ゼオライト極性ナノ空間での不安定化学種の安定貯蔵と反応加速
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 ◇ 〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1
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極性のホルムアルデヒドやアクロレイン,非極性のシクロペンタジエンはいずれも不安定で,すぐ重合する分子として知られている。一方,天然鉱物のフォージャサイトの骨格構造をもつXおよびY型ゼオライトは,アルミニウムの含有量が多いため,このスーパーケージ内部は強い静電場が形成され,極性の高い反応場として利用可能である。そこで,不安定な上記有機分子を,ゼオライトのスーパーケージ内に吸着すると,これらの分子が常温でも長時間安定に単量体で存在することを,固体NMR法および化学反応性を調べることにより明らかにした。さらに,吸着した単量体分子は,安定に貯蔵されるだけでなくスーパーケージ内で活性化されており,オレフィンや芳香族化合物などのパイ電子性求核剤を加えると容易に付加反応することも明らかにした。特に,非極性分子のシクロペンタジエンは,スーパーケージ内での吸着密度が高い場合ほどDiels-Alder反応活性が高いことから,ゼオライト表面からなる極性固体媒体に取り囲まれた疎水性有機分子同士の,内部庄の上昇による反応加速であると結論付けた。
Key words: faujasite zeolite X and Y; formaldehyde; acrolein; cyclopentadiene; stable storage of labile molecules; reactivity increment
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