2025年度ゼオライトフォーラム参加報告
富山大学学術研究部工学系
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2025年度ゼオライトフォーラムが「カーボンニュートラルに向けたゼオライトの機能の応用」のテーマの下,2025年5月30日(金)13時から成蹊大学本館2階大講堂にて開催されました(お問合せ先:里川重夫 日本ゼオライト学会会長)。今回のゼオライトフォーラムでは,カーボンニュートラルに関連したゼオライトについてのご講演が3件ございました。ご講演いただきました3名の先生のご講演の中では,いずれも基礎研究だけではなく応用研究,実証研究への展開についても豊富に盛り込まれておりました。近年,持続可能な社会の実現のもとカーボンニュートラルに関連した技術開発が盛んに行われています。中でも,ゼオライト材料が担う役割は非常に重要であり,どのように用いるかだけではなく,どのような構造を用いていく必要があるのかについて非常に興味深く拝聴させていただきました。以下に,三件の内容について概要を記載いたします。
一件目,谷山教幸先生(川崎重工業株式会社)より,カーボンリサイクルに向けた取り組みについてご紹介をいただきました。二酸化炭素の回収,二酸化炭素の基礎化学製品への転換反応の基礎から実証実験についての内容についてご紹介いただきました。特にゼオライト構造を活用した二酸化炭素からのパラキシレン合成プロセスの開発は,他社との連携をとり,ベンチ試験装置での実証実験が行われております。会場聴講者からは触媒性能の向上・劣化等についての質疑が行われ盛んに議論がなされていました。こちらの内容については,プレスリリースされておりますのでお読みいだければと思います(「CO2を原料としたメタノール・パラキシレン合成の実証試験に成功」)。
二件目,望月剛久先生(産業技術総合研究所)より,共電解とFT合成の一貫製造による合成燃料についてご紹介していただきました。社会課題解決に向けた産業技術総合研究所の取り組み,研究推進体制,カーボンリサイクル技術ロードマップ,合成燃料の製造プロセス,合成燃料の商用化に向けたロードマップについて幅広くご紹介いただきました。共電解による逆水性ガスシフト反応とFischer–Tropsch合成反応を組み合わせた一貫製造,特に後段のFischer–Tropsch合成反応については,ラボスケールからのスケールアップの実施について,筆者も類似研究をしているという点から大変興味深く拝聴いたしました。
三件目,窪田好浩先生(横浜国立大学)より,新型ゼオライト触媒の基本性能を活かしたカーボンニュートラル関連技術への応用についてご紹介していただきました。窪田先生の研究内容は,従来のゼオライト研究を包括した上で,必要なゼオライト研究の因子について見つめ直し,新規のゼオライト,新規なゼオライトの合成手法確立等の非常に重要な研究をこれまで実施されており,筆者はゼオライト合成等で先生の研究成果等でお世話になってきた背景もあり大変興味深く拝聴いたしました。カーボンリサイクルで着目されているFischer–Tropsch合成反応において,分解・異性化が重要なファクターであり,ゼオライト触媒の機能添加が不可欠となっています。これらの事象に対し,窪田先生のゼオライト触媒の系統的な研究から,特にMSE型ゼオライトの有機構造規定剤の見直し,合成期間の短縮に関する研究の手法については,今後も材料開発における重要な視点であると再認識いたしました。
三件全てのご講演では基礎学術からの発展,産学官の連携による実証実験等におけるゼオライトの重要性について考える機会をいただけました。非常に充実したご講演に参加し,筆者のゼオライト研究についてさらなる充実を図りたいと考えさせられました。ご講演の先生,主催の里川先生をはじめとする関係者の皆様に御礼申し上げます。
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