合成ガスからのイソパラフィンの直接合成
富山大学工学部物質生命システム工学科 ◇ 〒930-8555 富山県富山市五福3190
フィッシャー・トロプシュ(FT)合成は合成ガスから液体燃料を作る合成法である。生成する燃料のほとんどはノルマルパラフィンであり,セタン価が高いため,軽油としては最適であるが,オクタン価はほぽゼロであることから,ガソリンとして用いることは出来ない。
ガソリン(アルキレート)として用いることの出来る軽質イソパラフィンを一段階で合成することを目的に,FT触媒にZSM-5を複合化させたFTハイブリッド触媒及び,FT触媒とZSM-5,パラジウム触媒を複合化させた三元FTハイブリッド触媒を調製し,その性能を調べた。FT触媒ではC3からC16以上のノルマルパラフィンが生成したが,ハイブリッドFT触媒ではC11までの炭化水素が生成し,半分以上がイソパラフィンであり,ZSM-5を混合することで,FT反応で生成した高級炭化水素(ワックスなど)がその場で水素化分解,異性化し,イソパラフィンを直接合成する触媒開発に成功した。三元ハイブリッド触媒では同様にイソパラフィンが生成したが,生成物はより軽質化し,触媒寿命が著しく改善された。また一段階目の反応器でFTハイブリッド触媒を用い,つながれる二段階目の反応器でZSM-5とパラジウム触媒のハイブリッド触媒を用いる二段階連続反応プロセスで,FT合成を行ったところ,C8以下の軽質なイソパラフィンを極めて高い収率で得ることが出来た。
Key words: Fischer-Tropsch synthesis; isoparaffin; zeolite; hydrocracking; spillover
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