日本ゼオライト学会 刊行物

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター
Zeolite 26(1): 2-12 (2009)
doi:10.20731/zeoraito.26.1.2

論文

FAUゼオライトによるシガレット煙中成分の吸着挙動

1豊橋技術科学大学工学部物質工学系 ◇ 〒441-8580 愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1

2日本たばこ産業株式会社たばこ中央研究所

受付日:2008年9月17日
受理日:2008年11月26日
発行日:2009年3月10日
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シガレットフィルター中の多孔性材料による煙中成分の吸着性制御とその機構を解明するために,H-FAUゼオライトの細孔容積V0 および表面親疎水性の指標である水の特性吸着エネルギーEgと煙中成分の吸着性能との関係を調べた。煙中成分の吸着率は細孔容積の大きさに従って向上する傾向を持ち,例えば煙中アセトンに対するH-FAU単位質量当たりの吸着率は,ゼオライトの細孔容積が0.37 mL/gから0.47 mL/gに増大するとともに約2倍となった。煙中成分の吸着傾向は,298 Kでのそれぞれの成分の飽和蒸気圧と相関し,煙中において蒸気で存在すると考えられる飽和蒸気圧が10−2~103 atmの成分は,飽和蒸気圧が低くなるにつれて吸着率が増加した。これに対して飽和蒸気圧が10−5~10−2 atmの成分は,比較的蒸気圧が高い成分は高い吸着率であったが,飽和蒸気圧が低く凝集し易い成分の吸着率が低下した。飽和蒸気圧が10−5 atm以下の成分は煙中にほとんど蒸気が存在しないため,吸着が観察されなかった。さらに,FAUゼオライト細孔表面の親水性向上により,煙中の疎水性成分の吸着率が低下した。FAUゼオライトのアルミニウム組成比とフィルター導入量を設定することにより,シガレット煙中成分のフィルター出口量および吸着バランスを制御できる可能性が見出された。

キーワード:FAUゼオライト;吸着率;たばこ;フィルター

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