日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
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Zeolite 28(1): 1 (2011)
doi:10.20731/zeoraito.28.1.1

巻頭言巻頭言

ゼオライトとの出会い

広島大学大学院工学研究院

発行日:2011年3月10日Published: March 10, 2011
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ゼオライトとの最初の出会いは今からちょうど30年前の大学院博士課程1年の時です。当時の研究テーマはオレフィン重合触媒であるZiegler-Natta触媒の活性種に関するもので,Ti-Yゼオライトを調製し,チタンの原子価とプロピレン重合活性の相関関係について研究を行っていました。この時東工大の八嶋先生の研究室で,Y型ゼオライトとは何かにはじまり,すぐに酸化されやすいチタンイオンのイオン交換手法について教えて頂いたのを鮮明に覚えています。本格的なゼオライトとの関わりは,大学卒業後通産省の化学技術研究所(現産業技術総合研究所)に入所し,国家プロジェクト「C1化学」で民間企業の研究者と一緒にメタノールからの低級オレフィン合成の技術開発に従事してからです。当時の上司高谷課長の「精密なゼオライト触媒の調製のためにはまずゼオライトが合成出来なくてはだめだ」との方針のもと,2台のオートクレーブで毎日ゼオライト合成を行っていました。ポリマー合成から無機合成と実験手法も全く異なり最初は苦労しましたが,この時の経験は大変貴重でした。その後北陸先端大,広島大と研究の場が変わりましたが,ゼオライトに関わる研究が続けられたのも研究所での経験があったためです。30年もゼオライト研究を続けられたのは,幸運だったのかそれとも不器用なため他の研究分野に飛び込む勇気がなかったのかはわかりませんが,学際的なゼオライト学会での情報交換でいつも刺激を受けたことには間違いはありません。

ところで,ゼオライト学会の活動は,本ゼオライト誌の発行に加え,ゼオライト研究発表会,ゼオライト夏の学校およびゼオライトフォーラムの開催が中心です。ゼオライト研究発表会には上智大学で開催された第1回から参加していますが,この間メソポーラス体,ゼオライト膜および有機ゼオライト(分子性ゼオライト,多孔性金属錯体)など日本独自の材料が幾つも開発されたのを目の当りにすることができました。また,若き研究者による新規ゼオライトCDOおよびGONの発表の場にも同席でき,ポーラス材料の研究分野での日本の貢献が非常に大きいことに感動しました。今後もこうした成果を発信するためには,個々の会員の努力は無論ですが,学会としての積極的組織的な取り組みも必要であり,そのための学会運営に少しでもお役に立てるよう努力するつもりです。平成24年には広島で本会主催の国際会議ZMPC2012が開催されます。本会議はゼオライト関連の分野での重要な国際会議として内外において認知され定着して来ていますので,多数のご参加をお願い申し上げます。

最後に,財政問題,法人会員の減少と学会を取り巻く環境は厳しいものですが,微力ながら本会のさらなる発展に全力を尽くしたいと思いますので,会員皆様からの忌憚のないご意見,ご要望を期待致します。宜しくお願い申し上げます。

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