日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 42(4): 156-157 (2025)
doi:10.20731/zeoraito.42.4.156

レポートレポート

The 21st International Zeolite Conference(IZC2025)での活動報告書

東京科学大学 横井研究室

発行日:2025年10月15日Published: October 15, 2025
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中国の大連で開催された21st International Zeolite Conference(IZC2025)と青島で開催されたPost-conference Forumに参加しました。大連と青島はともに海沿いの街であり,風はありつつとても蒸し暑い気候でしたが,美味しい海鮮料理や豪華な輝きを放ちながら立ち並ぶビル群の景色などを楽しむことができました。日本と比べて中国では果物の値段がとても安く,学会中でのLunchやCoffee breakの時にスイカやメロン,ライチなどたくさんの美味しいフルーツを楽しむことができました。

5日間にわたって大連で開催されたIZC2025では,世界中のゼオライト研究者が集まり最先端の研究内容を聞くことができ,その勢いや力強さを間近で感じることができました。私は,前回のバレンシアで開催されたIZC2022にも参加しており,その時と比べてやはり開催国である中国人たちの熱量を強く感じました。前回のIZCでは,機械学習(Machine learning)を用いた研究が少しトレンドだった記憶がありますが,今回は合成検討や触媒反応用のゼオライト開発に関する研究など多岐にわたる講演が行われていました。私は,この学会でNMRやIRなどの分析に関する講演に注目し会場を回っていました。NMRを用いたゼオライト研究では,プローブ分子やイオンをサンプルに吸着・交換させたり,別の評価基準を用意してNMRの結果と比較するなど自分では思いつかないような興味深いアイデアがたくさんありました。PhD. Sohrab Askarliが発表していた,外表面の六配位Alの触媒特性への影響を調べるために,吸着力が異なる2つのプローブ分子(n-ヘキサンとn-ペンチルアミン)を吸着させた試料を用いて,2D 1H-27Al CP LG HETCOR NMRを測定することや,Dr. Eddy Dibが発表していた,同じ構造でわずかにSi/Al比が異なる試料の29Si MAS NMRから,Al分布とCO2吸着能の相関を観察する研究など新しい知識を得ることができました。

その中でも,Dalian Institute of Chemical Physics(DICP)のProf. Kuizhi Chenの講義は非常に興味深かったです。彼の発表では,異なるアルカリ土類金属でイオン交換したゼオライトの1H MAS NMRから,ゼオライト内のAl pairをその距離ごとに定量的に測定し,また水蒸気処理によりAl pair量がどのように変化していくのかを観察していました。ちょうど,中国に向かう前に彼のNMRを用いた酸点分布調査に関する論文を読んでおり,実際にお会いできた時は感動しました。昼食後に学会会場でディスカッションし,NMRの有用性や自分が疑問に思っていたことについて答えていただきました。例えば,1H MAS NMRを測定するための前処理方法についてや,ゼオライトに含まれる水分子を無視して測定できるHahn echo法のメリット・デメリットなどについてご教授いただけました。最先端の1H MAS NMR研究をしているChen先生にお会いできたことに感謝し,自身の研究の底上げをしていきます。連絡先も交換しており,今後も連絡を取っていきたいと思います。

IZA General Assemblyでは,各委員会からの報告,投票や表彰式,今後の開催が予定されている国際学会の紹介がありました。ZMPC2027が沖縄で開催され,IZC2031が横浜で開催されます。また,この場では発表されていませんでしたがICC2028も京都で開催されるので,日本の触媒研究の高まりを感じるとともに,数年後にはどのような研究がされているのか期待に胸が膨らみました。この表彰式では,同じ研究室のメンバーであるNatnicha Yotpanyaさんがポスター賞を受賞しました。非常に誇らしいことですし,自分も学会で受賞できるよう努めてまいります。

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図1. IZCポスター賞授賞式の様子

IZCでは,「Synthesis of SSZ 13: Effect of Inorganic Cations in Mother Gel on Crystallization, Physicochemical and Catalytic Properties」というタイトルでポスター発表を行いました。10人ほどの方にご質問していただき,とても有意義なディスカッションをすることができました。この発表では,SSZ-13合成時にカチオン量を変更した試料を調製し物性評価とETP反応評価を実施した内容で報告しました。カチオン量を変更して合成したSSZ-13の先行研究者としてProf. R. Gounderがおり,彼の論文と比較した質問がよくされました。KU LeuvenのDr. Sven Robijnsからは,基本骨格構造内でAlやカチオン量がどのように変わっているのか,そしてそれぞれの電荷バランスは保たれているのかという質問がされました。また,SSZ-13合成時にコロイダルシリカを用いているため,NaやKを合成ゲルに加えていないにも関わらず,試料に含まれてしまっているとご指摘いただきました。コロイダルシリカではなくフュームドシリカを用いることでこの懸念点が解消され,合成時の無機カチオンと反応結果の関係がより鮮明になるとアドバイスしていただいたので検討していきます。

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図2. ポスター発表での写真

青島でも同様に,著名な先生方の講演を聴くことができました。Jones先生のCO2吸着に関する技術や,脇原先生のゼオライトの欠陥サイトを修復する技術など,多種多様な内容の講義を聞くことができました。その中でも,Irina Ivanova先生のIn-situ NMRで結晶化メカニズムを追跡した研究は非常に興味深かったです。合成ゲル調製時に,シリカ源を入れる順番を変えることでゼオライト構造が形成されていくメカニズムが変わるという内容で,さっそく自身の研究に取り入れて進めております。

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図3. IZC青島でのCoffee breakの様子

今回のIZC2025に参加して,中国の様々な文化を体感しただけでなく,海外のゼオライト研究者との交流を深める素晴らしい経験をすることができました。最先端の研究報告から,自身の研究に活かせるようなアイデアを得ることができ,卒業に向けてゼオライトの理解をより深められるよう研究に邁進してまいります。

末筆ではございますが,「若手研究者海外渡航費用助成」によりご支援いただいたZMPC2018組織委員会並びに日本ゼオライト学会,そして関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

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