測定して拡散係数を求める方法がある。巨視的方法は,定常状態測定法と非定常状態測定法に分けられる。定常状態測定にはWiche-Kallenbach法8),Effectiveness factor法9)があり,非定常状態測定法には重量法10),定容法11),FR(Frequency response)法12),ZLC(Zero-length column technique)法13)があり,細孔内拡散係数測定には非定常状態測定法が良く用いられている。
液相系については細孔内拡散の影響を強く受けると考えられる多孔質材料を触媒に用いた反応プロセスが多数あり,MCM-22を用いた液相でのエチルベンゼンやクメン合成プロセス,TS-1による液相酸化反応が例に挙げられる14)。しかし,液相での触媒開発に重要な知見を与える拡散に関する報告例15,16)は十分であるとは言えない。そこで本稿では,液相系を対象にゼオライトやメソ多孔体細孔内での拡散現象を研究した筆者らの最近の成果について紹介する。
著者らが開発した,ラマン分光光度計を用いる方法を用いて液相細孔内拡散係数の測定を行った。この方法は,定容法に分類される。測定には図1に示すラマンスリーブを直接取り付けた耐圧性のステンレススチール製容器を用いた。先ず,圧縮成形機を用いて成形後,300~500 mm(ゼオライト結晶,メソポーラス材料の細孔内の拡散が律速となることを計算と予備実験で確認)に篩い分けした吸着剤0.3~0.5 g をメッシュ状の白金籠に入れ,溶媒で満たしたステンレス容器内に吊るし,マグネティックスターラーにより容器内を撹拌した(粒子表面の境膜物質移動抵抗を無視小にするため)。その後,容器内上部の気体を窒素パージし,測定温度まで昇温した。昇温後,既知量のベンゼン(拡散物質)を容器上部よりパルス状で導入し,吸着剤への吸着に伴う溶液中のベンゼン濃度の経時変化をラマン分光光度計により測定した。図2は一例として,ベンゼン/シクロヘキサン溶液のラマンスペクトルを示しており,801 cm−1 がシクロヘキサン,992 cm−1 がベンゼンのピークである。ベンゼンとシクロヘキサンのピーク高さ比とベンゼン濃度には比例関係があり,この関係を用いてベンゼン濃度を算出している。
多孔体の細孔内拡散係数には,多孔体内の濃度基準で定義される拡散係数(D, ゼオライトの場合は結晶内拡散係数に相当する)と,多孔体が接するバルク中の濃度基準で定義される有効拡散係数(Deff)がある。拡散係数は多孔体内での分子1つ1つの移動度を表している。有効拡散係数はThiele modulusなどの反応速度解析に用いられる拡散係数であり,拡散係数(D)と分配係数(H)の積で求められる。なお,分配係数は吸着分子の多孔体中濃度(Cc[mol/m3-多孔体])とバルク中濃度(Cb[mol/m3])比(Cc/Cb)で表され,細孔内への濃縮度を表す。H-MFIを用いたパラフィン,オレフィンの拡散係数測定では,パラフィンの結晶内拡散係数がオレフィンに比べ1000倍高いにも関わらず,オレフィンに対してパラフィンの分配係数が1/100であるため,有効拡散係数はともにほぼ等しい値を示すことがわかっている18)。このように,有効拡散係数が等しい場合でも細孔内の物質移動現象は異なるため,拡散係数(D)と分配係数(H)の両面から拡散現象を評価する必要がある。
拡散係数(D)の決定には,Fickの拡散方程式の級数解から次式を用いた。
[結晶がslab形状の多孔体]ただし,
[結晶がsphere形状の多孔体]ただし,
ここで,MtとMeは時間tおよび吸着平衡時それぞれの吸着量であり,Ct,C0およびCeはそれぞれ時間t,吸着初期および平衡時の多孔体に接する溶液中の拡散物質濃度である。また,L はslab形状の結晶半径,R0 はsphere形状の結晶半径であり,拡散係数測定に用いる多孔体粒子の拡散距離を表す。さらに,Vは溶液の体積,Wは多孔体質量,amは多孔体単位質量あたりの外表面積,H は分配係数を示しており,分配係数(H)は吸着等温線から求められる。なお,上式中のαは吸着装置の体積と多孔体の容積比を表すパラメータであり,qnは式(3)および式(6)を満たす一連の解qのn番目の正の解である。
図3はsilicalite-1 を吸着剤に用いた時の溶液中のベンゼン濃度の経時変化の一例を示す。図中のキーは濃度変化の実測値であり,実線が式(1)~(3)から導出した計算値である。一方,式(4)~(6)では実験値を良好に表すことができない。これは,silicalite-1では主にstraight channelが主体となって拡散することを示唆している。一方,FAU型では式(4)~(6)式を用いることで,実験値を表すことができる。図より理論式は濃度の経時変化を良好に表しており,拡散係数(D, silicalite-1を用いているので結晶内拡散係数)が得られる。
液相細孔内拡散係数測定には表1に示す細孔径の異なる8種類の多孔質材料を吸着剤に用いた。ミクロ孔を有する吸着剤には水熱合成により調製したsilicalite-1を用いた。メソ孔を有するメソポーラスシリカには,代表的なものとしてFSM-16やMCM-41が挙げられる。しかし,FSM-16やMCM-41はsilicalite-1のような規則的粒子形状を有していないため,1次粒子径を規定することは困難であり,拡散係数測定には適していると言えない。そこで,本研究ではYanoらが開発に成功した方法により調製された単分散球状メソポーラスシリカを用いた(MMSS-10, MMSS-16, MMSS-18, MMSS-22; MMSS: Monodispersed Mesoporous Silica Spheres)20,21)。このメソポーラスシリカは,放射状にメソ孔が形成された球状粒子であり,細孔径の大きさの制御も可能である。また,MMSSに加えメソ孔を有する吸着剤としてsilica gel(GL Scieneces Inc. Intersil SIL-100A)を用いた。さらに,マクロ孔を有する吸着剤にはSiO2–Al2O3およびγ-Al2O3を用い,これらの細孔径は水銀ポロシメトリー(Shimazu Auto Pore9500)により測定した。なお,silicalite-1, MMSS, silica gelの粒子形状はFE-SEMにより観察しており図4に示すとおりである。なお,拡散係数の決定にはsilicalite-1は式(1)~(3)を,その他の吸着剤は式(4)~(6)を使用した。
Adsorbents | Pore diameter (nm) |
---|---|
silicalite-1 | 0.55 |
MMSS-10 | 2 |
MMSS-16 | 2.7 |
MMSS-18 | 3.1 |
MMSS-22 | 3.8 |
silica gel | 10 |
γ-Al2O3 | 190 |
SiO2-Al2O3 | 680 |
定容法では結晶内拡散係数測定を行う際,同時に吸着等温線が得られる。図5に一例として323 K におけるsilicalite-1, MMSSへのベンゼンの吸着等温線を示す。メソポーラスシリカであるMMSSのベンゼン吸着量はsilicalite-1に比べ高い値を示していることがわかる。また,測定を行った濃度領域においてそれぞれの吸着等温線は線形であり,式(7)で相関されることがわかる。
ここで,qとCはそれぞれ平衡状態での拡散物質の吸着量,溶液中の拡散物質濃度を示しており,K[m3 kg−1]は吸着等温線の傾きである。このKと吸着剤の見かけ密度ρ[kg m−3] の積から分配係数H(=K×ρ)を算出することができる。
図6はミクロ,メソ,マクロ多孔体細孔内におけるベンゼンの液相の拡散係数のアレニウスプロットを示す。気相系で測定したsilicalite-1細孔内におけるベンゼンの拡散係数を,比較のために示している。気相,液相でのsilicalite-1細孔内における拡散係数は一本の直線で相関されている。これは,silicalite-1の細孔径がベンゼン分子の大きさと同程度であるため,溶液から分子が細孔内へ入る際,分子が連続相を形成せずに1つ1つに分かれるためバルク相の状態によらず細孔内では同一の拡散機構となるためであると考えられる。細孔径に着目し323 K におけるベンゼンの細孔内液相拡散係数を比較すると,silicalite-1は1.2×10−17 m2 s−1であったのに対し,MMSS-10, MMSS-16, MMSS-18, MMSS-22のメソポーラスシリカではそれぞれ8.3×10−18, 5.9×10−18, 2.0×10−17, 2.1×10−17 m2 s−1とsilicalite-1の値とほぼ等しいかそれより低い値が得られた。また,細孔内で溶媒と溶質が連続相を形成すると考えられるマクロ孔を有するSiO2–Al2O3, γ-Al2O3ではそれぞれ4.2×10−10, 1.5×10−10 m2 s−1とsilicalite-1やメソポーラスシリカの値に比べ107大きい値が得られた。一方,液相での分子拡散係数はWilke-Chang式(式(8))22)から算出される。
ここで,Mは拡散媒の分子量,ηは粘度,Vmは標準沸点における液相のモル堆積,βは拡散媒の会合因子で有機溶媒では1.0である。式(7)より推算したベンゼン/シクロヘキサン溶液中のベンゼンの拡散係数を図中に示す。SiO2–Al2O3やγ-Al2O3の分配係数(空隙率と屈曲係数の影響を含んでいる)はおよそ4程度であることから,液相系の拡散係数の値に近いことがわかる。
図7は323 Kでの液相拡散係数および拡散係数の活性化エネルギーと吸着剤の細孔径の関係を示す。ベンゼンの拡散係数は細孔径が大きくなるに従い,メソ孔領域でわずかに小さくなり,その後大きくなることがわかった。また,マクロ孔を有する多孔体では拡散係数はほぼ一定値をとることがわかる。拡散係数の活性化エネルギーに着目すると,ミクロ孔領域ではメソ孔とマクロ孔領域よりも高い値を示した。一方,メソ孔~マクロ孔領域において活性化エネルギーは細孔径が大きくなるにつれてわずかに小さくなるもののその値に大きな違いは見られなかった。拡散物質であるベンゼンの分子径はsilicalite-1の細孔径と同程度であるため,ベンゼン分子1つ1つがsilicalite-1の細孔壁との物理的抵抗を強く受けながら細孔内を拡散しており活性化エネルギーはメソ,マクロ孔内での値に比べ高い値となったと考えられる。一方,メソポーラスシリカの細孔径はベンゼンやシクロヘキサンの分子径に比較して大きいが,拡散物質および溶媒の分子が細孔壁に吸着することで分子が拡散するための有効径が小さくなり,拡散物質は細孔壁だけでなく細孔壁に吸着した分子との立体障害を強く受けながら拡散するため,拡散係数が小さくなったと考えられる。また,図7に示す線図を用いることで,液相でのシリカ多孔体細孔内のベンゼンの拡散係数を予測することが可能である。
気相系での細孔内拡散機構は分子の平均自由行程と孔径の大小関係により形状拡散領域,Knudsen拡散領域,遷移領域,分子拡散領域に分類されている23)。液相系においても気相と同様に拡散機構は,形状拡散領域,遷移領域,分子拡散領域に分類できると考えられる。図8に各領域における細孔内での拡散機構のイメージ図を示す。
前述のように,メソ細孔内では細孔壁に加え細孔壁に吸着した分子との立体障害が拡散係数に影響を及ぼす。後者の影響は溶媒の極性により変化することが予想される。メソポーラスシリカはその表面がアモルファス状であり,多数のシラノール基を有していることから,親水性を示すことが知られている。そこで,メソポーラスシリカ細孔表面と溶媒の親和性がベンゼンの拡散係数に及ぼす影響について検討した。溶媒にはシクロヘキサンよりも親水性を有すると考えられるイソプロパノールを用いた。
図9は323 Kにおけるベンゼンの細孔内拡散係数と吸着剤の細孔径の関係を示す。ミクロ孔を有するsilicalite-1では,溶媒に依らずベンゼンの細孔内拡散係数はほぼ等しい値を示している。これは前述の通り,ベンゼン分子径がsilicalite-1の細孔径とほぼ等しいために,細孔内では分子1つ1つが独立した動きとなるためである。しかし,メソ孔~マクロ孔の領域ではベンゼン/イソプロパノール系はベンゼン/シクロヘキサン系と同様にベンゼンの拡散係数は細孔径が2~4 nmのメソ領域で最小となり,4 nmより細孔径が大きい領域では,細孔径が大きくなるにつれて拡散係数が大きくなる。そして,イソプロパノールを溶媒に用いることで,ベンゼンの拡散係数は全体的に小さくなることがわかった。SiO2–Al2O3やγ-Al2O3の領域では,差が無視小となる。
図10は,一例としてMMSS-16を吸着剤に用いた時の,ベンゼン/イソプロパノール系,ベンゼン/シクロヘキサン系におけるベンゼンの吸着等温線を示す。図よりベンゼン/イソプロパノール系のベンゼン吸着量はベンゼン/シクロヘキサン系に比べ低いことがわかる。メソポーラスシリカは細孔表面にシラノール基を有しており,シクロヘキサンに比べイソプロパノール分子がシラノール基へ親水的に吸着,滞留しやすくなり,ベンゼンの吸着サイトが減少したためと考えられる。また,イソプロパノールのシラノール基への吸着,滞留によりベンゼンが拡散するための有効径が小さくなり,ベンゼン/シクロヘキサン系に比べ細孔内拡散係数が小さな値になったと考えられる(図11)。
多孔性固体触媒を用いた反応では,多孔体細孔内での拡散が反応速度の律速段階となることが多く,拡散の情報は触媒設計の上で極めて重要である。本稿では,細孔径と拡散分子径の観点から液相系における細孔内の拡散機構を検討し,液相系での拡散機構は3 つの領域に分類でき,形状拡散領域,遷移領域,分子拡散領域となると提案した。特に,多孔体の細孔径が拡散分子径よりも2~3倍大きい領域では,拡散分子は細孔壁に吸着した分子との立体障害を強く受けて拡散しており,細孔表面と親和性の高い溶媒を使用することで,拡散物質の吸着量,拡散係数は低下することがわかった。今後は,ゼオライト触媒を用い,トポロジーやSi/Al比の影響が液相系の細孔内拡散現象に及ぼす影響について明らかにしていきたい。
本研究を進めるにあたり,単分散メソポーラスシリカ(MMSS)を提供頂きました株式会社豊田中央研究所の矢野一久氏に誌面をお借りしてお礼申し上げます。また,本研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)平成18年度産業技術研究助成事業06B44702aと北海道大学グローバルCOEプログラム「触媒が先導する物質科学イノベーション」(平成19~23年度)における博士課程学生プロジェクト研究支援事業の助成により行われました。
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