日本ゼオライト学会 刊行物 Publication of Japan Zeolite Association

ISSN: 0918–7774
一般社団法人日本ゼオライト学会 Japan Zeolite Association
〒162-0801 東京都新宿区山吹町358-5 アカデミーセンター Japan Zeolite Association Academy Center, 358-5 Yamabuki-cho, Shinju-ku, Tokyo 162-0801, Japan
Zeolite 42(1): 24-26 (2025)
doi:10.20731/zeoraito.42.1.24

レポートレポート

第40回ゼオライト研究発表会(吸着–ゼオライト合同研究発表会)開催報告

1産業技術総合研究所

2信州大学

発行日:2025年1月31日Published: January 31, 2025
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1. はじめに

2024年12月2~4日の3日間にわたり,東京都江戸川区のタワーホール船堀にて,第40回ゼオライト研究発表会を開催しました。今回の研究発表会は初めての試みとして,日本吸着学会との合同研究発表会とし,2日目には「―カーボンニュートラル 吸着科学とゼオライト科学の交差点―」と題した合同シンポジウムを行いました。

開催に至る経緯や趣旨については,ゼオライト誌や学会ホームページに記載しましたので詳細は割愛しますが,本合同開催の目的は,学会自体の合併等を企図するものではなく,各学会の枠組みを超えた新しい取り組みの探索を行い,互いを知ることによる刺激を得て,それぞれが活力を得ることにあります。

日本の人口減少や国力の相対的な低下による研究環境の悪化により,残念ながら,我々のような小規模学会は何もしなければ縮小していく宿命にあると思われます。今回のイベントなどが,今後の両学会の活性化につながることを期待しています。

今回の合同研究発表会では,1日目,3日目を通常の研究発表会と同様のゼオライト3会場としたパラレルセッション(吸着側は1会場のシングルセッション+ポスター発表)とし,2日目は合同シンポジウムをシングルセッションとして開催しました。全124件(うちゼオライト会場での発表80件)の口頭発表,57件のポスター発表が行われました。幸いにして,例年の両学会の発表会の参加人数の合計を超える446名の参加があり,少なくとも規模の面では開催を成功裏に終えることができました。この場をお借りして,ご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

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吸着学会側のポスターセッションの様子

2. 発表について

ゼオライト学会側のセッションでは例年通り3会場に分かれた口頭発表が行われました。初日夕刻には,里川会長からの学会運営についてのお知らせに続いて,大阪大学・山下弘巳教授による特別講演「ナノ空間を活用する光触媒の設計」が行われました。2日目および3日目午前中の合同シンポジウムでは,冒頭に早稲田大学・松方正彦教授に特別講演「カーボンニュートラルに大きく貢献するゼオライト」をご講演いただきました。合同シンポジウムでは,計7件の招待講演が行われ,カーボンニュートラルに関わる要素技術研究,社会実装,社会システムの構築,経済面から見たアプローチ,企業での実質的な取り組みなどの充実した講演と質疑応答がなされました。

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山下弘巳教授による特別講演

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合同シンポジウムで特別講演を行う松方正彦教授

また,吸着・ゼオライトの講演の中から,シングルセッションにおいて5件,翌日のパラレルセッションにおいて8件の一般講演を,カーボンニュートラル関連研究としてご発表いただきました。

2日目の夜には,両学会合同での懇親会を開催し,150名以上の方にご参加いただきました。日中のセッションとあわせ,両学会のミキシングが進んだ様な気がします。

学会終了後,合同研究発表会に関するアンケートを行い,131件の回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。

4段階で満足度を伺いましたが,「研究発表会を合同で行ったこと」は94%の方が満足(61%)またはやや満足(33%)でした (やや不満足6%)。両方の分野に興味がある方にとっては合同で行うことで効率的に情報が得られたという評価であったようです。一方で,1日目,3日目ともパラレルで発表を行ってしまったために,結局相手の講演はあまり聞けず,合同でのメリットが感じにくかったとの意見がありました。

「期間が3日間」となったことについても92%の方が満足またはやや満足でした。

「合同シンポジウム」については95%の方が満足またはやや満足で,カーボンニュートラルへの高い関心と共に,聞きごたえのある講演であった,世界や経済の動きなど,通常の学会では聞けない講演が聞けた,等の評価をいただきました。

今後の研究発表会については,数年に一度は合同開催を行うのが良いのではないか,という意見が多数ありました。「合同だったから参加した」方は12%で,新規の参加者の獲得は限定的であったものの,どちらか一方の学会に参加している人にとっては,互いの活動を知り,今後の研究活動に活かす一助となったようで,合同開催の目的はある程度達成できたものと考えています。

発表件数の関係で実現できませんでしたが,吸着学会の発表のみ,またはゼオライト学会の発表のみという時間帯をもっと作ることができれば,相互の学会の発表をより多くの方に聴講していただけたのではないかと思います。吸着関連の発表が多かったゼオライト学会のC会場は例年より多くの方に聴講いただきましたが,運営側で予測できておらず座席数が不足するなどご迷惑をおかけしました。ポスター発表については,吸着側でのみ行いましたが,ゼオライト側からも多くの参加者に足をお運びいただけたようです。

来年以降,当面はそれぞれの学会において研究発表会が開催されますが,これを機会に,学会の入会や,研究発表会への参加について,ぜひご検討いただければと思います。来年度の研究発表会は,吸着学会は大分市(2025年11月12日(水),13日(木)),ゼオライト学会は富山市(2025年11月27日(木),28日(金))で開催される予定です。

3. 運営について

合同で行うにあたり,それぞれの学会で異なるところがあり,幾つかの調整が必要となりました。お互い譲歩して良いところをできるだけ取り入れるようにし,なんとか着地点を見つけることができたと考えています。例えば,「吸着–ゼオライト合同研究発表会」の学会名の順序についても検討しましたが,ゼオライト学会側の理事会での議論を経て吸着–ゼオライトの順序とすることにしました。要旨集の冊子体の配布,クレジットカードでの入金対応,シニア割引,懇親会の学生割引等については,これまでのゼオライト研究発表会と同じ形式とすることを吸着学会側にもご理解いただきました。一方,吸着学会で行われていた法人会員の参加費を3名まで無料とすることについては,ゼオライト側でも採用し,また里川会長からのお知らせで述べられたとおり,来年以降も継続することとなりました。これらの多くは,当然費用がかかるものですが,幸い両学会から多くの援助をいただき,なんとか予算内での開催が可能となりました。また発表時間や休憩時間を統一して互いの講演を聞きやすくするなど工夫しましたが,前項のように,より交流が行えるようなプログラムの余地があったと反省しています。

今回の学会は主催する大学や研究機関は無く,運営委員による分業によって開催しました。全体の取りまとめを遠藤,参加者対応,web関連,要旨集作成を飯山,合同シンポジウムの講演依頼,取りまとめを三菱ケミカルの杉田氏,名古屋大の松田先生,アルバイト関連を横浜国大の稲垣先生,企業展示,会場設営と当日運営を防衛大の西先生,東大の伊與木先生,会計,ポスター,吸着学会側の会場設営を信州大の二村先生が担当しました。大阪大の上田先生,鳥取大の片田先生には適宜適切なコメントをいただきました。また,研究発表会当日には,信州大,横浜国大,東京大の多くの学生さんにアルバイトとしてお手伝いいただきました。

4. おわりに

運営を終えての感想としては,「いろいろ大変だったけれど,合同研究発表会を開催してよかった」の一言につきます。研究発表会は志を同じくする人々と再会し,1年の成果を披露しあう楽しい場所であるはずですが,多忙を極める日々の中で,このような楽しい場所を維持できるというのは奇跡的なことのようにも思えます。コロナ禍を経て,ZMPCの開催年であったことから,発表件数,参加者数ともに予測できないこともありましたが,アンケート結果や,懇親会でお声がけいただいた様子から,概ね皆さんに満足いただけたイベントとなったようで安堵しています。

ゼオライト学会,吸着学会とも,今後も一人でも多くの方に楽しいと,価値があると感じてもらえる学会にしていきたいと思います。今後とも変わらぬご支援,ご協力をお願いいたします。

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