ゼオライト細孔内に固定化した二核銅錯体の構造と酸化触媒作用
名古屋大学大学院工学研究科 ◇ 〒464-8603 名古屋市千種区不老町
Cu(II)イオン交換ゼオライト触媒が,液相中でのH2O2によるシクロヘキサンやベンゼンの選択光酸化に対して高い触媒性能を示すことを見出した。活性種の特定を目的として,各種キャラクタリゼーション(in situ UV-vis,in situ XAFS,Raman,O2昇温脱離)によりCu(II)交換Y型ゼオライト(CuY)をH2O2処理した試料の加熱時,及びシクロヘキサン/He(gas)流通下で光照射した時のCu 種と酸素種の構造変化を追跡した。本稿では上記の結果をもとに,ゼオライト内に生成する酵素の活性点に類似した酸素架橋二核銅(II)錯体の構造,動的挙動,光反応性を解説する。H2O2処理により,ゼオライト中の単核Cu(II)イオンはbis(μ-oxo)dicopper(II)(1)及びO22−またはHOO−に架橋された二核Cu(II)種(2)に変化する。2は室温で徐々にsuperoxodicopper(II)種(3)に変化し,373 Kに加熱すると3の割合が増加する。さらに473 Kまで昇温すると,2および3の架橋酸素はO2として熱脱離し二核種が単核種に戻る。シクロヘキサン酸化反応中においても錯体2,3が形成され,光励起した錯体2,3がシクロヘキサンに対して酸化活性種として作用することで,上記光触媒反応が進行することが明らかになった。
キーワード:選択酸化;ベンゼン;シクロヘキサン;酵素模倣触媒;銅
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